ハリウッドで活躍する日本人女優 

MAY MIYATAさんインタビュー(2)

キーファー・サザーランド主演TOUCHや

世界中を沸かせた学園ドラマgleeにも出演

 

――渡米前からロサンゼルスで女優として活動すること目指していたのですか?

若いうちに英語を学びたいという目的の留学だったので、女優になることは全く考えていませんでした。日本では大学を卒業したら、就職をしなくてはならないという社会通念のようなものがあるので「早く帰らないと就職先がなくなる」と留学当初は焦っていたのですが、アメリカではおじいさんになってから俳優になるとか、年齢関係なく夢を追う人がたくさんいて、そういう人達を見ているうちに「自分も昔好きだったことや、昔夢見ていたことをやっていいんだ」と思うようになりました。もともと音大に通っていて声楽をやっていたので、ミュージカルの舞台に立つことに憧れていたことを思い出し、ミュージカルをやるにはアクティング(演技)が必要だと思ったのが演技をはじめたというのがきっかけです。また、留学先がハリウッドに近かったので会う人、会う人が俳優やプロデュサーなど業界人だったということも大きいです。ちょうど、ミュージカルをやりたいなと思った時にたまたま知人に紹介してもらった人が、すごく偉い歌の先生で、その先生に薦められて1ヶ月くらい演技の学校に通ったのですが、お金がなかったのでその後はいきなりオーディションに行くようになりました。

 

——オーディションはどうやって探すのですか?

ヘッドショット(日本語でいうところの宣材写真)と一緒に自分の身長や体重などバイオグラフィーを掲載するサイトがあって、そこに有料で登録し、自分に合っていると思うキャスティングのものに応募します。この時、経験や経歴がかなり重要になるので日本で芸能活動をしていた人なら日本でのクレジットがあるのでわりと有利だと思います。わたしは全くの未経験だったので、最初は学生団体のショートフィルムなどに応募をしました。オーディション前にメールでスクリプト(台本)が添付されてくるので、その台本を読みこんで準備をしてオーディション会場に向かい本番で演技をします。

 

―大人気ドラマに出演されていますが、その時のオーディションのエピソードを教えてください。

TOUCH(タッチ)のスクリプトはすべて英語で書かれていて、括弧でJapanese(日本語)と記載があり自分で英語のセリフを日本語に翻訳して演技をする形でした。トイレで話しているシーンで「カイラ・グラハムのファンクラブをつくろうよー」というセリフがあるんですが、オーディション時は全てのストーリーが読めるわけではなかったので、「カイラ・グラハムって誰?」と思ってイメージするのが大変でした。これが「ブリトニースピアーズのファンクラブをつくろうよ」というセリフだったら、このキャラクターはブリトニーが好きでファンクラブを立ち上げたいんだなというイメージができるけど、カイラ・グラハムがどれだけ有名でどんな人なのかを台本でイメージするのは難しくて。オーディションはすごい緊張しましたが、でも審査員達は日本語が分からないから緊張するけど噛んでもそのまま演技していこう!という気持ちでおこないました。でもその日は、きっと落ちただろうなと思って帰った思い出があります。

 

――仕事をもらえるようになるまでの苦労はありますか?

最初はオーディションに落ちる度に落ち込んでましたが、たとえ落ちてしまっても毎回オーディションで勉強させてもらっているので苦労というものはないというようにものの捕らえ方、考え方を切り替えました。TOUCHのオーディションではMIYOKOの役を募集している時に、たまたまわたしがその役の年代に見えて、たまたまその時エージェントがあってオーディションの情報がきて、たまたまその年にアメリカにいてという偶然があったので、もし渡米するのが1年遅れていたり、1年前に帰っていたらまた今とは違う未来があって。また、シーズン1か2あたりでgleeを見始めたのですが、わたしはgleeの1番最初のオーディションの時は演技をやっていなくて、テレビでティナ役の子を見て「わー、この子アジア人で。gleeに出れていいなー」と思いましたが、彼女がgleeに受かったのも彼女の実力はもちろん、タイミングであり、そういうめぐり合わせの運も実力のうちだと思います。苦労や努力したというよりは、落ちたオーディションでくよくよせずに(人間だからしますけど)オーディションを受け続け、その中でいいオーディション情報がたまたまわたしが受けた時にあったというめぐりあわせだと思います。

 

――まさにTOUCHの世界観ですね。今現在はどちらにお住まいですか?

ロスのコリアンタウンの近くに住んでいます。ダウンタウンから西に10~30分くらいいくとコリアンタウンがあって、コリアンタウンから10分北にいくとハリウッド、西にいくとビバリーヒルズがあります。わたしがいるところはハリウッドまで車で10分。ハリウッドのオーディションまではフリーウェイで車を運転して行きます。オーディション会場はノースハリウッド、ダウンタウン、ハリウッドと散らばっていますね。

 

――今後は歌の方面で活躍されたいと思っていますか?

今は自分を磨く期間でオーディションを受けながら学校に通う生活をしています。音大を出ているので、ある程度の基礎はありますが、まだまだ学ぶことはたくさんあるし、歌のレパートリーも増やしたいと思っています。将来的にはgleeのようなミュージカル作品でメインキャストとして出演できたらいいですね。

 

――MAYさんには歌という特技がありますが、留学するなら、得意なものを身につけて目標をもって行った方がいいと思いますか?

わたしは18歳の時に青年海外協力隊にいきたいと思っていて、担任の先生に音大に進学するか福祉系の大学に進むか相談したんです。先生は「青年海外協力隊に入りたいなら音大にいって何か人に教えられる特技を身につけたほうがいいと思うよ」というアドバイスをくれたので結局音大を選びました。アメリカでも周りに音大を卒業したと言うと歌ってと言われることがあり、実際歌ってみるとすごいねと褒めてもらえて自信がつきました。仲良くなるきっかけや自信をつけるためにも私は「これが得意」とか「これが好き」でもいいから強みがあるとチャンスや輪が広がると思います。

 

―海外で活躍したい日本人にアドバイスをお願いします

自分でリミットなどを決めてしまうと、何もできなくなってしまうのでリミットを設けずに、30過ぎても40を過ぎてもいくつになってもアメリカに来たい人はくればいいし、ずっと来たいと考えているなら来た方がいいと思いますよ。日本で将来海外に住みたいなーと漠然とした思いでいるくらいなら、自分のできる範囲で、単語帳を買って英単語を覚えるなど行動を起こすことが第一歩だと思います。

 

■プロフィール

MAY MIYATA(メイ・ミヤタ)
マネジメント提携事務所 プラチナムプロダクション
8月21日生まれ。東京都出身。
8音大の声楽科を卒業後、1年間のアルバイトを経て渡米。ロサンゼルスのコリアンタウンにある語学学校に1年間通った後、演劇に目覚めオーディションを受け始め、キーファー・サザーランド主演TOUCH(タッチ)や学園ドラマglee(グリー)など人気作品へ出演。現在は、アメリカの学校に通い音楽を勉強しながらオーディションを受けている。

 

 

取材・文/ 高石真帆(編集部)


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