2025年夏 順天堂大学セブフィールドスタディプログラム YAMASHIN CEBU FILTER MANUFACTURING CORP.を訪問

順天堂大学 国際教養学部 セブフィールドスタディプログラムの工場見学をレポート

2026.01.15 | セブ留学大学生特集現地情報

2023年から実施しております順天堂大学セブフィールドスタディプログラムが今回で3回目の実施(実施期間:2025年8月31日~9月7日)となりました。
このプログラムは、順天堂大学国際教養学部の2年生以上を対象にセブでの生活様式や問題点、SDGsなどを調査、現地学生との交流、日本法人工場見学などからなる7つのプログラムを行います。

今回、訪問させて頂いたのは2023年にも実施頂きました「YAMASHIN CEBU FILTER MANUFACTURING CORP.(以下、ヤマシンセブ)」となります。

 

順天堂大学国際教養学部セブフィールドスタディプログラムについて

順天堂大学国際教養学部では、1年生時に4週間のセブ留学プログラムが用意されており、自由参加にもかかわらず多数の学生が参加しています。
セブフィールドスタディプログラムでは、語学留学と言う一方向でセブを捉えるのではなく、セブでは人々がどのような生活を行っているのか、貧困問題やSDGsなど直接現場に出向き、実際の問題に直面し、アクションを起こす課題提起型プログラムで、3回目の今回は2年生4名の参加となりました。

こちらはセブにあるゴミ山の様子です。当日雨は降っていなかったのですが、前日の雨であたりは水没しており、水はけも悪いのでなかなか水がひきません。その中を子供たちが遊んでいます。


こちらは水上スラムの様子です。後ろの建物と対照的に手前の建物は水上に建てられています。学生は口々に台風や高波が来たらどうするのだろう、というような疑問などが出てきて、それを住んでいる方々に直接質問していました。

 

こちらは一般家庭訪問です。日本で言うような一般という定義自体が難しいのですが、家族で暮らされている家庭に訪問し、一緒に食事を作り、作った食事は周りの家庭に配るという現地での交流を体験しました。

 

今回訪問するヤマシンフィルタとはどんな会社?

神奈川県横浜市に本社を置くヤマシンフィルタ株式会社。東証プライム(旧 東証一部)上場の会社ですが、聞いたことがある人は少ないのではないでしょうか。実は皆さんの生活に直結するものすごく重要な製品を作っている会社なのです。

ここでフィルタと言えばなにが思い浮かびますか。電気・電子回路やITでも○○フィルタという用語を見かけますし、身近なところではコーヒーをドリップするフィルタでしょうか。

ヤマシンフィルタが開発・製造・販売しているのは主に建設機械用の油圧フィルタで、世界トップシェアを誇っています。油圧フィルタは、建設機械を動かすために欠かせない部品であり、その供給が途絶えれば、多くの建設・土木現場の作業が滞るほど重要な存在です。 そんな重要な役割を果たしている会社なのです。他の取り扱い製品や企業情報についてはこちらのヤマシンフィルタHPをご覧ください。
https://www.yamashin-filter.co.jp/

ではなぜセブなのでしょうか?日本の会社なので日本で製品を作っているのでは?と思う方もいると思いますが、実は早く(1989年)からグローバル化を目指してセブに進出し、今ではセブ工場の生産数が一番大きく、人数も一番多いとのことです。

 

場所

工場があるのは、セブ島の隣のマクタン島内のMEPZ(Mactan Export Processing Zone)といわれる経済特区エリアとなります。近隣にはマクタン・セブ国際空港や国際的な港があるので工場の立地としては非常に便利な場所になり、日本企業がなんと数十社も進出しています。

 

出発~到着~会社説明

公共交通機関がほとんど無いセブの朝の渋滞はひどく、朝早めの出勤をしている方が多いです。私たちも早めにセブシティのホテルを出発し45分ほどの時間をかけて、ヤマシンセブに到着しました。

秋山社長はじめ社員の皆様に出迎えを受け、さっそく工場見学の前の会社説明に入ります。

秋山社長からの説明では、ヤマシンセブの歴史だけではなく、なぜセブに工場を作ったか、どのような利点があるのか、などもご説明頂きました。日本国内の工場説明ではなかなか経験できない海外の工場見学、工場見学が初めての学生もおり、彼らの目は真剣そのものです。
説明の中で興味深かったのは、やはり女性従業員の多さです。ヤマシンセブでは女性比率が60%を超えており、平均年齢は36歳とのこと。これには学生も驚いていました。

 

工場見学へ

一通りの説明を聞いた後、みんなでYAMASHINの帽子をかぶって工場見学に出発です。

玄関前にはヤマシンセブで製造されているフィルタが陳列されており、その隣には経営理念である「仕濾過事(ろかじにつかふる)」が社是として飾られています。

セブで漢字の社是を掲げる、と言うのは、一瞬、あれっと思いますが、働いている側からすると、この漢字にはこういう意味があって、その仕事に従事しているのだ、と印象付けられるのではないでしょうか。

フィルタが作られていく工程に興味津々です。
右の写真は長い炉になっており、ここでフィルタが高温処理されています。炉なので周りはすごく熱くなっており、働いている人も大変そうです。


一言にフィルタと言っても、様々な場所・用途で使われているものなので、大小さまざまな形や作り方が何通りもあります。新しいフィルタができると、こちらの工場にも新しいラインが作られ生産されていきます。その際に働いている人を柔軟に増やしていけるというのもセブの良いところなのだと思います。

工場に入って気付くのは、人が多いところ、力仕事をしているのは男性なのですが、やはり目立つのは女性の数です。

ある部分は完全に自動化され、ある部分は職人さんのような方が作っており、この辺りの調整が難しいところだそうです。

こちらはオペレーション関連の部屋です。なんとほぼ全員が女性です。
管理職の方も女性が多いとのこと。

床にテープで商品を置く位置がしっかりマーキングされています。これが無いと商品の置き方がばらばらになってしまい、無駄な作業が発生し、事故の原因になってしまいます。


先ほどのテープでの位置設定など、工場での作業を改良していくのが、KAIZEN(カイゼン)です。そうです、日本語の「改善」ですね。この言葉は世界の製造業の共通語となっていて、製造、品質、環境などからどの部分が効率化できるか、働いている方からの提案などを掲示してカイゼンを行うそうです。
学生はこれらのKAIZENを見て、日本の良いところは外国でもちゃんと浸透していると言うことを肌で感じ取っていたようです。

倉庫もお見せいただきました。出荷と受け入れの両方をこちらで行っているとのことで、
見学の際は、受入・出荷の倉庫は荷物で一杯になっていました。
船舶や飛行機を使っており、天気や生産の増減など様々な場合に対応するために入出庫管理も非常に重要とのことでした。

 

現地従業員の方との質問・交流

現地従業員の方への質問と言うことで質疑応答を英語で行いました。びっくりするのは従業員の方々は英語が非常に堪能なこと。

ヤマシンフィルタでは、佐賀工場勤務の何名かが1週間ほどセブ工場での研修をするということがあり、フィールドスタディの期間とちょうど重なっていたため、日本人の方々とも交流をすることができました。
ここでは、日本との働き方の違いや文化の違いなどを質問しました。また海外で働く際にやっておきたいこと、など将来につながることなども教えて頂きました。

 

ランチパーティー

真剣な質問の後は、ご用意してくださったランチでパーティーです。

ジュースで乾杯の後、緊張が解けたのか皆さん思い思いの事を話す時間になりました。
現地従業員の方や、日本から来られていた方々もちょうど同じような年齢の方々でしたので、いろいろな話で盛り上がります。学生は自分たちの課題テーマなどの質問もしている様子でした。

最後に参加者全員で記念写真です。このような素晴らしい場をご用意して頂いたヤマシンフィルタ様、ありがとうございました。

 

工場見学を終えて(学生の感想)

工場見学で気付いたこと
セブの工場では、日本とは違い女性の方がとても多く、フィリピンでは女性が働くという特徴が出ていると感じました。また、セブと日本の文化の違いについても、言語の壁や、フィリピンタイムなどの時間にルーズな点があるのが印象的でした。

 

工場内は非常に清潔に保たれていました。またテープなどで四角い枠を作り、出来上がった製品をそこからはみ出さないようにしてもらうのは「カイゼン」だなと思いました。

 

清潔で、物の配置もしっかり決められており、しっかりした製品が作れると思う。

 

「Quality first, productivity follow.」が壁に書かれていたのが印象的です。また、様々なところに、3Sなどのスローガンもあったのも印象的でした。工場での作業は繊細なものが多いと思いました。

 

従業員インタビューの感想

自分たちが用意した質問にていねいに答えて頂きありがとうございました。セブと日本の文化の違いについて深く知る良い機会になりました。セブ工場で働く方たちにもヤマシンさんの良さについて教えて頂いたので就職活動の参考にもなりました。

 

フィリピンの人は英語だけでやりとりができるというのが強みだと思いました。自動車会社で働いていたが、今後電気自動車になっていくからヤマシンに転職したという話を聞いて参考になると思いました。

 

公式ホームページやネットからは得られないリアルな情報を聞くことが出来ました。自分の質問を日本人の方からも、現地の方からも答えて頂き、とても貴重な時間だったと感じました。

 

現地で働いているフィリピン人の方だけでなく、研修で来られていた日本人の方の意見も聞けてよかったです。年齢が近い人からの意見を聞けたのもよかったです。

 

大学での報告会

セブフィールドスタディプログラムは事前に何をするか個人目標を決め、帰国後、セブで自分たちが何をしてきたか、どのような問題があり、どのような取り組みをすれば良いのか、という個人プロジェクトや工場見学、学生交流の発表会があります。

お昼休みを利用した発表でしたが、ほとんどの席が埋まるような盛況ぶりでした。
今回の経験でセブの現状や日本企業の海外進出などに触れられた彼らは強くなってくれると思います。


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