企業の想いを人に繋げるのは“人”。
再認識した価値観を将来に活かしたい
Franck Muller × Cheer up! English Presents Study Abroad <Vol.02>
Cheer up! Englishとワールド通商株式会社が行う「スイスインターンシップ&イギリス語学留学プログラム」。留学中の日記に続き、今回は帰国した奨学生にインタビュー。高級機械式時計工房でのインターンシップとイギリスでの語学研修を通じて学んだこと、今回の留学経験を今後の人生にどう生かしていきたいかについてお話を伺いました。
Cheer up! English が意欲ある有能な若者たちに学びのチャンスを提供すべく行っている留学プログラム。今回は、世界最大の機械式時計生産国スイスで、高級機械式時計ブランドとしてその名を轟かせている「フランク ミュラー」の日本輸入総代理店である「ワールド通商株式会社」がプログラムを全面サポート。語学学校での英語研修と時計工房でのインターンシップ体験を通じて、時計作りにまつわる現場を肌で感じ、スイスの伝統産業の粋を体験することがミッション。
私が留学しました!青島 莉奈さん
大学で社会学を専攻するかたわら、世界各国の学生と様々な問題について議論をする『国際学生会議』に運営スタッフとしても関わる。将来は日本における伝統文化継承の一端を担うことや、想いやコンセプトを発信し、世代や国境を越えて愛されるモノやコトに携わりたいと考えている
「人」を介して伝え続けられるフランク ミュラー氏の想い
インターンップが行われた『フランク ミュラー ウォッチランド』では、フランク ミュラー史上最も複雑な時計を設計した技術開発部門最高責任者のMichel Golayさんが、様々な角度からひとつの時計に込められた想いを語って下さいました。ウェストミンスターにあるビッグベンの音がするという時計の音色や手描きのデザインから、「職人の仕事」の奥深さと影響力を肌で感じました。
フランク ミュラーのコレクションの中に『クレイジー アワーズ』という時計があるのですが、この時計は数字が不規則に並んでいます。そこには「時間というものは人間が勝手に作った概念である。人生は自由。時間にとらわれず今を大切に」というフランク ミュラー氏のメッセージが込められているそうです。ジュネーブにあるブティックを訪問した際に、「このメッセージを気に入って購入されるお客様が多い」と伺い、デザインや機能性もさることながら、そこにある「哲学」が商品購買につながっているという事実に気がつきました。
ブティックでこの哲学を説明するスタッフがフランク ミュラー氏の想いをお客様につないでいたのです。「将来は企業とお客様のかけ橋になる仕事がしたい」と考えていた私にとって、企業とお客様のかけ橋には「人」の存在が重要であると気づけたことは、とても大きな経験でした。
想いを伝えるためには幅広い英語力が必要
インターンシップの中で「マーケティング」のお仕事を体験したのですが、中でも「プレスリリース資料作成」では、直接的な翻訳ではない和訳作業を経験し、英語で表現することの難しさに頭を悩ませました。例えば「フランク ミュラーらしい言葉の選び方」や、日本のメディアに必要な情報がきちんと盛り込まれているか、元のニュアンスがそのまま伝わる表現になっているかどうか等、様々なことを意識しながら翻訳・編集作業を繰り返しました。結局1時間でA4用紙1枚弱しか書けなかったのですが、「ビジネスでも通用する実践的な英語力をつけていこう!」と気合いが入った瞬間でした。
語学学校ではビジネスクラスに参加したので、私以外はみなさん社会人。しかも世界中のビジネスマンが集まっていたクラスなので、ディスカッションでは意見が活発に交わされ、文化によって考えが異なるおもしろさも味わいました。
「日本の良さ」を伝えるために、まずは「相手の文化」を受容する
『フランク ミュラー ウォッチランド』でスタッフのKarinさんとお話した時に、ハッと気づいたことがあります。外国人の方に東京案内をする時、「浅草寺」に次いで「東京タワー」や「スカイツリー」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、Karinさんは日本を観光した際を振り返り、「東京タワーだけではなく、もっと日本にしかない文化を感じられる場所に魅力を感じた。タワーは世界の他の国にもある」とおっしゃったのです。Karinさんが旅に“非日常”を求めているということを事前に知っていれば、他に選択肢があったかもしれません。
これまでの私は「日本の伝統を伝えたい」一心でしたが、Karinさんのひと言により、「何かを伝えたいならまずは相手を知ること」「相手の文化を受容したうえで自国の文化を伝えること」という、今後の活動において大きな気づきを得ることができました。
人生の軸になりそうな「人」というキーワード
渡航前は漠然と、「フランク ミュラー氏の想いはどのようにしてお客様のところまで届けられているのだろう」という疑問を抱いていましたが、スイスの現場でスタッフがその想いを大切に伝えている様子を目の当たりにし、その答えは「人」にあるのだということがはっきりと分かりました。
このことは、「企業とお客様のかけ橋になる仕事がしたい」という私の想いを再認識させてくれると共に、今後私を待ち構えている就職活動では、「“人”についてどのような考えを持っている企業か」ということを軸に企業研究をしていこうという考えに至りました。
「企業で働く“人”が商品・サービスを作りあげ、消費者や社会に対してインパクトを与えるのもまた“人”である」ということを、体験を通じて理解を深め、改めて自分の価値観を知ることができたことはかけがえのない経験です。
今後は日本・異文化双方の魅力をより良く理解すると共に、効果的な方法で発信し、一社会人として企業の想いを社会につなぐことができる仕事をしていきたいと考えています。
取材・文/坂口弥生