外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【22】

英語ができるとどんないいことがあるの?

英語をやらなきゃ、という声はよく聞きます。しかし、一体何のために英語が必要なのでしょうか。海外に行く予定もなく、外国人と関わる仕事でもない場合、なぜ英語が必要なのか、疑問に思う人もいるでしょう。英語ができるようになると、どんないいことがあるのでしょうか。

英語が嫌いなある中学生の言葉

「英語なんてできなくてもいいや。海外旅行に行かないもん。」と、ある中学生がつぶやいていました。こんな風に思っている人は、実は案外多いかもしれませんね。業務に英語が必要ないのに、昇進の要件としてTOEIC®のスコアが必要になったとぼやく人もいます。

でも、日本から一歩も外に出ないでも、海外から来た人と一切関わらなくても、英語は役に立ちます

 

英語のおかげで数学が分かった高校生

パソコンや携帯などのデジタル機器とネット環境さえ揃えば、大量の情報にアクセスできるようになった現代。

ある高校生が、オンラインで数学の「神授業」を見ていました。しかし、「神授業」といえどもすべての人に分かりやすいわけではなく、この生徒には今ひとつピンとこなかったようです。

英語の得意な彼は英語で検索を開始。ユーチューブであるインド人の解説を見て、ようやく理解できたということでした。

彼の数学は、彼の英語によって救われたというわけです。

この話から言えるのは、英語が理解できるということは、日本語しか理解できない場合と比べて、圧倒的に多くの情報にアクセスできるということです。そして、アクセスできる情報の量が多いということは、選択する自由もまた大きいということです。

 

何人の人とコミュニケーションが取れるか

同じ言語を話す人が多ければ、より多くの人と直接コミュニケーションを取れることになります。
今ウィキペディアで見たところでは、英語のネイティブ人口は369,700,000人。これは世界第三位で、一位は中国語、二位はスペイン語です。

しかし、これにノン・ネイティブで英語を話せる人口を足すと、英語は898,400,000人とトップに躍り出ます。ちなみに、二位はヒンディー語、三位はフランス語となっています。

『話者の総数による言語のリスト』(Wikipedia)

 

翻訳された情報だけで十分なのか

母語だけで情報を得ている場合、元々母語で書かれたもののほかに、他人がピックアップして母語に直したものを読んだり聞いたりすることになります。

ひとつの外国語を覚えると、世界が広がるとよく言います。それは、異なる表現を知ることにより、異なる見方や感性を知るからでしょう。しかし、現代はもっと端的に、得られる情報の幅が広がるということでもあります。

もちろん、溢れるような情報の取捨選択という課題は、語学ができるだけではクリアーできませんが。

 

ライタープロフィール●外国語人
外国語としての英語、フランス語、日本語を学生や社会人に教えつつ、通訳・翻訳の経験を積む。新TOEICのスコアは985点。この世界の様々な地域で日常の中に潜む大小の文化の違いが面白くて仕方がない。子育て中。

 

 

外国語人の英語学習コラム一覧はこちら≫

 

 


「外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの」連載記事一覧

続きを見る >>

おすすめ記事