絵本のプロに聞く!英語が大好きになるおすすめ英語絵本
絵本専門店「Book House Cafe」で
おすすめの英語絵本をチェック
英語が好きになるイベント「リードアラウド!」などを開催する、こどもの本専門店 & カフェ「Book House Cafe(ブックハウスカフェ)」。本の街・神保町に佇み、国内外の約1万冊の絵本が揃います。絵本への愛があふれる店長・茅野由紀さんに、イベントでも人気の高い絵本を中心におすすめの英語絵本についてお話をお伺いしました。
英語絵本の世界
絵でストーリーを追うことができ、英語がわからなくても比較的なじみやすい英語絵本。海外で人気の高い絵本は、韻を踏むなど音の繰り返しであったり、ある一定のリズムで進行する他、語彙が厳選されているため、英語をこれから学習したい方も楽しく触れることができます。また、日本では絵本作家が確立されていますが、海外ではデザイナーやイラストレーターとして活躍されている方がイラストを担うなど、芸術性がより際立つ作品が多いことも特徴です。赤ちゃんから大人まで全世代が楽しめる絵本を通して英語に触れることで、楽しみながら英語を身体に落とし込むことができるのも魅力です。
続いて、茅野さんが愛してやまない絵本の中から厳選して、ケースごとにご紹介していきます。
ファーストブック
左》Egg/Kevin Henkes
右上》Ten Little Fingers and Ten Little Toes/Mem Fox、 Helen Oxenbury
右下》I Went Walking/Sue Williams (著), Julie Vivas (イラスト)
「かじったり破ったりも成長段階では大切であり、またそれも赤ちゃんの頃の思い出。匂って、かじって、触って、見て、聞いて、五感でとことん味わってほしい。買った本をとことん味わい尽くして欲しい」と、茅野さんがおすすめする絵本はボードブック。破れにくいのはもちろん、角が丸いのでケガしにくくて、ページの厚みがあるため赤ちゃんでもめくりやすく、指先の発達にも有効でおすすめです。
そして文章は、音の繰り返しやある一定のリズム、語彙が厳選されているなど、赤ちゃんの耳に残りやすいもの。そして、気持ちなど目に見えないものではなく、事象や物事、例えば指や果物など目に見える身近なものをテーマとしていることで、赤ちゃんも理解しやすく記憶に残ります。
また、赤ちゃんは読み聞かせがメインとなりますが、その際、大人の膝に乗せて韻、強弱、リズミカルさを意識して読んであげましょう。英語は日本語より発声方法がアクティブなので、赤ちゃんを膝に乗せて、言葉に合わせて大人も身体を動かすとより楽しめます。
赤ちゃんへの絵本を選ぶポイント
① 角が丸く安心で、厚くめくりやすいボードブックだと赤ちゃんの指先の発達にも◎
② 音の繰り返し、ある一定のリズム、語彙が厳選されている
③ 事象や物事をテーマとし、気持ちなど目に見えないものではないことが大切
幼児から小学生におすすめ
左上》Where the Wild Things Are/Maurice Sendak
右上》Mr. Gumpy's Outing/John Burningham
右下》We're Going on a Bear Hunt/Michael Rosen、 Helen Oxenbury
左下》HOP ON POP/Dr.Seuss
好みが出てくる幼児からは学習のためではなく、「まずは英語を好きになる!」ことが大切。「ドクター・スースはアメリカでは知らない人がいないほどの作家。『HOP ON POP』は言葉遊び、リズム、韻、そのすべてが楽しく、英語でこそ楽しめる遊びがたくさん詰まっているところが人気の秘訣。赤ちゃんから大人まで楽しめる絵本です」。
また、小学生からは声に出して読むこと、色使いや構成など絵本としてすばらしいものを意識して選ぶことが大切です。「Mr. Gumpy's Outingは、バーニンガムの描く絵が見事。色使いが独特で、やさしくのどかでありながら印象派。会話文が多く声に出すことを楽しめる絵本なのでイベントでも人気の1冊です」。
小学生くらいの場合、英語を正確に発音できなくても、強弱をつければニュアンスで伝わることも。英語のリズム、韻を身体に入れるように、そして、楽しいところは楽しく、怖いところは怖く絵本を読んで英語で楽しむことが、英語を好きになるきっかけにつながります。
幼児から小学生への絵本を選ぶポイント
① 色使いや構成など絵本として素晴らしいもの
② リズム感があって韻を踏むなど言葉遊びがつまっており、声に出して楽しいもの
③ 音と言葉で、心に刺さる物語
大人も読みたい
左上》Guess How Much I Love You/Anita Jeram (イラスト), Sam McBratney (著)
右上》SNOW/Uri Shulevitz
下》Little PENGUINS/Cynthia Rylant、Christian Robinson
あえて大人に読んでほしい絵本は、デザイン性と共感があるもの。「『SNOW』はシュルビッツの美しい絵がおすすめのポイント。地味な印象だけど、だんだん明るくなっていく構成のうまさ。地味の中にも光るものがたくさんあり、これは作家のセンス。シュルビッツの才能は他の追随を許さず、ページを開いた瞬間の喜びがあふれています」。
そして、『Guess How Much I Love You』は、翻訳されていて日本でもすごく人気の絵本。「大きなうさぎちゃんと小さなうさぎちゃん、お互いが大好きなうさぎが登場。僕の方が好き、僕の方が好きと、お互いの好き度を張り合うところが微笑ましい。幸せだけでできたお話。恋人同士のプレゼントや結婚式の引き出物などいろいろなシーンにもおすすめです。お子さまが声に出して楽しいし、内容もしっかりしているので大人も楽しめる名作です」。
『Little PENGUINS』は、クリスチャンロビンソンのデザインが独特でとても優しい印象の絵本。「シンプルで暖かくてかわいい絵柄は、世界中で高い評価を得ています。“THE絵本”といった一冊」。雪の日を描いたストーリーは、冬の贈り物にぴったりですね。
大人絵本を選ぶポイント
① 声に出して楽しく読み進められる
② ぱっと開いた瞬間の喜びがある
③ 自身の気持ちと重ねて読むことができる
茅野さんに聞く「絵本の魅力」
― 絵本で世界を旅してほしい ―
「世界の作家さんは絵本作家というよりデザイナーとかイラストレーターなど幅広く活躍されている方が多い感じがして、日本と世界の絵本ではちょっぴり違う、それぞれおもしろい発展の仕方をしているなと思うんです。
日本は島国でありいささか多様性という観点からは発展途上というイメージで、かわいいという感覚が独特、固定されているような印象です。世界の絵本を見ると、実にさまざまな表現があり、ハッとすることもあります。絵画的・詩的で、何度も読んでその良さに気付くというようなものも多数見つかります。例えば、シュルビッツの絵本などはその代表のようなもので、すぐには良さが分からなくても、じわじわと来る、そんな絵本をお店でも大切にしています。
シュルビッツの絵本は見応えがあります。パッとページを開いた瞬間、全体から伝わってくる、描き込まれた絵それぞれが共鳴しあう、そんな感じがいい。ページの余白すらも、すべてが魅力。絵本好きにたまらない作品です。
赤ちゃんへのプレゼントにも選ばれることの多い絵本ですが、赤ちゃん向けの絵本は日本でも海外でも発達段階。明確に何が一番いいという決まりはなく、赤ちゃんが楽しめることが大切です。発達心理などの中では『色がはっきりしている、例えば赤が識別しやすい』『丸いものがいい』などあるようですけれど、それだけにとらわれず、良い絵本がたくさんあります。
抽象的な、例えばオクセンバリーのように柔らかい印象のものが多く出ています。赤ちゃんにははっきりした絵が良い、赤が良い、などと言われ、ブルーナのうさこちゃんのような、線と色がはっきりしているものがいいとされていますが、現在では、赤ちゃん絵本とはこうあるものだ、とはっきりと言い切るのではなく、さまざまなものが出てきている印象があります。
赤ちゃんに絵本を選ぶ際は、いろいろ読み聞かせをしてみて、反応が良いものを根気よく見つけてあげてください。そして、(装丁の部分でいうと)固くて丈夫なボードブックが破れにくくおすすめではありますが、かじったり、破ったりすることも赤ちゃんの成長段階では大切と考えています。薄く破れやすいペーパーバックを破られると、親御さんとしては切ないけれど、そんな本もきっと思い出になります。つまり、ボードブックもペーパーバックもどちらもおすすめ、ということです。
老若男女問わず誰もがストーリーを楽しみ、いろいろな冒険ができることも絵本の魅力。ストーリーを通して疑似体験することで、言葉だけでなく、心も豊かに。いろいろな本を読むことで、いろいろな気持ちを知ることができます。なかなか実体験では難しいことが、本はとても気軽にできる、そこが魅力ではないでしょうか。
本は社会を表すもの。人権意識などの高まり、多様性を求められる昨今では、同性婚家庭を描いた絵本『マチルダとふたりのパパ/メル・エリオット』やNASAをささえた黒人女性たちを描いた『ドリーム/マーゴット・リー・シェタリー』など、社会的関心の高まるマイノリティーに焦点を当てた作品が多く出版されています。こういったいろいろな視点で描かれたものは海外から入ってくるケースが多く、国民性の違いが絵本にも出ていると思います。
そういった意味でも、絵本は手軽に世界を体験できるので、ブックハウスカフェでは、その時代を映しながら、ベストセラー、ロングセラーから、最新刊の絵本までさまざまとり揃えております。絵本を通していろいろな芸術に触れ、多様な体験をし、絵本で世界を旅してほしいですね」。
英語絵本を楽しむイベント開催
「全世代、性別問わず、いろいろな人に来てほしい」と茅野さんがおすすめするブックハウスカフェの絵本イベント。英語絵本に造詣が深くリードアラウド研究会主宰の大島英美さんを講師に迎え、英語絵本を題材にした3つのイベント「赤ちゃんと英語えほん Let'sリードアラウド!」「みんなで英語絵本 Let'sリードアラウド」「ブックハウスカフェOpenMIC 英語絵本deナイト☆」が大人気開催中ですが、2020年新春(1/24予定)より新たに「英語絵本おとなの深読み」がスタートします。英語で話すことを恥ずかしがらず、楽しみながら英語脳にスイッチできる体験。ぜひ参加してみてください。
「赤ちゃんと英語えほん Let'sリードアラウド!」
リードアラウドに適した英語絵本の紹介、家族で楽しむ英語絵本、家庭での楽しみ方提案など、赤ちゃんも親子で楽しめる読み聞かせイベントです。
対象: 4歳未満の幼児、そのご家族、保育者など
日時: 奇数月の日曜日 11:00~11:45 (リードアラウンド30分+質疑応答15分)
場所: キッズコーナー(ブックハウスカフェ奥のお部屋です)
参加費: 1回1,320円前後 ※テキストにより金額が異なります。
人数: 先着10組(要予約)
「みんなで英語絵本 Let'sリードアラウド」
講師と問答しながら絵本を味わい読み合う、子どもが読める英語絵本を紹介し一緒に読む、英語や読書の動機づけをする、英語でのプレゼン経験など英語が身近に!
対象: 4歳~大人
日時: 偶数月の日曜日 RA 11:00~12:00
場所: ブックハウスカフェ らせん階段(場所は変更になる可能性がございます)
参加費: 1回1,320円前後 ※テキストにより金額が異なります。
人数: 先着15人(要予約)
「ブックハウスカフェOpenMIC 英語絵本deナイト☆」
英語絵本の朗読を披露したい方、朗読を聞きたい方との出会いの場として、また、大人が英語絵本を楽しむ機会となるステージ開放型イベントです。
対象: 大人
時間: 19:00~20:30(不定期開催、開催日はホームページにて)
場所: ブックハウスカフェ店内
参加費: 出演エントリー 1,000円 ※入店(朗読を聞く方)ワンオーダー、15歳未満はエントリー半額
人数: (出演の方)先着10人(要予約)※お聞きになるだけの方は予約不要
「英語絵本おとなの深読み」
2020年新春1/24よりスタート。初回はマーガレット・ワイズ・ブラウンの代表作「Goodnight Moon(邦題:おやすみなさいおつきさま)」を深読み。大人限定のイベントで、リードアラウド発案者の大島英美さんを講師に迎え、作者の人となり、作品が生まれた時代背景を深読みして楽しむ会です。作者とも親交のある大島さんのなるほど話なども聞け、本好きにはたまらないイベントです。
イベントの詳細はこちらでご確認ください。
絵本を「英語が大好き」と思えるきっかけに
店舗で開催される英語絵本のイベントは、英語を好きになるのはもちろん、英語を話す度胸もつきます。そして、コミュニケーションツールである英語を身につけるためには、ただ、この1冊を読めば良いというわけではなく、さまざまな絵本に触れ、絵本を通して疑似体験することで言葉だけでなく心も豊かに。幼いころから海外の有名な作品に触れることで、文化の違いなどを意識せずに英語に触れることもできるので、率先して与えてあげたいですね。
また、平日21時までオープンしているカフェスペースでは、ソフトドリンクだけでなくビールやワイン、スピリッツなどアルコールの提供なども。英語絵本に興味がある大人の方には、お仕事帰りに英語絵本を楽しみながらほっと一息つくのもおすすめです。
ぜひ、たくさんの絵本に触れ、英語で楽しみ尽くしてください。
SHOP INFO
こどもの本専門店 & カフェ「Book House Cafe」
東京都千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F
03-6261-6177
平日 11:00~21:00、土日祝 11:00~19:00
「神保町」駅A1出口徒歩1分
https://www.bookhousecafe.jp/