もし目の前で人が倒れたら?
日本での救急車の呼び方を英語で学ぶ

消防庁の訪日外国人向け資料をもとに
救急時の英語をご紹介します

一般的に呼吸が完全に停止して3分を過ぎると死亡の恐れが高まり始め、10分後には生存率50%、15分後には死亡率100%と言われ、心肺停止から時間が経過するとともに救命の可能性が低下していくため、人命救助において初動が大切です。救急車出動が増える年末年始に向け、救急車を利用する際、覚えておきたい救急対応で使う英語をご紹介します。

 

救急車出動が増えると言われている年末年始。東京消防庁によると主な理由は以下の3つです。

・風邪やインフルエンザなどの冬季に流行する病気の発生

・忘年会、新年会などにおける急性アルコール中毒

・餅を喉につまらせたことによる窒息事故

救急の現場では、バイリンガル対応が進んでいますが、一刻を争う際、もし、要救助者が英語しか話せなかったとしたら、可能な限り正確に聞き取り救命士へ託すことが最善です。

意識がない、混濁している、また、見ただけで命の危険があると判断できる状況では、ご本人からまともに話が聞けないことはもちろん、付き添いの方もパニックになっていることもあります。もし、救急車要請代行を頼まれた場合を想定し、慌てず状況を判断するために、救急車要請時に聞かれる内容を消防庁ホームページの訪日外国人向け救急車利用ガイド<英語版>でチェックしていきましょう。

 

救急車要請の流れ

まずは、火事または救急であること、救急車に来てほしい場所を確認されるので、住所や所在地がわかりやすい公共施設、お店などをご自身で確認しておきましょう。

 

次に、症状(誰が、いつから具合が悪くなったか)、年齢、名前と連絡先(電話をかけている方)を尋ねられます。通報する前に、以下のことを聞いておきましょう。

 

“What happened?”
どうしましたか?

“How old are you?”
年齢は?

 

また、通報者の名前、連絡先を聞かれます。こちらは、ご自身のものを伝えましょう。

 

 

 

救急車を呼ぶべき大人の症状

次に、救急車を呼ぶべき症状をご紹介していきます。こちらは、ご自身が体調不良になった際にも使える英語表現ですので、まるっと覚えておくことがおすすめです。

 

 

Face 顔

“Have difficulties in moving or feel numbness in half-side of your face”
顔半分が動きにくい、または、しびれる

“Facial asymmetry on smiling”
ニッコリ笑うと口や顔の片方がゆがむ

“Slur of your words or improper speech”
ろれつがまわりにくく、うまく話せない

“Have difficulties in seeing”
見える範囲が狭くなる

“Double vision”
突然、周りが二重に見える

“Obviously looks sick”
顔色が明らかに悪い

 

Head 頭

“Sudden severe headache”
突然の激しい頭痛

“Sudden high grade fever”
突然の高熱

“Severe dizziness requiring help to stand”
支えなしで立てないぐらい急にふらつく

 

Chest and back 胸や背中

“Sudden severe pain”
突然の激痛

“Sudden shortness of breath or difficulty in breathing”
急な息切れ、呼吸困難

“Feeling compression in your chest for a few minutes”
胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが2~3分続く

“Migrating pain”
痛む場所が移動する

 

Stomach おなか

“Sudden severe abdominal pain”
突然の激しい腹痛

“Continuous severe abdominal pain”
激しい腹痛が持続する 

“Vomiting of blood”
血を吐く

“Blood in stool”
便に血が混ざるまたは、真っ黒い便が出る

 

Arms and legs 手・足

“Sudden numbness”
突然のしびれ

“Sudden weakness of your leg and/or arm on one-side”
突然、片方の腕や足に力が入らなくなる

 

>>付き添いの方に聞くときは、以下のポイントを確認しましょう。

 

Abnormal mental status 意識の障害

“Unconscious (no response) or stupor”
意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)

“Exhaustion”
ぐったりしている

 

Seizure/Convulsion けいれん

“Continuous convulsion”
けいれんが止まらない

“Unconscious even after termination of convulsion”
けいれんが止まっても、意識がもどらない

 

Trauma / Burn けがやけど

“Trauma with massive bleeding”
大量の出血を伴うけが

“Extensive burn”
広範囲のやけど

 

Nausea 吐き気

“Severe nausea with cold sweats”
冷や汗を伴うような強い吐き気

 

Swallowing 飲み込み

“Dyspnea with food getting stuck in the throat”
食べ物をのどにつまらせて苦しい

“Unconsciousness after swallowing something”
変なものを飲み込んで意識がない

 

Accident 事故

“Traffic accident with high energy impact”
交通事故にあった(強い衝撃を受けた)

“Near drowning”
水におぼれている

“Falls from a high place”
高いところから落ちた

 

救急車を呼ぶべき子ども(15歳以下)の症状

続いて、救急車を呼ぶべき15歳以下の子どもの症状をチェック。大人との症状の違いを事前に把握しておくことがおすすめです。

 

  

Face 顔

“Blue lips”
くちびるの色が紫色

“Obviously looks sick”
顔色が明らかに悪い

 

Head 頭

“Complains headache with convulsion/seizure happening”
頭を痛がって、けいれんがある

“Continuous bleeding, loss or abnormality of consciousness and abnormal mental status due to strongly hitting head on something”
頭を強くぶつけて、出血がとまらない、意識がない、けいれんがある

 

Chest and back 胸や背中

“Violent cough and/or wheezing”
激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう

“Weak breathing”
呼吸が弱い

 

Stomach おなか

“Severe diarrhea or vomiting, not eating or drinking, abnormal mental status”
激しい下痢や嘔吐で水分が取れず食欲がなく意識がはっきりしない

“Suffering from strong stomach pain”
激しいおなかの痛みで苦しがる

“Continuously vomiting”
嘔吐が止まらない

“Bloody stool”
便に血がまじった

 

Arms and legs 手・足

“Rigidity of legs and/or arms”
手足が硬直している

 

Abnormal mental status 意識の障害

“Unconscious (no response) or stupor”
意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)

 

Seizure けいれん

“Continuous convulsion”
けいれんが止まらない

“Unconscious even after termination of convulsion”
けいれんが止まっても、意識がもどらない

 

Swallowing 飲み込み

“Unconsciousness after swallowing something”
物をのどにつまらせて、呼吸が苦しい、意識がない

 

Urticaria じんましん

“Whole body urticarial and pallor of the face after insect bite”
虫に刺されて全身にじんましんが出て、顔色が悪くなった

 

Burnやけど

“Severely painful burn”
痛みのひどいやけど

“Extensive burn”
広範囲のやけど

 

Accident 事故

“Traffic accident with high energy impact”
交通事故にあった(強い衝撃を受けた)

“Near drowning”
水におぼれている

“Falls from a high place”
高いところから落ちた

 

Baby under 3 months old 生まれて3カ月未満の乳児

“Something wrong with a baby”
乳児の様子がおかしい

“In the case that parents find the children’s condition abnormal or unusual”
その他お母さんやお父さんから見て、いつもと違う場合、様子がおかしい場合

 

救急車を呼ぶ際のポイント

救急車を迅速に案内するため、周辺に助けてくれる人がいる場合は、救急車が来そうなところで待機して誘導してもらいましょう。

 

 

以上、救急車を呼ぶ際に使う英語をチェックしていきました。総務省消防庁のホームページでは、PDF形式のパンフレットをダウンロードすることができます。スマホやパソコンにダウンロードしておいたり、プリントアウトしたりして携帯できるのでとても便利です。

救急車の利用についての英語パンフレットのダウンロードはこちら

 

引用: 訪日外国人のための救急車利用ガイド / 総務省消防庁

 

救急車を呼ぶか迷ったら

その他、東京消防庁のサイトでは、救急車を呼ぶか迷ったときに電話する「#7119」をパソコンやスマホのオンラインから利用できる「救急受診ガイド」も。

英語版と日本版があるので、もしもに備えて両方をチェックしておけば、訪日外国人の手助けはもちろん、ご自身に降りかかる緊急時に備えることができます。

(※ご注意※)
スマホからのご利用の際、「Call 1-1-9.」「119番に電話する」ボタンは、実際に電話がつながります。確認や訓練の際は、クリックしないようにご注意ください。

 

救急受診ガイド

英語版

 

 

 

 

日本語版

 

 

 

 

引用:東京消防庁

 

まとめ

もしもの時は、慌てないことが一番重要です。いつ起こるかわからないとしても緊急時に備えましょう。

日本では救急車の不適切な利用が社会問題ともなっている側面もあります。良識のある利用のため、自分自身や大切な人を守るため、日頃から正しい救急利用や応急処置の仕方を意識して身に付けましょう。

 


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