アイカム代表 福井美由起さん(前編)
「営業力×英語力が私の原点」

Successful Interview!
~英語力を活かして働く~ Vol.02

「英語を学び、英語力を活かした専門職に就きたい」「英語力を活かしキャリアアップしたい」と考える人も多いですよね。そこで、この企画では英語力を活かして働く先輩たちにインタビュー。今回は、“オフィスに講師がきてくれる英会話スクール”として話題の『アイカム(ICOME)』代表の福井美由起さんにお話を伺いました。留学経験や英語学習の意義、ご自身が様々な仕事を通じて身につけた営業力、コミュニケーション力の重要さなどについて……。たっぷりお伺いしたことを、前後編に分けてご紹介します。前編では、美顔器のセールスで身につけた営業力や、カナダの留学時代のお話を中心にどうぞ。

取材・文/甲斐真理愛(編集部)


――英会話スクールを経営する福井さん。現在に至るまでの、ご経歴を教えてください。


高校を卒業して上京後、最初は美顔器の営業をしていました。そこの営業方法は、路上で声をかけて買ってもらう“キャッチセールス”。当たり前ですが「美顔器を買おう」と思って歩いている人はいないので、最初はほとんど断られていました。ただ、経験を積むとだんだん「この人……、買う!」っていうのが分かってきて。肌の悩みや、その人の内側にあるコンプレックスが何となく見えるようになったんですよ。

そのコンプレックスに共感して、悩みを聞いて……。そんなことを繰り返して、相手の懐にゆっくり入っていくテクニックを身につけました。第一印象でパッと、「この人とはこういう風に話そう」と、判断する力が身についたという感じですね。それができてからは、売り上げも良かったです。この時期に鍛えた営業力や分析力は、今の仕事にも役立っています。


――すごい営業力! そのお仕事を辞めて、カナダへ留学したということですが、きっかけは?


ずっと英語が話せるようになりたいという想いはあって、働いてお金が貯まったら海外に出ようと思っていました。それで、200万円貯めてその資金とビザで滞在できる期間を考えたら“ワーキングホリーデー”が1番手頃だったので、ワーホリでカナダに行きました。

――どうして、英語を話せるようになりたいと思っていたのでしょう?


小学生の頃、「英語を話せたおかげで、いじめられなくなった」という経験をしたからです。

当時、家は“ロータリークラブ(※国際的な社会奉仕連合団体)”に入っていて無料で交換留学生を受け入れていました。母親は英語好きで、留学生と英語で会話していましたが、自分はしゃべれないし、ちょっと(外国人が)怖くて、避けていました。


そんなある日、地域のお餅つき大会に家の留学生が招待されて、付き添いを頼まれたんです。その時の私は登校拒否の真っ最中。でも、しょうがないからその日だけは、勇気をだして餅つき大会に行くと「外国人がいる!」って同級生がわーっと集まってきて。そこで、その留学生と私が簡単な英語で会話したら「福井さんが英語でしゃべってる、すげー!」って、みんなの目の色が変わって、それからいじめられなくなったんです。

その時、単純に「英語が話せたからいじめられなくなった」と思って。東京に上京してからは、お金が貯まったら留学して本格的に英語を勉強しようと考えていました。

――そんな思いがあって留学なさったのですね。カナダでの生活はどうでしたか?


留学先のカナダは……、日本人だらけでした(笑)。日本人のなかで英語を勉強する状態が、あんまり高校とかと変わらないなーと。しかもストリートにはワンブロックごとに寿司屋もあるし、日本語でメニューが書いてあったりして。「ここは私が求めていた所じゃない」と、萎えてしまって。結局、途中で学校に行くのをやめました。

その後は、ネットに「みんなで一緒に旅しませんか?」という募集を出して、集まった4人でいろんな場所を旅してまわりました。「学校がダメなら、旅して現地の人と話そう」と。あとは、クリスチャンじゃないのに教会のゴスペルチームに入って色んな教会で歌ったりしました。しかも、メインボーカルで。


――すごい! クリスチャンじゃないのに、受け入れてもらえたんですね。


そこはガッツで(笑)。せっかくカナダに来ているのだから、無駄にして帰りたくなかったし。いろいろ経験したおかげで、旅の後半は、英語を流暢に話せるようになりました。同時に、コミュニケーション力も鍛えられましたね。

私は、話すきっかけをつくるためによく「これなぁに?」とか、「そのスカートかわいいね!」なんて現地の人に話しかけていました。それは結局、キャッチセールスで声をかけてコミュニケーションをとって仲良くなることと、あまり変わらないです。それが海外でも活かされたという感じですね。だから、営業の経験は私の原点です、やっぱり。

様々な経験を経て営業力とコミュニケーション力を身につけた福井さん。後編では、自分の価値について悩んでいた“どん底”時代のお話。自分の能力を活かすため選択した“フルコミッション”のお仕事、起業についてご紹介します。


後編はコチラ:アイカム代表 福井美由起さん(後編)「無理と思ったらチャンスは掴めない」

■プロフィール
福井美由起(ふくい・みゆき)
1981年生まれ。「講師がオフィスにやってくる英会話スクール」として話題の企業向け英会話スクール『アイカム(ICOME)』代表。高校を卒業後、美顔器の営業職を経験。カナダ留学経験を経て、帰国後は、人材紹介業や企業ブランディングを請け負う。その後、英会話教室の営業職に就き、営業トップになったことをきっかけに退社。企業向け英会話教室『アイカム』を起業する。現在、「反復法、マインドマップ、エピソード記憶」を三本柱にした、アイカム独自の“REMメソッド”で、日本の企業人の語学力底上げに尽力している。
●『アイカム(ICOME)』HP http://icomemiyumiyu.com


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