外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【37】

ひとつの単語に複数の意味―多義語なんか怖くはない!1

ひとつの単語にいろいろな意味があると知って、げっそりしてしまうことはありませんか?たくさん単語を覚えるのも大変ですが、同じ単語の違う使い方を覚えるのも同じくらい面倒に思えることがあります。あまり時間をかけずに覚えるにはどうしたらいいでしょうか。2回にわたってお勧めの勉強法を書いていきます。

コアとなる意味に注目

多義語と言っても、たいていの場合はコアになるひとつの意味からいろいろな意味が派生しています。ひとつの単語に対して、互いに無関係な複数の意味があるのは珍しいです。例としてembraceという単語を見てみましょう。

She embraced her child.
(彼女は自分の子どもを抱きしめた。)

「抱きしめる」、つまり誰かまたは何かを自分の広げた腕の中に入れるというイメージです。embrace a new policyというと、子どもを「抱きしめる」感覚からは遠いようですが、腕を広げて新しい方針を「受け入れる」、「採用する」と考えればそうでもありません。

distinguishも良い例です。distinguish A from BABを「区別する」という意味ですね。過去分詞にしてdistinguished authorと言うと、「著名な」作家となり、distinguished appearanceで「気品のある」外見となります。過去分詞なので受け身だと捉え、(他の者から)「区別された」存在と考えれば、「著名な」や「気品ある」という意味が派生してくるのが理解できます。

それぞれの意味をひとつひとつバラバラに覚えていたら、いくら時間があっても足りないでしょう。

 

語源からイメージしにくい多義語は工夫を

とはいえ、ひとつの多義語のさまざまな意味が無関係に見え、コアとなるイメージから想像しにくい場合もあります。

例えばfare

よく見るのは、taxi fareなど「運賃」としてのfareでしょう。語源は「行く」「旅する」から来ているということなので、「運賃」はうなずけます。ところがこの単語には「料理」という意味もあります。「運賃」と「料理」というと、かけ離れているようにも感じます。

しかし、旅に食事の心配(や楽しみ)はつきものです。私は中世ヨーロッパの宿屋をイメージしてfareを覚えています。もちろんこれは覚えるための方便にすぎません。歴史の年代を語呂合わせで覚えるようなものです。語源的には間違った想像なのかもしれませんが、目的は語源の研究ではないので、とりあえず覚えられればよしとします。

「とりあえず覚える」ための工夫を自分用に作るのもいいと思います。

 

ライタープロフィール●外国語人

英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点
https://www.znd-language.com

 

 

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