難しい言い方があだに!?
文字の会話だからこそシンプルに伝える
デイビッド・セイン先生が教える
日本人のヘンなビジネス英語
ビジネスシーンで使いたいのは、英語が母国語でない相手とやりとりすることも多いから、シンプルでわかりやすい簡単な英単語や英語表現ですよね。簡単な英語の中にも、日本人が言ってしまいがちな間違い英語や、表現をちょっと直すだけでスマートなビジネス英語になる表現があるんです。
そんなビジネス英語表現を2週間に1度、人気英会話講師である、デイビッド・セイン先生に教えてもらいます。日本人なら誰でも身に覚えがありそうな、ケアレスミスを減らして、スムーズなビジネスコミュニケーションしてみましょう。
第11回 メール
ビジネスカジュアルはシンプル・イズ・ベストが基本
イマイチ英語
I’ll take that into consideration.
それを考慮に入れます
イチオシ英語
I’ll consider that.
それを考慮に入れます
長い=フォーマルではありません
considerを使って同じ意味を表すふたつの表現を取り上げています。「イマイチ英語」のtake ... into considerationは、「~を考慮する」ということ。「イチオシ英語」のconsiderもまた、「~を考慮する」という意味です。
どちらもまったく正しい言い方なのですが、今回問題にしたいのは、ときどき「少しひねった表現」や「より長い表現」の方がビジネス向きの英語であると思ってしまっている人がいるということ。もしあなたがその1人なら、それは見当違いです。considerより、take ... into considerationの方が丁寧であるとか、フォーマルであるということは決してないのです。
ちなみに、メールでは、以下のような文脈で使うことができます。
シチュエーションシステム会社を選択するときは、価格だけでなく、どんな会社と取引があるかということも確認するといいよ、と同僚にアドバイスされて
Hi Jim,
Thank you for your insight. I’ll consider that when making a choice.
アドバイスをありがとう。選択するときの判断材料にしますね
Hanako
回りくどく、長い文章は誤解も生みやすいので、難しい表現を使うことは避け、「わかりやすい平易な表現」による円滑なコミュニケーションを目指しましょう。
その他の例
実際のところ、今回の「イマイチ英語」と「イチオシ英語」は長さにおいてもニュアンスにおいても、それほど差はありません。以下は、より違いがわかりやすい例です。
△ I cannot help but think that there is anything we can do about it.
それに関しては手の施しようがないと思わずにはいられません
*I cannot help but ...で「~せずにはいられない」
○ I think that there is anything we can do about it.
それに関しては手の施しようがないと思います
△ It won’t take long to find out what’s going on.
状況を把握するのにそう時間はかからないでしょう
○ I’ll find out what’s going on soon.
すぐに状況を把握するようにします
受動態と二重否定の使いすぎは×
受動態と二重否定の文は回りくどくなりがちです。使ってはいけないということではないのですが、多用は避けましょう。シンプルで、ポジティブな言い回しの方がビジネスカジュアルでも好まれます。
受動態
△ It was accepted by the board.
役員会に承認されました
○ The board accepted it.
役員会が承認しました
△ It would be appreciated if you could help me with an reception desk.
直訳:あなたが受付を手伝ってくれたら感謝されるでしょう
○ I would appreciate it if you could help me with an reception desk.
あなたが受付を手伝ってくれたらありがたいです
二重否定
△ It’s not impossible to cut down the material cost.
材料費削減は不可能ではありません
○ It’s possible to cut down the material cost.
材料費削減は可能です
△ Nobody had nothing to complain about the seminar.
セミナーに関する不満は誰からも聞かれませんでした
○ Everyone seems to have been satisfied with the seminar.
セミナーには皆さんそれなりに満足したようです
関連表現
ビジネスで即答を避けたい時の便利表現はこれ!
I’ll consider that.「それを考慮に入れます」は、結論などを先送りにするときのひとつの言い方ですが、ビジネスにおいては即答や即断を避けたいケースが多々あるのではないでしょうか?いくつか便利な表現をご紹介します。
I need to get my boss to sign off on that.
それについては上司の承諾を取り付けなければなりません
*sign off on ...で「~を承認する」
If it were my decision, I’d say yes, but it’s out of my hands.
私が決められるならば「はい」と答えたいのですが、最終的な決定は私自身にはできないのです
*out of one’s handsで「~の管轄外で」
When I get back to the office, I’ll talk to our engineers.
社に戻ってから、担当のエンジニアと話してみます
I will be sure to give you an answer tomorrow.
この件につきましては、明日、必ずこちらからご連絡するようにいたします
今回のボキャブラリー
「結果論」をもっとネイティブっぽい表現で言ってみよう
「結果論」に相当する英語にはafterthoughtという言葉がありますが、もっと実用的な表現としては、Everyone has 20-20 hindsight.などがおすすめ。「20-20」というのは視力を表す数字で「とても目がいい」ということ。hindsightは「あと知恵」という意味なので、全体で「今振り返れば過去がクリアに見えるものだ」「後からならなんとでも言えるよね」という意味を表す慣用句です。類似表現には、Don’t cry over spilled milk.「済んだことを悔やんでも仕方ないよ」などがあります。