外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【05】

理系の人こそ英語を学ぶべき理由

理系、文系と分けてしまうと英語は文系に入るので、理系には重要ではないと思っている人も多いようです。また、理系の人は文系の人より英語が苦手だという印象も根強いですね。実際のところ、どうなのでしょう?

語学は意外に理屈っぽい

「語学はふわふわした掴み所のないもので、論理的なところがない」
― そう思っている理系人も多いようですが、いかがでしょうか。確かに英語が得意な文系人で、感覚的に乗り切っている人もいます。しかし、感覚だけである程度まで行って、頭打ちになってしまう場合も少なくないようです。たまには理屈っぽく、そして理系っぽく語学を責めるのも大切なのです。

 

英語はネイティブだけのものじゃない

英語は英語圏の人たちだけのものではありません。広く共通語としての性格を持っています。それには歴史が絡んでいます。今後絶対変わらないとはいえませんが、当分の間、英語は世界の共通語として便利に使われ続けるでしょう。
専門的な文章の読み書きやプレゼンテーションも、英語でできれば断然有利です。たまのことなら翻訳者に頼めばいいかもしれません。信頼できる翻訳者が見つかれば、チェックするだけで済むでしょう。しかし、外資系の企業に就職することもあるかもしれませんし、海外の教育機関で研究することが必要になるかもしれません。英語ができないというだけでチャンスを棒に振ることはありませんよね。

 

ノーベル賞受賞者益川敏英博士のこと

科学者と英語といえば、2008年にノーベル物理学賞を受賞された益川敏英先生のことが思い出されます。受賞スピーチも「アイム・ソーリー、アイ・キャンノット・スピーク・イングリッシュ」と一言ことわった後は日本語。あそこまで実力があれば英語なんてできなくてもいいんだなぁ、と思ったものです。が、その益川先生も研究のために英語の論文を読んでいたそうで、本当に英語ができないわけではありません。英会話にしても、これからの科学者には必要だと語っています。

益川先生に言われたら、もうやらないという選択肢はありませんね。

 

理系でTOEIC 990点満点を取る人も

TOEICの参考書を書いたり英語のセミナーを開いている八島晶先生は、東京理科大理工学部を卒業した理系サラリーマン。45歳でTOEIC®初挑戦した時はスコアが475点だったそうですが、独学で990点満点を達成。八島先生の参考書はとても明解で、さすが理系と感心します。理系で英語に苦労している方は、一度手に取ってみられるといいでしょう。

 

最後に

英語が目的だという人は少ないと思います。多くの人にとって、英語は手段であり道具でしょう。良い仕事をする人は、いつも道具の手入れをしているものです。文系だから、理系だから思うと不自由になってしまいます。苦手意識を捨てて自由になりましょう!

 

引用:「若者よ、憧れとロマンを持て――後、英語は大事。」/文藝春秋BOOKS

 

ライタープロフィール●外国語人
外国語としての英語、フランス語、日本語を学生や社会人に教えつつ、通訳・翻訳の経験を積む。新TOEICのスコアは985点。この世界の様々な地域で日常の中に潜む大小の文化の違いが面白くて仕方がない。子育て中。

 

 

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