わが子に英語を身につけさせたいと考える親は多いものです。情報はたくさんあるけれど、どれが正しいのか、わが子に合っているのかなかなか分かりません。迷う親はどのようなことに気をつける必要があるでしょう。０歳から大学生までの子どもが通う、ラボ・パーティに聞いてみました。

早くから学べば英語は身につくのか？

　幼い頃から英語にふれさせたいとお考えの保護者の方も多いと思います。いまはさまざまな英語教材や英語教室があり、迷われることでしょう。お子さんにはぜひ英語とのいい出会いを作ってあげたいものです。

　しかしながら英語教育は、幼い頃からやれば身につくという研究や実証はありません。海外に移り住んだり、保護者がネイティブ・スピーカーだったりという場合は別ですが、普通に日本に住んでいるという環境で、早くから学べば英語は身につくということはないのです。

　では、わが子に英語を身につけさせるには、保護者はどうしたらいいのでしょうか。

親子で英語にふれる

　子どもが幼ければ幼いほど、英語という新しい世界に、ぜひ保護者がいっしょに付き添ってあげてください。幼いときは新しいものに対して不安がつきものです。早く自立させたいと思うばかりに、大人が「自分でいってらっしゃい」などと離しても、不安を抱えたままの子どもは、なかなか慣れることはできません。けれども保護者といっしょなら、安心してふれていくことができます。

　この「子どもの心が安定する」ということは、人間関係づくりや学力などすべての成長にとって重要なことです心が安定しないと、新しいものに挑戦できません。公園デビュー、新しいお友だち、幼稚園や小学校への進学もそうです。子どもは心が不安定なままでは、新しい世界に入っていけないのです。

　家で英語教材を開くときも、いっしょに観たり聞いたりしてください。「へえ、〇〇って言うんだね」「〇〇はなんて言うんだろう？」と、いっしょに発見をすれば、子どもは楽しみながら身につけていけます。

　「私が英語が苦手だから子どもには早くからさせたい」という、保護者の方の方もいらっしゃるでしょう。自分が苦手だと、つい子どもにだけさせたくなりがちです。ただそれだと一緒に楽しめないお子さんは、心が安定しにくいものです。ぜひいっしょに英語にふれてください。

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母語（日本語）を育てる

　英語を身につけるには、じつは母語を育てることが必要なのです。驚かれるかもしれませんが、これは本当です。

　いま小学校に入学してくる子どもたちの、言語能力が低いことが問題となっています。言語（ことば）は、思考のもととなるもので、さまざまな教科の基礎となります。ことばの力が充分でないと、自分で考えることができませんから、英語どころか、算数や国語ものばすことができません。

　いまこれをお読みいただいている方は、日本語を母語とする方だと思います。わが子に英語を身につけさせたければ、幼い時に日本語での会話や絵本の読み聞かせ、しりとりやなぞなぞのようなことば遊びや、わらべ歌などをお子さんと楽しんで、豊かな日本語を身につけさせてください。

　ラボ・パーティでは、英語を身につけるために日本語を大切にしています。日本語で仲間や指導者とコミュニケーションし、日本語での対話や物語の解釈をすることによって、日本語で考え、人とコミュニケーションできる子どもを育てています。そのことが将来の豊かな英語の使用に繋がっていくことは間違いありません。

英語を学ぶ目的を保護者が考える

　みなさんは、お子さんにどのような英語を身につけさせたいですか？　「受験に役立つため」「仕事で困らないように」「海外で活躍してもらいたい」など、さまざまな考えがあることでしょう。

　ことばは日本語でも外国語でも、自分の考えを表現し、相手の気持ちを理解するものです。ですから本来は、テストや成績のために英語を学ぶのではありません。そのような目的で学んだ英語は、それが達せられると必要がなくなるので多くを忘れてしまいます。そのように学んだ英語は、結局のところ実際に使用することはできないのです。ですから保護者はどのような英語を身につけさせたいか、よく考えて英語の教室や教材を選んでください。

　ことばは一生をかけて学び続けるものです。アルファベットが書けた、単語がいくつ言えたといったようなことで評価せずに、生涯にわたり学んでいける英語を身につけさせてあげてください。体が大きくなると運動能力が向上するように、精神的な発達に沿ってことばも発達していきます。英語も日本語と同じように、健全な精神的発達によって、豊かに育まれます。そのような英語の学びは、かならずやお子さんの幸せな将来に繋がっていくことでしょう。

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文／ラボ教育センター 広報 竹内美貴子さん
	1988年、株式会社ラボ教育センター入社。営業職として首都圏、関西エリアを担当。ラボ・パーティ教室運営のサポート、指導者育成も行う。その後、教材研究・開発、広報誌編集などにも携わり、2006年より現職。言語習得、子どもの英語学習、絵本について詳しい。イベントやキャンプでは、⼦どもを対象としたワークショップも行う。中学生以上を対象とした海外ホームステイの引率経験は豊富。

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