ダメ!ゼッタイ!! 米で流行中の
「コットンボール・ダイエット」
アメリカ発、超危険なダイエット法とは!?
構成・文/松本考史(編集部)
食欲の秋が過ぎ、いよいよ年末。クリスマスに忘年会、年が明ければ新年会と、ついつい暴飲暴食をしてしまうシーズンの到来です。そして祭りの後、体重計に乗ってみたら、悲しい現実が……。あわててダイエット宣言! けれども、今アメリカのティーンの間で流行している「コットンボール・ダイエット」は、絶対NGです。Cheer up! English編集部では、この超危険なダイエット法の内容とともに、これに警鐘を鳴らす米メディアの報道からダイエットや健康にまつわる英語表現を紹介します。
そもそも、「コットンボール・ダイエット」って初めて聞く方も多いでしょう。なんと丸めたコットンを、ジュースやレモネード、スムージーなどに浸して飲み込むという、とんでもないもの。なぜこんな馬鹿げたダイエットが流行してしまったのか!? 実は、モデルのブリア・マーフィ(エディ・マーフィの娘!)がアメリカのTV番組のインタビューで、
“I’ve heard of people eating the cotton balls with the orange juice … they dip it in the orange juice and then they eat the cotton balls to help them feel full, because the cotton’s not doing anything.”
「私は丸めた綿をオレンジジュースに浸して食べる人の話を聞いたことがあります。そのようにして満腹感を得るのです」
[feel full:満腹感 / dip:浸す]
と話したことに端を発します。
このインタビュー映像がYouTubeなどから拡散、『綿を食べれば痩せる!』と、若い女性に広く浸透してしまったというわけ。食事の量を減らすために食前に綿を食べる、「コットンボール・ダイエット」。なんでも綿の量は1回の食事で5個までで、完全に満腹になってしまう寸前のところでやめるのがコツだとか。たしかに『体重を増やさずに満腹感を得るにはどうしたらいいの?』と悩める女子にとっては、手軽で実践しやすいかもしれません。飛びついてしまう乙女心、わかります。
しかし当然、医学の専門家たちはこのダイエット法に関して深刻な懸念を表明。
米ABCニュースでは、健康情報サイト「Diets in Review」のエディターであるブランディ・コスキー氏が、女性にとって「コットンボール・ダイエット」が魅力的に思えるのは、
“The idea is to feel full without gaining weight.”
「体重が増えることなく、満腹感を感じることできるから」
[gaining weight:体重増加]
としたうえで、
"Nothing good can come of this. Absolutely nothing,"
「何一つとしてよいことはありません」
と断言しています。 なぜなら、一般に見かけるほとんどの綿は、高額なオーガニックブランドでもない限り、多量の化学物質を含むポリエステルを漂白したもので、食べるなんてもってのほかだからです。
つまり、
"Your clothing is also made of polyester, so swallowing a synthetic cotton ball is like dipping your T-shirt in orange juice and eating it."
「綿を飲み込むということは、あなたのTシャツをオレンジジュースに浸して食べているのと同じなのです」
[swallowing:飲み込む / synthetic:化学合成の]
また、デンバーにあるEating Recovery Centerのオヴィーディオ・バーミューデス医師も、
“Beyond the risk of choking and malnutrition, the practice might lead to an obstruction of the intestinal tract, a trapped mass called a bezoar.”
「窒息と栄養失調のリスクは明らかで、それ以外にも“胃石”という腸管を詰まらせる塊が生じる可能性もあります」
[choking:窒息 / malnutrition:栄養失調 / the intestinal tract:腸管 / bezoar:胃石(結石)]
と説明。
さらに、
“Over time, the cotton balls could build up and create several blockages or a full obstruction. Either of these conditions could be life-threatening.”
「長い時間をかけて体内に蓄積した綿は固まって、腸を塞いでしまうでしょう。これは命を脅かす重大な事態です」
[build up:蓄積した / life-threatening:命を脅かす]
と警鐘を鳴らしています。
コットンというなんとなく優しそうな響きとはうらはらに、危険きわまりないこのダイエット法。アメリカでは今や10代のみならず、より若い世代にまで浸透してきているといわれ、事態はかなり深刻な模様。ジャンクフードあふれるお国柄、スリムな体型を保つのには相当な覚悟が必要とは思いますが、これじゃ自殺行為。みなさん、「コットンボール・ダイエット」には、絶対手を出さないように!!