欧米就職に「新卒」はない!
キャリアがモノを言う就職事情
日本人の知らない 海外就職で本当に必要なスキル
就職活動時「新卒」という優遇は日本独特です。欧米では、スキルや仕事のキャリアのない「新卒」を一斉に採用するような習慣はありません。プロフェッショナルしか相手にされない欧米就職でのサバイバル法をお伝えします。
欧米に「新卒」というポジションはない
もう5月! 新卒のみなさんもそろそろ新しい環境に慣れ始めてくる時期ですね。
さて「新卒」といいますと……欧米ではやっかいモノ!!
1から教え込まなくてはいけないし、生産性は低く、他の社員の手間がかかるなど一人前に育てあげるまでの投資になるうえ、転職率も高いので投資してもリターンの見込みが少ないというところもあり、欧米では有名校出身でも学歴だけでは相手にされない「新卒」。
「新卒も可能」という募集もありますが、「新卒歓迎」のところは無給の内容が多く、英国ではトータルの雇用の0.5%を見習いにあてなければいけない規制が今年から発生するなど、規制化しなければ企業がなかなか新卒を受け入れない実態がお分かりになるかと思います。
欧米での就職活動は個人バラバラなので、日本のように決められた面接時期もありません。ただ転職率も高く、解雇も多いので重要なポストでもどんな仕事でもいきなりぽーんと空く、というパターンが日本より断然多くあるわけです。
キャリアがない人間はインターンシップから
経験と実績が全ての欧米社会では、とにかく業界に足を入れたモン勝ちです。
しかし業界に入るためにも経験が必要なので大変です!
ポジションに空きがない会社で仕事をとる、無給でも競争率が高いインターシッププログラムを勝ち取る、ゼロからのネットワーク作り、機会やチャンスを自ら作り、もうマニュアルなんてありません。自分で切り開いていかなければ入られない領域です。
頼み込んで得た契約書もお給料もないインターン中、半年後に偶然秘書の座がぽっかり空いた……というのが私のキャリアの始まりでした。
amazon社で、経験がそれほど問われなかったジュニアのポジションも、以前から面接官と共用駐車場で仲良くなった子が選ばれたりなど、経験とも言えない日々の他愛ない出会いや努力の積み重ねが運を分けるのです。
デキる人間は就職よりも起業がトレンド!?
今の時代、デキる人間や「新卒」は、経験無しでは入れてくれない会社に入る努力をするぐらならと自分でさっさとビジネスをはじめて成功をおさめるということも多いですよ! もはや優秀な会社員としての競争はオールドファッション! そういった意味でも、欧米の仕事市場は変化しつつあります。
今「プロ」が見直されている
営業職を経て管理職……という流れは欧米でもよくあるパターンですが、昇格の流れは今まさに変化しています。例えば、営業職と管理職に必要なスキルというのは異なるので、営業のセンスがある人で管理職も同じようにこなす人材というのはなかなかいません。そのため、営業が得意な人はとにかく営業のプロへ育てあげ、マネジメントが上手な人は最初から管理職につけて、とにかく管理職のスキルを磨かせる。 こんな風に横に伸ばす「プロ育て」が最近増えてきているのです。 こういう会社の戦略において新卒が入る隙はありません。 でも、得意なことに熱中していればいいだけなのですから、意外と簡単です! 将来は海外で働きたいというあなたは、苦手なことに時間を費やすのは今日で終わりにしましょう。欧米転職の際は必ず重宝されますよ。
伊勢 音亜(いせ・おとあ)
英国在住暦22年。社会人暦10年。元コンサルタントの英国人起業家に付き添いVC、スタートアップ、飲食業界、ブランディングなど幅広い業界にて幅広い経験を持つ。現在はロンドン、LEON社にてエンゲージメント、ブランドコミュニケーション、社内報の編集を担当。
「人を動かす英語術」紹介しているブログもチェック→ http://ameblo.jp/otoa-ise/