日本人が驚く子育ての違い
アメリカと日本 デイビッド・セイン編

海外の子育て事情取材で
編集者が驚愕したこととは?

2014.08.22 | 注目コラム子ども英語

国が違えば考え方が違うもの。当然子育て事情もまったく違ってくるのは想像できますが、いったいどんなところが違うのか、具体的に知りたいと思っていた編集者が、国際結婚している人や在日外国人を直撃。

今回は、英会話スクール講師で多数の英語語学書の著者でもあるデイビッド・セイン先生に、「日本で驚いた子育て事情」を伺ったところ、反対に日本人である編集者が驚いたり感心したアメリカの子育て事情をシェアさせていただきたいと思います。

 

1.子どもが泣き叫んだら
とにかく思いっきり泣かせる
 

 

日本では公共の場などで子どもが泣き叫ぶと、人口密度が高いのと特に都心部では電車での移動も多いこともひとつの原因なのかと思いますが、「ほかの人に迷惑がかかる」「両親として子どものしつけが良くない」「恥ずかしい」と先に考える傾向があるような印象です。 そしてとにかく何とか泣き止ませて静かにさせようと「周りに迷惑でしょ」「静かにしなさい」と言い聞かせたりすることが多いですよね。

 

一方、アメリカは車社会のせいもあるのか、すぐ車に連れて行ったり、外に連れ出したりとか、人がいない場所に移動したりして、思いっきり泣かせることが多いです。 その時親は知らん顔を決め込み、話しかけません。時にはOk, I’m leaving! Good bye! などと言って、泣いても振り回されないという毅然とした態度で臨むのがよく見られる対応です。

 

また、車も人気のない場所もなく、どうしようもない時は、その場でYou’re driving me crazy! Shut up! などと言っている場面を見たりすることがあります。中にはほかの人に迷惑がかかる、と考える人もいるかもしれませんが、どちらかと言えば自分たちが疲れたからだと思います。

 

しかし子どもが泣くのは一種の感情表現であり、成長過程での行動のひとつ。そこまでの熱意や主張があるのはいいことでもあり、子どものわがままと考えるのか線引きするのは難しいので、個人的には後者のとにかく泣くのを止めさせようとする対応には疑問が残ります。

 

各家庭によって考え方や対応は変わってきますが、子どもが泣き叫ぶ時、まずは疲れるまで泣かせれば、そのあとは少し落ち着いた態度になることや、気が変わることを期待するのが一般的にアメリカでよく見られる親の反応です。

 

 

2.「自分で決めて行動する」
自立心を育むアメリカ流子育て法

 

私の両親もそうでしたが、アメリカでは日常の些細なことでも子どもによく質問をします。 例えば「今日は何を着ていく?」とか。それにより洋服は小さい頃から自分で選ばせるなど、主に「何がしたいの?」とか「どう考えているの?」などを中心に質問することで、子どもに考えさせて自立心を促します。

 

英語ではI’m proud of you.という言葉があり、子どもに対して言ったり、他の人にI’m so proud of him.と言ったりします。日本語では「私はあなたを誇りに思う」と大げさになり会話の中であんまり使いませんよね。

 

この言葉には「自立した」という意味合いが強く含まれていると思います。この言葉を使う状況としては99%、子どもが自分で何かできた時です。
つまり「よく私の手を借りずに自分の力でできたね」「大人になってきたね」というニュアンスが前提にあり、それも含めて「誇りに思うよ」という言い回しになり、自立したことを褒めるのです。

 

一方、その点では日本人のお母さんたちは過保護というか、それほど独立して欲しくない部分がある印象です。
例えばうちのワイフ(日本人)なら「娘はどこの大学に行かせる?」などと言うことがありましたが、私からすれば「そんなことまで親が気にするの?自分で考えたいでしょ。」と思いました(笑)。

 

家庭によって少しずつ違いはありますが、早くから「自分で決めて自分で行動する」というのが一般的なアメリカの子育てで、大学生くらいまで進路などにも比較的親の介入や影響が多い日本の子育てとはちょっと違いますよね。

 

 

3.小学生になったらお金の管理を任せる
株をはじめる子どももいる!?

 

日本と似ているようでちょっと違うのはallowanceという、日本で言うお小遣いみたいなもの。

 

日本だと必要なものがあればちょこちょこお金をあげたりしますが、アメリカでは小学校入学から割と大きい金額をあげて、学校の文房具、おやつ、家庭によっては洋服まで、全部自分で考えて記録もつけて、お金を管理することを学ぶのが一般的です。

 

家庭によっては株などをやっている子どももいます。だいたい5~6歳から、遅くても10歳くらいまでに始めます。

 

日本よりもルールが厳しいので、足りない時は「2週間後ね」と言って期日が来るまであげません。
ですから足りない時は近所の子どものベビーシッターや芝刈りなどを引き受けたり、自分の家の掃除を手伝ったりして自分でお金を稼ぐことも学びます。 またこれらはいい経験になるからと親もやりなさいと勧めるんですよ。

 

お金の管理の面でも、日本より比較的早い年齢で、自分で計画して管理・行動させるという、子どもの自立を促す社会ができあがっていると思います。

 

 

4.これは真似したくない! アメリカで大問題!
Hi proactiveな子どもたち

 

今アメリカで問題になっているのはADHDの子どもたち(日本語では「注意欠陥多動性障害」と言うようです)。
アメリカに住むいとこたちの話では、クラスの3割くらいがADHDとされ、一定時期薬を処方され飲まなくてはいけません。

 

実際に病気だと言う人もいるし、原因についてはいろいろな見方があるようですが、そのひとつに、朝からシリアルやオレンジジュースなど、糖分をたくさん摂取する食生活に大きな原因があるのではないかと言われています。

 

具体的な症状は子どもによってそれぞれでしょうが、簡単に言えば、朝食で糖分を摂取し過ぎたことにより、学校に着くころにはハイパーになり、非常に落ち着きがない状態になります。
手におえない学校は保護者と相談し、ADHDの症状を抑える薬を子どもに飲ませるのです。

 

親戚の子どもの中にも一定時期飲んでいる子どもがいましたが、あらゆる薬に副作用があるように、この薬にも必要以上に気持ちが落ち込むような副作用を感じて気分が悪くなったそうです。

 

ちょっと懐疑的な見解もあって、製薬会社から学校にお金も入ってくるため、そのせいで飲んでいる子どもが増えているのでは、という人もいます。

 

ですからこの点では、日本の朝食のほうがはるかに健康的でいいと思います。

 

デイビッド・セイン

アメリカ合衆国アリゾナ州出身。カリフォルニア州アズサパシフィック大学(Azusa Pacific University)で、社会学修士号取得。 証券会社勤務を経て、来日。日米会話学院、バベル翻訳外語学院などでの豊富な経験を活かし、現在までに140冊以上、累計350万部超の英語関連本のベストセラー著者。英会話教室の運営、翻訳、英語教材制作などを行うクリエイター集団『エートゥーゼット』の代表。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発する、日本における英会話教育の第一人者。

今回は高校からアメリカに留学して現在アメリカの大学に通う長女のアンナさんからもお話を伺いました。

 

 

 

 

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