外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【42】

英語の勉強に留学は必要?

英語の勉強のために留学する人は相変わらず多いようです。一方で、その時間やお金を他のことに使うべきかどうか迷う人もいるようです。今回は、今の時代に留学する意味やメリットについて考えてみたいと思います。

英語の環境に飛び込む

日本に暮らしながら英語の勉強をするときは、どんなに長く時間をとったところで、1日中英語に浸っているというわけにはいかないでしょう。仕事や他の勉強もある人は、1日2時間でも長い方かもしれません。残りの時間は日本語を使って過ごしています。

ところが英語圏に留学すれば、授業時間や自習の時間以外も英語を聞き、英語を話し、英語を読みながら過ごすことになります。

同じクラスや寮にいるのが日本人ばかりだとそうもいかないかもしれませんが、それでも一歩町に出れば、日本語の通じない英語だけの世界に放り込まれるわけです。

日本でなかなか集中して勉強できない人は、英語を使わざるを得ない環境に身を置くのが効率的ではないでしょうか。環境を変えて集中講義を受けるというだけでも、否応なく勉強することになります。

お子さんの場合はひとりで街を散策するというわけにもいきませんが、ホームステイ先やクラスメートとの外出で、英語だけの世界を体験することができます。

 

本人の学ぶ姿勢で全ては決まる

ここでひとつ忘れてはならないことがあります。留学したことがある人の方が、日本から出たことがない人より英語ができるとは限らないということです。きっと皆さんの周りにも、留学していたのに英語はそれほどでもない人や、住んでいたことがないのにバリバリにできる人がいると思います。

かつては、四技能のうちリスニングとスピーキングに関しては、留学した方がだんぜん有利でした。しかし、現代のようにインターネットでいくらでも英語が聞ける、レッスンも受けられるという時代には、日本にいながらにしてリスニングやスピーキングの練習もできます。

留学しても授業以外では日本人とばかり話していたり、休日に部屋にこもっていたりしたらもったいないですね。同じ休日を、日本で英語のドラマやニュースを見て、聞いて過ごすこともできます。シャドーイングしたり、気に入ったセリフを感情を込めて言ってみたりすれば、とても良い勉強になります。

結局のところ、どんな勉強でもそうですが、一番重要なのは本人の学ぶ姿勢だということでしょう。

 

留学とは言葉を学ぶためだけにするものでしょうか?

留学をする目的は人それぞれです。自然科学や芸術を学ぶために留学する人もいます。自分の国では得られない何かがあるから留学するのだと思います。

語学のために留学する意味は何かと考えてみると、それは単にさまざまな口語表現を覚えたり、「本場の」発音を仕込むことではないでしょう。

言葉は、その言葉で表現される文化や日常生活を背負っています。留学してその国で生活してみる利点といえば、言葉の背景をじかに経験できることではないでしょうか。

ですから、留学する機会に恵まれたら、自由時間にはぜひその国の普段の顔を観察し、有名ではない場所も探索してみたいものです。必ずしも遠くまで行く必要はありません。それは学校の近くの雑貨屋さんかもしれませんし、住民が来る小さな公園かもしれません。帰るまでに生涯の友のひとりやふたりでもできていたら、この上もない収穫です。

最後に、留学のデメリットといえば、慣れない国で危険に遭うことだと思います。未成年の場合は特に、気を付けることが必要でしょう。

 

ライタープロフィール●外国語人

英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点
https://www.znd-language.com

 

 

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