外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【43】

学校の英語にも世代間ギャップ – 会話表現と作文

日本の英語教育は読解や文法が偏重されてきたという反省から、さまざまな改革が実行されました。教科書に会話文を取り入れたり、自由作文をさせたりするのもその一環でしょう。塾や添削指導で指導者が以前の英語教育しか知らない場合、生徒との間にギャップが生まれることもあります。

ある添削指導の現場から

大学受験用の添削をチェックしていてぎょっとしたことがあります。生徒が

It’s fun.

と書いてあるところに赤い下線が引かれ、添削者の手で「このような言い方はしない。」とあったのです。

確かに、硬い書き言葉でIt’s fun.とあったら、場違いな印象を与えることもあるでしょう。しかし、添削で「このような言い方はしない。」の通常意味するところは、英語表現として間違っているということです。英語でしょっちゅう出てくる表現にこのようなコメントをつけられたら、生徒は混乱してしまうでしょう。

今は英語の教科書にさえ、会話文の中でIt’s fun.が出てくるのです。教科書に出てくる表現が間違っているといわれたら、高校生として、どうしたらいいでしょうか。

 

優秀という言葉の意味はいろいろ

「うちの添削者たちは本当に優秀です。」とその会社の部長さんはおっしゃっていました。おそらくは、私がチェックした添削者も優秀な方なのでしょう。有名大学に合格していて、英語は得意科目だったのに違いありません。

その添削者が学校で英語を習ったときにはこの表現は出てこなかったし、そもそも英語の口語表現はよく知らない人なのかもしれません。

 

正解がひとつではない自由英作文

添削指導にはマニュアルがあり、添削者はある程度マニュアルに沿って答案を直し、コメントを付けます。そのことによって、添削者による差異を小さく収め、サービスの質を一定に保つことができます。

ところが自由英作文の場合、正解はひとつではありません。
会話文の続きを考えさせる問題もあります。
与えられたテーマについて意見を書く問題もあります。
予想される答案例というものはあっても、実際にどんな答案が出てくるかわからないのが現実です。
そうすると、生徒が使った表現を添削者が知らないこともあり得ます。その中には、世代間ギャップという問題もあるでしょう。

しかし、今の時代にはインターネットがあります!生徒が見慣れない表現を使った場合、「そんな表現はない」と決めつける前に、検索をかけてみてはどうでしょうか。

 

ライタープロフィール●外国語人

英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点
https://www.znd-language.com

 

 

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