ちょうどいい表現は?
電話に出て欲しい時の頼み方
デイビッド・セイン先生が教える
ヘンな日本人ビジネス英語
ビジネスシーンでも使いたいのは、英語が母国語でない相手とやりとりすることも多いから、シンプルで分かりやすい簡単な英単語や英語表現ですよね。簡単な英語の中にも、日本人が言ってしまいがちな間違い英語や、表現をちょっと直すだけでスマートなビジネス英語になる表現があるんです。
そんなビジネス英語表現を、人気英会話講師である、デイビッド・セイン先生に教えてもらいます。誰でも身に覚えがありそうなケアレスミスを減らして、スムーズなビジネスコミュニケーションしてみましょう。
第5回 電話
とっさのひと言!「電話に出て!」はgetを使って言おう
イマイチ英語 Pick up the phone.
電話に出て
イチオシ英語 Can you get that?
電話に出れる?/電話に出てくれる?
ぶっきらぼうでなく、丁寧すぎない言い方で
オフィスで電話が鳴っているけど、自分は取り込み中だから他の人に出てほしい――今回はそんな場面で使える表現をご紹介します。
Pick up the phone.は、間違った英語ではありません。pick upには「電話に出る」の意味があるので、単にPick up.と言っても通じます。ただし、着信音が数回なっただけでこんな風に同僚に声をかけるのは考えもの。ぶっきらぼうな命令口調なので、相手を不快にさせる可能性大なのです。
電話が鳴った時のとっさのひと言には、Can you get that? などがお勧めです。Can you ...? はあまり相手の負担にならないような、比較的簡単な頼みごとをする時に使われます。「より丁寧な依頼の表現」であるCould you ...? などを用いてもいいのですが、もし相手の立場が同じ同僚で、特別忙しそうでなければ、Can you ...? くらいが自然に聞こえます。
また、getの意味として「電話に出る」と明記している辞書は多くありませんが、「取る、得る」という行為に含まれるので、日常生活でよく使われる言い回しです。
下記のフレーズも、「電話に出てくれる?」と言う時に使えます:
・Can you take that call?
・Can you answer the phone?
・Someone get the phone.
ちょっと意外なgetの使い方
getにはたくさんの用法がありますが、その中でも私があまり日本人が使いこなせていないと感じるものをいくつか挙げてみます。いくつ知っているか確認してみましょう!
・苦しめる、イライラさせる
It’s his attitude that gets me.
彼の態度が私をイライラさせるの
*人を目的語にとり、「…を苦しめる、イライラさせる、当惑させる」という意味を表します。おもに話し言葉で使われる表現です。
・始める、着手する
I’d better get going.
もう行かないと
*〈get+-ing〉で、「…を始める」という意味です。しかし、ネイティブが普段この意味で-ingとする動詞はかなり限られます。特に頻度が多いのはget going / get cracking「始める」です。
・分かる、理解する
I don’t get why people say that.
どうしてみんながそういうのか分かりません
*understand「理解する」の口語表現としてよく使われます。ややカジュアルすぎるので、ビジネス上のメールや文書で使うのは避けた方がいいかもしれません。
電話が鳴った時のその他の表現
こんな時、英語でなんて言う?まずは自分で考えてみてから答えをチェックしましょう。
①誰かの携帯電話が鳴ってるよ
②きっとスミスさんからの電話でしょう
③すみませんが、いま手が離せません
↓
↓
① Someone’s phone’s ringing.
② It should be Mr. Smith.
③ Sorry, I’m busy right now.
関連表現
電話に出た時のさまざまな「最初のひと言」をご紹介します。
□Hello, this is ABC Corporation. Miyuki Sasaki speaking.
はい、こちらはABC社です。佐々木みゆきが承ります
*XXX speaking.は自分の名前を名乗る時に用います。
□Good morning. ABC Corporation.
おはようございます。ABC社です
□Thanks for calling.
お電話ありがとうございます
□Excuse me. What company are you with?
すみません。どちらの会社の方でしょうか?
□What can I do for you?
ご用件はなんでしょうか?
*最初のひと言として定番中の定番です。
今日のボキャブラリー
営業時間
ズバリ、business hoursと言えば完ぺきです。「弊社の営業時間は9時から5時までです」なら、Our business hours are from 9:00 to 5:00.となります。business hoursを使わずに、We’re open from 9:00 to 5:00.のように言うこともできます。ちなみに、「年中無休です」なら、We’re open seven days a week.となります。
構成・文/デイビッド・セイン
プロフィール
デイビッド・セインアメリカ合衆国アリゾナ州出身。カリフォルニア州アズサパシフィック大学(Azusa Pacific University)で、社会学修士号取得。 証券会社勤務を経て、来日。日米会話学院、バベル翻訳外語学院などでの豊富な経験を活かし、現在までに140冊以上、累計350万部超の英語関連本のベストセラー著者。英会話教室の運営、翻訳、英語教材制作などを行うクリエイター集団『エートゥーゼット』の代表。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発する、日本における英会話教育の第一人者。