大桃美代子さんのアラフィフ・セブ留学
英語の学び直しと異文化体験で得たもの
実際どうだったのか、ご本人を直撃インタビュー
タレントであり、新潟食料農業大学客員教授や農業ジャーナリストとしても活躍の場を広げる大桃美代子さん。実は英語が苦手で仕事現場や旅先で英語を前につい躊躇してしまうことも少なくないと話します。
そこで今回は2週間の英語留学を決意。大人の留学が注目を集めている今、質の高い英語教育で評価されているセブ島の語学学校『CPILS』(シピルス)で学びました。実際どうだったのか、ご本人を直撃しました。
――セブ島は初めてということでしたが、実際に行ってみた印象はいかがでしたか?
セブには行ったことがないうえに、正直なところ海外ですから治安には不安がありました。しかし行ってみると屋台は楽しそうだしセブの人はみんな陽気! 決して裕福ではないかもしれませんがいつも楽しそうにしている人を見て、「豊かさってこういうことなのかも」と考えさせられました。危険な目に合うこともなく、行く前の心配は取り越し苦労。セブのイメージが一変しました。
――なるほど、セブはやはりリゾートのゆるい雰囲気が漂っていた、ということでしょうか。今回留学した語学学校CPILSはいかがでしたか?
学校は寮が校舎と同じ敷地内にあり、外に出るのは必要最低限で済みます。朝起きてから授業を受け、食事をして寝るまで、すべてセキュリティで守られた同じ施設にあるという仕組みなので、安全に配慮された環境だと思いました。 CPILSは親切な日本人スタッフもいるので、何かあったら日本語で相談できるのも良かったです。
――2週間の留学、途中お仕事で一時帰国もありましたが、実際「近さ」は便利ですよね?
留学というと「遠い国に行く」というイメージですが、セブは直行便の飛行機で4時間半程度、時差は1時間と、万が一のことがあればすぐ帰国できるというのはいいですよね。2週間の間に1度帰国しましたが、「通い留学」が気軽にできます。 LCC(格安航空券)も充実しているので、安く行けるのも本当に助かります。私は直前で予約をしたので往復4万円ぐらいでしたが、セールなど早く予約をすれば1万円台で往復できることもあるそうです。
――空港についてからやっぱり不安ではなかったですか?
小さい空港と聞いていましたが、初めての国ではやっぱり多少の不安はありますよね。でもセブマクタン空港で学校のスタッフの方がお迎えに来てくれるピクアップサービスがあり、実際スムーズに出会えたので女性ひとりでもこれは安心だと思います。「とにかく飛行機に乗って到着すればあとはフォローしてもらえる」というのは初めてのセブ留学の方でも安心感がありますよね。
――実際の授業はどんな感じでしたか?
私が受けた「Generalコース」は朝8時から夜19時半まで。夜ごはんを食べてからもう1レッスンあって、まさに朝から晩まで英語漬けの生活です。人によっては「スパルタコース」といって、夜21時過ぎまでレッスンのあるコースを受講している人もいました。 初日はレベルチェックテストを受けたり、学校内の設備を紹介してもらったり、近所のショッピングモールまで行って両替をさせてもらったりという「オリエンテーション」が行われます。留学生活の注意点もきちんと説明してもらえるので、わからないことや安全のことはここでしっかり確認しておくことが大事だと思います。
――やはり日本人が多かったんでしょうか?
私の滞在した期間では、生徒は大半が韓国人と日本人で、他には中国人、台湾人、ロシア人、ベトナム人の人がいました。みんな英語は第二外国語なので、間違いを気にすることなく英語で話せるのは気楽です。私がちょうど行った時期は日本人の方は40代、50代、その上の年齢の方も多かったのが印象的ですね。
――毎日のレッスンはどんな感じだったのでしょうか?
レッスンにはマンツーマンとグループレッスンがあり、さらに、自由に受けられる無料レッスンがあります。無料レッスンは発音矯正講座や、音楽・映画を使った内容理解のレッスンなどから選べるのですが、私は無料レッスンもすべて積極的に受講して、1日10コマのレッスンをこなしました。 無料の音楽のレッスンでは歌詞を聞き取り、空欄に英単語を埋めていく練習をしました。初めて聞いたときは全く分からなかったのですが、同じ曲を3回聞くと聞き取れるようになるから不思議、という体験ができました。
――CPILSでのグループレッスンとマンツーマンレッスンの組み合わせによる学習効果はいかがでしたか?
CPILSはフィリピン人先生とのマンツーマンレッスンと、ネイティブの先生とのグループレッスンがあります。これがとても効果的だったと思います。 マンツーマンレッスンではたくさん話すよう誘導されるので発話量が増えますが、先生がこちらの言わんとしていることを汲んでくれるので、つい話せるようになった気に陥ります。でも、グループレッスンで「隣の生徒さんとペアワーク」するとそうはいきません。グループレッスンで実際の実力を体感し、そこでわからなかったことはマンツーマンレッスンで質問したり存分に練習したりすることができます。 疑問に思ったことはその日のうちに解決・身につけることで、習熟度・理解度が深まるのを実感できました。また、ネイティブ、というだけでちょっと気が引けますが、マンツーマンレッスンで習ったことをネイティブの先生に試すこともできました。
――授業が終わった後も先生に質問をし、積極的に学ばれたのだとか
英語が出てこなくてあたふたしていても、ヒントを出してくれたり盛り上げてリラックスさせてくれたりと、どの先生も明るくてとても親切でした。 レッスンが終わったときに「もう終わり? もうちょっと受けたかったなー」と思う先生がたくさんいらっしゃって、充実感がある授業でした。 日本人は遠慮しがちかもしれませんが、自分から「これを学びたい」「あれが知りたい」というように先生に頼むくらいの心構えがあると、より早く上達するように思います。積極的・自発的な行動や考え方は、プライベートや仕事にも生かせますね。
――久しぶりの英語学び直し、これに気づいた、ということは何かありましたか?
私の場合、注意されたのは「be動詞」の使い方でした。中学1年生で習うようなことができていないなんて…と思いましたが、現在形と過去形をしっかり使い分けられていないなど、「知っていること」と「使えること」は全く別物なんだなと改めて思い知らされました。 英文法も丁寧に説明してくれるのですが、「verb(動詞)」「preposition(前置詞)」「past perfect(過去完了形)」などと英語で解説されます。レッスン中でわからなかったことを後で確認するために、自分のレベルにあった日本語で書かれた文法の本を持っていくと理解が深まると思います。
――今回寮に宿泊されていましたが、学校の設備や食事などについてはいかがでしたか?
セブと言えば「リゾート地」というイメージですが、CPILSには中庭にプールがありそれだけでほっとする南国の雰囲気がただよっていて癒されます。 気になる食事はビュッフェスタイル。味付けは全体的に甘めです。いろんな国の人がいるからかメニューは多国籍で、お味噌汁やスパムおにぎりもありました。1週間先のメニューが掲示されるので、メニューや予定によっては外食もできます。 豊富なメニューからは「学生のために頑張ってくれているんだなあ」と愛情を感じます。
学校にはジムやヨガレッスンもあるので、体を動かしてリフレッシュすることもできます。売店まで学校の敷地内にあるため、一歩も外に出なくても過ごせるのがとても便利で学習に集中できる環境でした。
――学校のないときは外出されていましたよね? 何かおすすめの情報教えてください
授業が終わった後や週末は「Grab」というタクシー配車アプリを使ってタクシーを呼びます。 セブでは近場でも、徒歩よりタクシーがお勧めです。このアプリを使うとタクシーのぼったくりを防げるのがいいと思います。乗車前からアプリ上で距離から算出した価格が表示され、それ以上支払いをすることはないので安心です。 また、ドライバーは自分の車を使っているからか、一般のタクシーよりきれいなタクシーにあたることが多いように思いました。ちなみに雨の日はタクシーがなかなかつかまりませんのでご注意を!
――それは安心ですね! 週末や祝日、学校のお休みの日はどんなアクティビティをされましたか?
週末は1日かけて美しい海でのシュノーケル。つかの間のお休みを楽しみました。学校でできた友達とお出かけをすれば、お休みの日も英語を使えて勉強になります。 ひとりで出かけたとしても、レストランやショップの店員さんとの会話が英語なのでとても恵まれた環境です。「トイレはどこですか?」と英語で聞くことはできても、その説明が聞き取れず焦ったりもしましたが、実践で英語が通じたときの喜びはひとしおです。 あと、特別授業が終わった後などはショッピングモールに出かけたりして、セブ料理を食べたりお土産を買ったりとローカルな雰囲気も満喫しました。
――セブ留学を楽しむためにアドバイスがあればお願いします!
日本人は完璧主義の人が多いようですが、カンペキでなくてもいいんですよね。発音はその最たるもの。中国人の英語、韓国人の英語も聞きましたが、それぞれに訛りがあります。今までは「きれいな英語を話したい」と思っていましたが、なまりを聞き取る英語力こそが、グローバルな社会において本当に必要なことなのだと思います。正しいことよりも通じること。セブ留学では語学はもちろんのこと、なまりや間違いを恐れない大切さを学びました。 滞在も最後のほうになるとだんだん英語がわかりはじめてきて、「帰りたくないー!」と心から思いました(笑)。授業を受けるコツも日を追うごとにつかんでいったような気がします。
帰国したばかりですが、「また行きたい!」ともうすでに次のことを考えてしまうぐらい充実の2週間。2018年7月にはオランダで行われる農業ジャーナリスト会議に行きますが、現地でのレクチャーや視察はすべて英語。資料も英語で読まなければなりません。今回セブ留学で学んだことをいかし、今後も英語の勉強を続けていきたいと思います。
――結果はいかに? たった5日間だけの授業で留学後の英語力をCASECで診断
お仕事の都合で結局4日間+1日という短いセブ通い留学をした大桃美代子さん。短いながらもせっかくなので英語力を可視化したい、ということで留学後にCASEC(キャセック)に挑戦していただきました。
「2週間の留学の後、4技能をはかるテストCASECを再び受けました。結果は「総合得点アップ」だったので頑張った甲斐がありました。自分では「リスニングはそこそこできるんだけどスピーキングがイマイチ」と思っていたのですが、テストを受けてみるとリスニングが弱いという診断結果。ちょっとショックでしたがそういう事実に直面し、課題がはっきりしたのは良かったと思います。
2週間という短期ではありましたが、英語に対するハードルがかなり下がりました。 外国人の人に話しかけられたら、以前は『むりむりむりー! I can’t speak English!』などと拒絶していましたが、帰国後は『わからなくてもいいいや! まずは頑張って聞いてみよう』と思えるようになりました」(大桃美代子さん)
プロフィール●大桃美代子(おおもも みよこ)
タレント/新潟食料農業大学客員教授/農業ジャーナリスト
ニュースをはじめ料理、クイズ、バラエティ、情報番組と、幅広い分野で活躍。韓流にはまり韓国に語学留学を果たし韓国語を習得。1995年、阪神・淡路大震災では大阪滞在中に、2004年の中越地震の際は新潟県魚沼市の実家帰省中に被災し災害と復興について考えるきっかけとなる。風化させないことをテーマに、情報発信や復興の為の地域活性化にも携わる。食育や農業に関心が高く、雑穀エキスパート、ジュニア・野菜ソムリエ、おさかなマイスター・アドバイザーの資格を取得、地元・新潟にて古代米作りも励み『桃米』として販売中。地域活性化に取り組む団体を支援するため全国地方新聞と共同通信が設けた『地域再生大賞』選考委員を務め各地の取組みを視察。様々な地域で農業と食への取組みを紹介する講演が好評を得ている。
取材/執筆 坂口やよい(D&Y)
撮影/鮫島亜希子