『発音の鬼が日本人のためにまとめた
ネイティブ発音のコツ』リチャード川口

話題の英語学習本の著者を直撃! Vol.4

話題の英語学習本の著者を直撃するインタビュー。第4回目に、『バンクーバー 発音の鬼が日本人のためにまとめた ネイティブ発音のコツ33』著者、リチャード川口さんをお迎えしました。 “発音の鬼”ことリチャードさんはカナダ生まれで、日本、カナダ、アメリカ、オーストラリアで暮らした経験をもつバイリンガル英語教師。カナダのバンクーバーでTOEIC®対策スクールの講師として活躍した後、今年の3月、東京に『RK English School』を開校させました。そんなリチャードさんに、日本語と英語の両方を理解する立場だからこそ感じた、日本人の英語学習法や発音の問題。また、日本人向けに開発した独自の学習メソッドなどについてお伺いしました。

 

――「発音に自信がない、スピーキングが苦手」という日本人が多いです。その原因はどんなことでしょう?

 

単純に発音の学習をしてこなかったからだと思います。中高では単語や文法の勉強はしますけど、発音はないがしろにされがちじゃないですか。でも、せっかく英語を勉強しても発音が分からないと話せる気がしないし、音楽や映画で英語に触れても何を言っているか分からないですよね? そんな時にみんな「自分は英語が全然分からない、出来ない」と自信をなくしてしまうんですよ。
あと、カタカナ英語に慣れすぎてしまって、ネイティブの発音に抵抗を感じる方も多いですね。英語と日本語の発音は全く違って、例えば「働く」「歩く」の両方ともいわゆるカタカナの「ワーク」「ウォーク」の発音とは全然違い、日本語にない口の使い方をします。授業ではそのコツを教えるのですが、「発音してみて」と言っても、恥ずかしがっちゃう方も多いです……。

 

――確かに、学校で発音をきちんと教わった覚えがありませんし、ネイティブの発音が恥ずかしい気持ちも分かります。

 

そういう方は多いですよね。ただそれって、教える側に問題があったのかなとも思います。僕は学習の根幹から変えるために、先生たちに発音を教えたいという思いもすごくあって。
もちろん単語や文法もめちゃくちゃ大事ですけど、発音と他の要素を別個にしないで「こうやったら、発音をちゃんと教えられる」という明確な方法を浸透させたいですね。英語教育に“発音”というピースがはまるだけで、日本人の英語に対する意識がかなり変わってくると思うんですよ。
学校で教わる英語って“使う前提”のものじゃなくて、“受験前提”じゃないですか?文法などには正解と不正解があるから、単純に「ここをこう覚えましょう」という教え方ができますが、発音は、正解と不正解がはっきりしにくくて、教えるのも大変です。100点中、何点というテストにもなりにくいですからね。テストベースのカリキュラム上、重要視されてこなかったのかもしれませんね。ただ、実用的な英語の必要性がどんどん高まってきた今、そのしわ寄せがきているのも確かですね。

 

――テストのためじゃない、使える英語を身につけるにはどうすればいいですか?

 

「日本語との違い」を理屈で理解し、実践していくのが、僕は大事だと考えています。
例えば、日本語にはない発音を理解して、それをちゃんと使えるようにならないといけないのも一つです。
例えば、同じ『あ』でも英語の発音だと5種類あるんですよ。「同じ『あ』だし、5種類の違いを区別しなくても通じるでしょ?」と思うかもしれませんが、それを間違えるとネイティブには通じないです。日本語でも「あそぼう」を「おそぼう」と言っても通じないですよね。それと一緒です。
発音を仕分けられるようになれば「5種類で全然違うじゃん」と当たり前に理解できるんですけど。やっぱり日本語英語とネイティブの英語には色々と違いがあるんですよ。

 

大人って「なるほど! だからか、だからか」と理屈に納得しながら身につけていくので、発音って感覚で覚えるイメージがあるかもしれませんが、大人に「感覚で覚えろ」というのは暴力的というか、出来ないと思います。
もちろん感覚が大切な部分もあるんですけど、学習の“とっかかり”としては、何故そうなっているのかを納得して、そこから根拠と自信を持ってその発音が出来るという感じですね。
例えば「この発音はこう音が濁ります。曖昧な音になります。なぜならこういう理由だから」と納得できる要素をつかめば、今まで考えもしなかった仕組が分かるようになって、発音ってめちゃくちゃよくなるんですね。それを伝えるのが教える側のテクニックだと思います。

 

――発音って感覚で覚えるものだと思われがちですが、理屈で覚えていくというのがすごく新しいなと思いました。

 

ポイントを理屈で理解した上で繰り返し発音を練習すると、正しい音の感覚が体でわかるようになるので、違いを聞き分けられるのが段々当たり前になってきます。この感覚はどれだけ時間をかけて英語を聞きまくっても、自分が発音できない限りは身に付きません。正確には“感覚を身につけるための理屈”ですかね?
理屈といっても、「どういうときに音が消える」とか「口の左右を引いて“え”と発音する」とか、いってしまえば簡単なコツです。例えば「angry:アングリー(×)」を「エァングゥリー(○)」とどうやって発音するのかという仕組みが分かれば、誰でもちゃんと出来るようになりますし、こういう積み重ねで応用も効いてどんな単語や文章も発音の仕方が見えてくるようになります。

あと、「使える英語を身につけるために」という点では語順が大事ですね。日本の英語学習でよくないなと思うのが、英語を完璧な日本語に訳す学習の仕方をすることです。これも採点がからんでくると仕方ないことなのかもしれませんが……それだとほとんどの文を後ろから前に訳すハメになるじゃないですか。
当たり前の話ですが、本来英語って英語の語順のまま理解できるようになっています。それを後ろから逆の順番で訳すクセをつけてしまうと、英語で絶え間なくしゃべったり、聞きながら理解していくことができなくなってしまうんですよね。うちの学校(RK English School)では英語の語順の仕組を理解し、日本語を挟まず思考することにこだわっています。そんなアプローチを“英語脳を鍛える”といっています。

英語は日本語と違い “語順の言語”なので、そこをしっかり勉強する必要があります。
例えば、動詞と名詞で全く同じスペルの単語もありますが、それがどんな働きと意味を持つのかは文中の位置で決まってくるので。
その語順の法則を理解して発音にも自信がついてくると、どんどん英語が話せるようになります。英語って総合的に勉強しないといけないもので、使える英語を身につけることを前提としたら、そういう学習の仕方をしないとダメだと思います。

また、学習する人にはそれぞれのゴールがあると思うのですが、ゴールまでの全体像を見失わないよう教える側が「今は何のために、何をやっているか」を明確に分からせてあげることも大切です。優れた先生がどんなにいいことを教えても、生徒が「何のためにやっているのか」「これが何の役に立つのか」を理解していないと、英語は絶対に身につかないんです!そこがないがしろになったまま英語の授業が行われるから、学生のとき英語が嫌いになってしまう人が多いのではないでしょうか?もちろん進学のためっていうのはあると思うけど、それは英語の本当のゴールじゃない。英語は絶対に「使うためにある」というのを忘れてはだめです。

 


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