『グローバルに働く』ということ
ミツミ電機のアメリカ駐在経験者を直撃
学生時代の留学経験から入社後
英語を使って仕事をするには?
国内に7ヵ所、海外に18ヵ所の販売拠点があるグローバル企業、ミツミ電機株式会社。海外の販売拠点はヨーロッパをはじめ、北米、アジアにありますが、その中でアメリカに駐在し今年の8月に帰国したばかりの営業マン後藤大作さんに、入社前の留学経験や入社後の英語学習、駐在中の経験など、ミツミ電機での仕事について伺いました。
お話を伺った人
ミツミ電機株式会社
営業本部 カスタマー営業統括部
営業1部
後藤大作さん
今年8月に帰国されたそうですが、ミツミ電機に入社されたのはいつですか?
2001年3月末に新卒で入社しました。今年で15年目になります。
海外駐在はどの国にどのぐらいの期間駐在していらっしゃいましたか?入社間もなくから海外駐在ばかり、ということではないのですよね?
新卒で入社してから3年目までは国内営業で、日本のお客様を担当していました。その後4年目から9年目まで海外営業部に移り、海外にある会社や日本にある外資系のお客様を担当するようになりました。そして10年目からその後5年間、アメリカに駐在していました。
アメリカ デトロイト本社のミツミ電機オフィス
英語力に自信があったのではと思いますが、学生時代から英語の勉強をしていたのでしょうか?
大学3年生の時に1年間休学して、サンディエゴへ語学留学していました。ただ、英語が好きで小さい頃から勉強していたとか、特別何かをしていたということはありませんでした。普通に中学校から英語の授業を受け始めました。
留学しようと思ったきっかけは何でしたか?
当時は、このままぼんやりと大学を卒業するのは面白くないと思い、自分でお金を貯めて行ってみよう、と。ちょうど大学の先輩がサンディエゴに留学していたので、その話を聞いてサンディエゴに行くことにしました。
当時はメールもそれほど普及していなかった時代なので、願書もビザも、自分で国際電話とFAXを使って現地の語学学校とやりとりして…。ホームステイ先も「とりあえず1ヶ月アレンジしてくれ」と現地の語学学校の方に紹介してもらって、行ったこともないサンディエゴに、準備期間3ヵ月でいきなり行きました(笑)。
そして、いざフライトに乗って、機内で”Water”と言ったらコーラが出て来て・・・これは相当マズイ(笑)、と不安になったことを今でも覚えています。
サンディエゴは良い街だったのですが、クラスの大半が日本人という環境で、英語を学ぶ環境として決して良いとは言えない感じでした(笑)。でも人との繋がりというか、友人が増えたので、その点は大きかったですね。
就職活動では英語を活かすことを意識していたのでしょうか?
もちろん意識していました。せっかくの留学経験だったので、仕事で活かしたいと思いました。できる限り、そういう経験をしたいと思い、アプローチしました。でも入社してからの3年間は国内営業だったため、英語を使う機会はほとんどありませんでした。4年目からは海外営業に移籍し、外資系の会社を担当することになったので、必然的に英語力が必要になりました。
そうなるとビジネス英語が必要になりますよね?しばらく英語は話していなかったでしょうから、最初はどうでしたか?
英語を使って海外と仕事をしたくて入社したのですが、ずいぶん英語からは離れてしまっていたので「今からビジネス英語が出来るのだろうか」と本当に不安に思いました。会社では英会話のクラスを受講していたのですが、英語力を取り戻すまでにかなり苦労しました。ましてやビジネス英会話はやったことがなかったので、仕事で使う単語や言い回しは、憶え直すことばかりでした。ですから、まずは社外の方と接するのでなく、最初は海外支社の方と電話で会話をしたり、社内打合せに参加しながら、少しずつ慣れていったって感じですね。
英語は徐々に慣れても、他にも色々とご苦労があると思いますが、海外と仕事をするうえで大変だったことは何ですか?
一番大変なのは、ビジネスに対する考え方の違いだと思います。例えば、日本の場合は「頑張ります」という言葉をよく耳にしますが、これを具体的に英語で何をするのか?何をどう頑張るのかが伝わらない。当時はまだ経験が少なく、海外の方々がどう考えているのかを良く分からなかったので、上手く相手に伝わるように説明するのが大変でした。
あと、それまで国内で習ってきたビジネスマナーなどがありますが、これも海外だと違ってくるので、やはり戸惑ったりしはしますね。まず直面するのは、ハラスメントなどに関するルールやマナーかと思います。それから「こういったことは言ってはダメ」とか、現地のオフィスでは当然アメリカ人も同じ空間で働いているので「英語で喋りなさい、日本語で喋るのはヒソヒソ話をしているのと同じですよ」とか。こういうマナーは、旅行や留学先ではあまり意識しなかったことでした。
では実際の仕事の面ではアメリカと日本ではどういう違いがありましたか?
日本にいる時は海外とのやりとりが多いので、現地との時差を考えなければならず、大変でした。アメリカに行くと今度はその逆で、日本との時差を考えて仕事をしなくてはなりません。現地の最前線で働くとなると、その全てを引き受けることになります。とてもやりがいはあるのですが、相手先との時差を考えて動くことになるので、早朝や深夜に仕事をすることになるのです。日本とのやり取りが深夜帯になる場合は、一度早めに帰宅し、夕飯を食べて、また仕事を再開する。残業という感覚はありません。リズムができれば、ひとつの形になるのですが、やはり大変でした。自分の働き方に対する価値観もすごく変わりましたね。
同僚やお客様との接し方も、やっぱり日本とはちょっと違ってきますか?
違いはもちろんあります。特に同僚などに対しては、先ほどのハラスメントや宗教などの違いには気をつけないといけません。お客様との接し方においては、アメリカ赴任前に日本で海外とやり取りをしてきていたので、それほど大きなギャップを感じることはありませんでした。お客様と仲良くなる過程での、会う回数やコミュニケーションなど、基本は日本と同じだと思います。ただ、例えばお客様と食事をする時は、違いが出てきますね。アメリカでは家族も一緒に、ということもありました。日本だとお客様と家族ぐるみで付き合う、という感覚はほとんどないと思います。アメリカではホームパーティに招待されたこともありましたよ。
サンノゼにあるクパティーノ事務所
日本とは全然違うんですね。では5年間のアメリカ駐在を経験して、良かったことは何でしたか?
アメリカにはデトロイトとサンノゼの2ヵ所の支社があるのですが、私はその両方に赴任しました。地域によっては、英語の発音が違ったりと地域性があり、色々なことを見たり聞いたりすることが出来ました。つまり住んで働いてみて分かる、圧倒的な実体験が出来たことですね。そこで鍛えられた洞察力とか直感は、これからの自分の糧になる、かけがえないものだと思います。
最後にCheer up! Englishの読者にメッセージをお願いします。
これからの時代ですが、英語の必要性は益々高くなってくると思います。特にビジネスシーンでは、インターネット上の情報は、英語がスタンダードで飛び交っていますので。日本語でも情報は得られますが、英語で理解できた方がもっと正確、かつストレートに情報が得られる。それは、今後の特に若い方々にとって非常に大切なことだと思います。
MITSUMI ENGLISH CAMP! もとてもいい企画だと思います。セブ工場の見学では、モノづくりの現場を是非見て欲しいです。ミツミ電機の海外工場(計11拠点)の中でも、最も従業員や生産品目数が多い工場です。
東南アジアの活気のある雰囲気を体験しながら、ぜひ英語を身につけて将来活躍できるチャンスを広げていって欲しいと思います。
構成・文/永峰千恵
インタビュー/天野里美(編集部)