前回はanotherの「もうひとつ」「もうひとり」という用法をまとめました。今回の記事では、the other(s)とanotherの違いについて例を挙げて解説します。

the other(s) VS another – anotherは不特定

 もともとotherに不定冠詞anがついてanotherができたと考えると、anotherは基本的に不特定のものを指すことがわかると思います。

Weather affects all of us in one way or another.

この例文ではanotherはanother wayを指す代名詞です。

意味：天気は私たちすべてにある方法かまたは別の方法で影響を与える＝天気はすべての人に何らかの面で影響を与える。

影響の仕方はいろいろあり、その中のどれか特定のものを指しているわけではありません。

the other(s) VS another –the other(s)は他の全部

I have two daughters. One lives in Tokyo and the other lives in Toronto.

この例文でoneは代名詞でa daughter of mineを指し, the otherも代名詞でthe other daughter of mineを指しています。
ここでなぜthe otherと定冠詞になるかといえば、ふたりの娘のうちひとりについて話したら、後は特定のひとりしか残らないからです。

意味：私は娘がふたりいます。ひとりは東京に住んでいて、後のひとりはトロントに住んでいます。

「残りのすべて」が複数である場合もやはりtheが必要です。

Charlie talked to me, but all the others ignored me.
意味：チャーリーは私に話しかけてくれたが、他のすべての人は私を無視した。

その場にいるチャーリー以外のすべての人を指しており、ほかにはいないので定冠詞を使います。

次の例と比べてみてください。

Charlie talked to me, but others were just staring at me.

othersに定冠詞がついていないので、不特定の他の人たちを指します。つまり、話しかけなかった人たちの中には「私」をじろじろ見ている人もいれば、別のことをしている人たちもいたということが分かります。

意味：チャーリーは私に話しかけてくれたが、私をじろじろ見ているだけの人もいた。

練習問題

空欄に入れるのにふさわしいのはanother, the other, the othersのうちどれでしょうか。

1 Charlie is smarter than all ( ) in the class.

2 Please make two copies of the report. One for me, ( ) for the director.

3 Please make three copies of the report. One for me, ( ) for the director and the last one for the assistant.

解答・解説

1 the other
-前にallがあるので、他の人全員を指している
和訳：チャーリーはクラスの誰より頭がいい。

2 the other
-全部で二部なので、一部について話したら残るのは特定の一部
和訳：報告書のコピーを二部とってください。一部は私用、もう一部は部長用です。

3 another
-全部で三部なので、一部について話してもあと二部残り、そのうちのどちらであるかは問題にならない。どちらでもいいので特定のものではない。
和訳：報告書のコピーを三部とってください。一部は私用、もう一部は部長用、そして残る一部はアシスタント用です。

ライタープロフィール●外国語人
	英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点 https://www.znd-language.com

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