英語力、国際感覚を培う教育を強化
海外の青年を招く「JETプログラム」

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グローバル化の波を受け、日本の英語レベルの強化が急務とされている現在、一部の企業では、「会議を英語で行う」「一定の英語力を昇格時に課す」などの試みを始めています。そしてもちろん教育の現場でも、グローバルに活躍できる人材輩出を目指し、様々なプログラムが推奨されています。そこで今回は、文部科学省 外国語教育推進室長の田渕エルガさんに、日本の英語教育の強化の必要性と、強化策のひとつである「JETプログラム」についてお話を伺いました。

 

「文部科学省は生徒に求められる英語力の目安を示してきました。具体的には、中学校卒業時に英語検定試験であれば3級程度以上、高校卒業時では準2級~2級程度以上としていますが、その達成度は3割程度にとどまっています。

文部科学省は、日本人の英語力をよりレベルアップするため、2013年12月13日、グローバル化に対応した教育環境を初等中等教育段階から整える策として『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』を発表しました。

この計画では、英語力の目安として、ヨーロッパで広まり、現在では外国語能力の参照枠組として国際的に普及しつつあるCEFR(※)のレベルを提示しました。また、高校卒業段階での目標設定を他国の水準に合わせたCEFRのレベルで示しました。

2013年度より年次進行で、高校における英語の授業は英語で行われることになりましたが、この計画では中学校でもこれを同様に導入することとしています。また、小学校5・6年生を対象に“外国語活動”として外国語の音や簡単な表現に触れる取り組みが始まっていますが、これを3・4年生からのスタートに引き下げることも検討しています」

 

※CEFR:Common European Framework of Reference for Languagesの略。ヨーロッパで開発された、「言語能力」を示す共通参照枠

 

英語学習の強化に伴い、英語教師の技量もますます問われますね。

 

「そうですね。“英語力=教える技術”とは限りませんが、対策のひとつとして、外国語指導助手を小・中・高等学校に派遣する『JETプログラム』という取り組みは、ますます強化が必要になってくると思います。ネイティブの発音を耳で聞き、学んだ表現を実際に使って英会話力を高めることはもちろん、ネイティブと触れ合うことで異なる人種や文化を受け入れる土台を形成していきます」

 

そんな、英語教育の強化策として期待される「JETプログラム」ですが、具体的にはどのような制度なのでしょうか。また、どのような人がそのプログラムに参加し、活躍されているのでしょうか。

 

「『JETプログラム』は、海外の青年を外国語指導助手や自治体の国際交流員として日本に招く事業です。外国語教育を推進し、日本の地域国際化を推進することを目的として、昭和62年より導入されました。参加者は、外国語指導助手(ALT)、地域における国際交流員(CIR)、スポーツ国際交流員(SEA)の3種類に分けられますが、その多くが外国語指導助手であるALTです。ALTは外国語担当教員の“助手”として、教材作成や英語の課外活動などに従事するかたわら、地域のイベントやボランティアへの参加も積極的に行います。

平成25年度参加ALTの出身国は26カ国に及び、毎年平均しても20カ国以上の外国人の方が参加しています。応募資格は大学の学士号取得者(見込者含む)であることや、日本について関心があることなどです。25歳前後の参加者が多く、選考についてはかなりの競争率となっています。参加期間は、基本1年間で、最大5年まで延長することができます。参加後は母国で教師になったり、外交官になったり、とにかく“日本のファン”になってくれる人が多く、JETプログラムが国際交流の一端を担っていることをうれしく思っています」

 

JETプログラムにより外国語能力・国際感覚を培った多くの日本人が、グローバルに活躍することが期待されます。「小学校時代から外国人が身近にいた」という世代が社会に出たときに、世界に通用する日本人が増えていることを願いたいですね。

 

取材・文/坂口弥生


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