外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【30】

アメリカ人とフランス語の発音を競い、フランス人と英語の発音を競った結果

発音を気にしすぎて英語が話せなくなってしまうのはもったいないですが、発音が通じなくて聞き返されてばかりでは会話も弾みませんね。聞き返されるほどではない場合、自分の発音というのは案外分からず、他人の発音ばかりが気になったりするものです。

アメリカ人とフランス語で話して驚いたこと

ある時、フランス語を習っているアメリカ人と話していて、驚くべきことを発見しました。…つまり、このアメリカ人は自分の方が私よりフランス語の発音がいいと思っていたのです。

彼のフランス語には顕著な英語アクセントがあり、私としてはとても聞きづらいものでした。ですから私は、自分の方が彼よりずっとフランス語の発音がうまいと思っていたのです!

「でも私はフランス人と話していて聞き返されることなんてないわ。」
「ぼくだってさ。」

本当?私には彼がフランス語で何と言っているかわからないことがよくありました。
ためしにフランス人にどちらの発音が聞きやすいか尋ねたところ、

「どちらも同じくらい」

という返事でしたが、本当でしょうか。

 

フランス人と英語で話して驚いたこと

ある時、英語が話せるフランス人と会話していて、私は驚くべきことを発見しました。…つまり、このフランス人は自分の方が私より英語の発音がいいと思っていたのです。

彼の英語には顕著なフランス語アクセントがあり、私としてはとても聞きづらいものでした。ですから私は、自分の方が彼よりずっと英語の発音がうまいと思っていたのです!

ためしにイギリス人にどちらの英語が聞きやすいか尋ねたところ、

「どちらも同じくらい」

という返事でしたが、本当でしょうか。

 

これらの経験から導き出される仮説

そこで私は次のような仮説を思いつきました。

ネイティブスピーカーの英語の発音を仮にゼロとします。私の発音はそこから東に5歩ずれているとしましょう。フランス人の友人の発音は西に5歩ずれています。すると、私とフランス人の友人とは10歩隔たっていることになります。一方、ネイティブスピーカーからは二人とも5歩ずれているだけです。ゆえに、ネイティブスピーカーにとって二人の発音はそれほど聞きづらくはないということになります。

 

これらの経験から導き出される教訓

 

他人の発音を決して馬鹿にしないこと。

 

補足的な情報

ネイティブスピーカーの英語といっても、いろいろな発音があります。イギリス、カナダ、アメリカ、オーストラリアやニュージーランドなど、英語を公式な言語とする国は数多くあります。

かつて私はこう思っていました。ネイティブスピーカー同士はほぼ100%分かり合えるのだと。しかし、実はそうでもないようです。自分の英語と似ているかいないか等によるのでしょうが、場合によっては、8割から7割ほどの理解に留まるということです。

 

ライタープロフィール●外国語人
外国語としての英語、フランス語、日本語を学生や社会人に教えつつ、通訳・翻訳の経験を積む。新TOEICのスコアは985点。この世界の様々な地域で日常の中に潜む大小の文化の違いが面白くて仕方がない。子育て中。

 

 

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