Reginaa代表 大畠佑紀さん
「言葉の違いは仕事力でカバー!」

Successful Interview!
~英語力を活かして働く~ Vol.01
大畠佑紀さん

ビジネスの急速なグローバル化が進む今、英語を学び「企業のグローバル化に備えたい」「世界規模の仕事がしたい、海外で働いてみたい」と考える人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、シンガポールで、携帯モバイルの機能を活かしたコンテンツを提供、また企業向けに販促支援や業務効率化のサービスを提供する『Reginaa Pte. Ltd.』代表の大畠佑紀さんに、会社を立ち上げるまでの経緯や奔走劇、また、グローバルに働くために身につけておくべきスキルについてお伺いしました。

取材・文/甲斐真理愛(編集部)


「海外で仕事をしたいと思うのなら、
思い切って挑戦してほしい」

——単身でシンガポールに移住し、モバイルマーケティングの会社を立ち上げた大畠さん。海外で仕事をしたいと思ったきっかけは?


18歳まで器械体操をしていたので、試合や合宿で色んな国に行っていました。その頃から「海外でなにかやりたいな」と考えていて。そして大学を卒業後、ベンチャー企業で2年ほど働き、その後、モバイルマーケティングのシステムをつくる外資系企業に就職しました。そこの社員は、アメリカ人やイギリス人ばかり。当時の私は英語もITも分からなかったのですが、ボスから「君はコミュニケーション能力だけはあるから、営業を任せたい。大丈夫、みんな日本語を話せるから」と言われて。でも、入社初日の打ち合わせがオール英語で「さっぱり分かりません」と(笑)。


——そこから無我夢中で仕事をしているうちに、英語を覚えたという感じですか?


そうですね。英語ができないと仕事にならないので。「この人たちは、何を言っているのだろう?」と考えながら、一生懸命調べて。まぁ調べるというより、聞きましたね。ホワイトボードとペンを持って毎日、彼ら(イギリス人やアメリカ人の技術者)の横につく…という感じでした。そんな状態で、技術者とお客さんの間に入って通訳するのはドキドキでしたけど、面白かったですよ(笑)。それなりにトラブルも経験しましたけど、それは言葉のせいじゃなく“自分のスキル”の問題。問題が起きたときに「じゃあ、どうすればいいか」と考えて解決できるコミュニケーションスキルとビジネススキルを持っていれば、言葉の違いなんてたいしたことじゃありません。あとはビジネス上で言うと、海外に出る際には何か特別な、自分にできることがあればよいのではないでしょうか。

——では、シンガポールに移住した当時の大畠さんの“特別なこと”とは?


大畠佑紀さん
日本で培ったモバイルマーケティングに関する経験でしょうか。私が、事業でやっているのは『おサイフケータイ』とか『携帯クーポン』などですが、そういう分野は日本では当たり前でも、私がシンガポールに来ようと思った2011年当時、ここ(シンガポール)ではまだ「スマートフォンサイトってPCサイトを小さくしたやつでしょ?」なんて言われる状態でした。そもそも、最近まで携帯を活用したマーケティングのマーケットが日本にしかなかったので、そのノウハウとかスキルがこっちで使える武器になるなと。で、シンガポールに来たんですね。ただ、何のコネクションもなかったので、事業のきっかけをつかむために、シンガポールの色んな企業に電話して面識をつくり、ビジネスノウハウやニーズなど、分からないことを聞きまくりました。

——えーっ! どこに電話したんですか?


シンガポールで(モバイルマーケティングと)似たような仕事をしている企業です。“デジタルエージェンシー”とか“Webマーケティング”でワーッと検索して。で、「私はこういう者で来週シンガポールに行きますが、会ってくれますか?」「携帯マーケティングに興味がありますか?」と話しました。そうしたら、結構みなさん「面白そうだね! いつ来るの?」と反応してくれて。それで、2011年の4月に、当時勤めていた会社の社長を連れてシンガポールに行き、またその2ヵ月後に「シンガポールだけじゃ分からないから他の国にも行こう」と1ヵ月間で4ヵ国を単身まわって。結局、300人くらいの企業の方々とお会いして本当に興味をもってくれた各国の企業の方々と、2011年の10月、マリーナベイサンズで『アジア・モバイル・サミット』というイベントを開催しました。


——すごい行動力! なんのコネもなくはじめて、勝算はあったのでしょうか?


勝算というより「やってみないと分からない!」という思いはありました。私、昔から根拠のない自信だけはあって。器械体操をしていたからよほどのことじゃないとビビらないというか、何があっても「死ぬワケじゃないし」と(笑)。

皆さんも、やりたいことがあるなら、何でもやってみたらいいと思います。海外で仕事をしたいのなら、思いきって挑戦したらいいと思う。でも、色々と準備をすることは必要ですよ。その準備は、単に英語を身につけるだけではなくて“仕事の能力”を高めることが重要です。私も、ずっと海外で仕事をしたかったのですが、「まずは日本で一生懸命仕事のノウハウを身につけて、一人前の仕事ができるようになろう」という思いが強くありました。そんな思いでスキルを高めたから、30歳の誕生日前、やっとこっち(シンガポール)に出てくることができたと思っています。


大畠佑紀さん
■プロフィール
大畠佑紀(おおはた・ゆうき)
1982年生まれ。シンガポールにて、モバイルの機能を活かしたコンテンツや販促支援・業務効率化などのサービスを提供する『Reginaa Pte. Ltd.』を経営。中学3年生で器械体操全日本選手権個人総合優勝、全日本ナショナルチーム所属。大学を卒業後、新卒でインテリジェンスへ入社。ベンチャー企業での事業運営を経て、アプリ開発などを行うガプスモバイル社の立ち上げメンバーとして参画。モバイルを使った販売促進支援やドコモのiコンシェルサービスの営業経験を積んだ後、単身シンガポールへ渡り、2011年11月に同社を設立した。
●『Reginaa Pte. Ltd.』HP http://www.reginaa.com

■大畠さんのキャリアパス
幼少期から器械体操を始め、中学3年生で器械体操全日本選手権個人総合優勝、14歳で全日本ナショナルチーム所属。
2005年3月 筑波大学卒業
2005年4月 『株式会社インテリジェンス』入社
2007年10月 外資系ベンチャー企業の日本での立ち上げ・運営に携わる
2009年3月 GPSを活用したモバイルマーケティング支援『株式会社ガプスモバイル』の立ち上げメンバーとして参画
2011年11月 単身シンガポールに渡り『Reginaa Pte. Ltd.』を設立
アジア全域にモバイルマーケティングを広げることが、現在の使命。


おすすめ記事