幼児英語教育のウソ・ホント - 効果が上がる方法とは? -4-

幼児英語教育について学びましょう

前回の記事では、6歳以下で英語圏に移り住んだ人は、通常ネイティブレベルの発音を手に入れると書きました。今回は、年齢と外国語習得の関係をもう少し詳しく見てみましょう。

 

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外国語習得における年齢的な限界はあるのか?

 ネイティブレベルの言語能力を獲得できるのは12歳頃までという研究が、1960年にレネバーグという言語学者によって発表されました。このように、年齢的な限界があるという主張を臨界期仮説といいます。

 後続の研究者たちは、言語能力といってもひとつの能力ではなく、発音や文法などさまざまな分野で異なる年齢的限界があると考えているようです。最も早く限界が来るとされるのが発音です。

 英語圏に移住した人々の発音と移住年齢の関係を調べる調査は、数多く行われてきました。それによれば、発音の限界は6歳から8歳ということになっています。つまり、人によって6歳でも間に合わない場合もあれば、8歳でも遅くはないということです。また、移民を対象とした調査なので、週1,2回レッスンに通うのとは違うということも言えます。実際、私が日本で会った中国人で、8歳のとき日本に来て、ネイティブレベルの日本語を話す人がいました。その人の話では、同じ時期に来日した同じ年頃の親戚の子どもたちが、全員ネイティブレベルになったわけではないということでした。

 

ジョゼフ・コンラッド現象とは

 さて、カズオ・イシグロさんの前にも、母語がほかの言葉でありながら、英語で小説を書いて有名になった人はいました。多くの英文学者に影響を与えた小説家、ジョゼフ・コンラッド。コッポラ(父)監督の『地獄の黙示録』はコンラッドの小説『闇の奥』を翻案したものだそうです。

 コンラッドの母語はポーランド語で、1857年、今のウクライナに生まれました。英語は第二言語ではなく第三言語。最初に習った外国語はフランス語だったとか。航海にあこがれ、10代でフランス商船に乗る船乗りとなります。20代のときに英国船に移り、英語を学びながら英国の航海士の資格を取得、その後、船長資格も手に入れました。小説を本格的に書き始めたのは、体調を崩して療養し、船員以外の仕事をしていたころでしょう。大人になってから英語を始めながら、今も英文学史上に重要な位置を占めるコンラッド。ところが、発音には母語の影響による強いアクセントがあったと言います。

 英語の他の技能と発音とのこうしたギャップを、言語学者スコベルは「ジョゼフ・コンラッド現象」と呼びました。

 

年齢だけが原因なのか

 ここでひとつ疑問が湧きます。コンラッドは英語を勉強する際、発音をどのくらい重視していたのでしょうか。発音はどうでもいいと思っていたとしたらどうでしょう。

 幼い子どもは、意識しないでもネイティブと同じ発音を身に着けます。では、年齢が上の人が意識的に勉強した場合、臨界期はどうなるのでしょうか。次回はこの点について解説します。

 

 

ライタープロフィール●外国語人

英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点
https://www.znd-language.com

 

 

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