外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【20】

日本語で文章が書ける人は英語でも書ける(はず)

英検®やTOEFLにはライティングの問題があります。大学入試でも、今後ますます英文を書かせる問題が増えそうです。英語での文章力が気になっている方も多いと思いますが、基本的には、日本語で文章力がある人は英語の文章力もつけやすいものです。

論理的に文章を構成する力

文学作品では想像力が流れるのに任せてペンを走らせることもあるでしょう。それとは違い、小論文や英語のライティングでは、論理的に文章を構成することが求められます。言いたいことが明確で、相手に誤解なく伝わらなければなりません。

何から書き始め、次に何を述べ、最後をどう結ぶか。そのような構成力に英語も日本語もないことは明らかでしょう。日本語で論理的な流れを作ることに慣れている人は、英語で文章を構成するのも苦労しないはずです。

 

論理的に考えていれば論理的に書ける

論理的な文章を書くのに必要なのは、論理的に考えることです。日本語で小論文をどう書くかというアドバイスで常に言われるのも、普段から論理的に考える習慣をつけなさいということです。

普段からいろいろな話題について考えておきなさい、というアドバイスも必ず出てきます。社会の大事件や身の回りの些細な出来事について、原因や解決方法を考え、自分の意見を持つということですね。そして、その意見についての裏付けや理由も言えることが大切です。

書きたいことと構成が決まらなければ、どんなに語彙が豊富で文法が完璧でも、文章を書くことはできません。

だからこそ、英語のライティングでは、接続詞が正しく使えているかどうかが評価ポイントのひとつとなります。

 

書くこととしゃべること

おしゃべりをするのが好きな人もいれば、口下手な人もいます。外国語でペラペラしゃべっている人を見ると、「この人外国語うまいな」と思いますよね。しかし、書くとなるとまた話は別です。論理的に構成できなければ説得力のある文章にはなりません。

それはまた、おしゃべりと演説との違いでもあります。歴史に残る名演説はあらかじめ構成されたものが多く、読みごたえがあります。

おしゃべりがくだらないというわけではありません。おしゃべりは生活の潤滑油であり、ストレス解消の手段でもあり、無駄に見えて案外大切なもの。いつも家族や友達にディベートされていたら、たいていの人は逃げ出してしまうのではないでしょうか。

言葉の表現にもいろいろあるものです。

 

文構造を尊重すること

文章の構造と同じくらい大切なのがひとつひとつの文の構造です。

英作文を添削していて気になるのは、スペリングミスよりも文構造の間違い。かなりしゃべれる人でも、主動詞がどれかわからない文を書いたり、能動態と受動態を取り違えたりすることがあります。そのような文に出会うと、「これは英語ではない」と一度で印象が下がってしまいます。

 

英語で書くなら英語の基礎が大切

もちろん、日本語で論理的思考ができれば、即、英語のライティングができるわけではありません。英文法も大切ですし、キーワードは知っていた方がいいですね。

ただ、ライティングには英語力と文章力、このふたつが必要だということです。日本語で文章力がある人は、少なくとも片方はできているということです。

 

ライタープロフィール●外国語人
外国語としての英語、フランス語、日本語を学生や社会人に教えつつ、通訳・翻訳の経験を積む。新TOEICのスコアは985点。この世界の様々な地域で日常の中に潜む大小の文化の違いが面白くて仕方がない。子育て中。

 

 

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