Let’s start.でいいと思ってない?
進行役が言うべき始めのひと言はコレ
デイビッド・セイン先生が教える
日本人のヘンなビジネス英語
ビジネスシーンでも使いたいのは、英語が母国語でない相手とやりとりすることも多いから、シンプルで分かりやすい簡単な英単語や英語表現ですよね。簡単な英語の中にも、日本人が言ってしまいがちな間違い英語や、表現をちょっと直すだけでスマートなビジネス英語になる表現があるんです。
そんなビジネス英語表現を2週間に1度、人気英会話講師である、デイビッド・セイン先生に教えてもらいます。日本人なら誰でも身に覚えがありそうな、ケアレスミスを減らして、スムーズなビジネスコミュニケーションしてみましょう。
第13回 会議
始めのひと言が肝心! Get startedでみんなの気持ちをひとつにしよう
イマイチ英語
Let’s start! 始めましょう
イチオシ英語
Why don’t we get started? 始めましょうか
発言者の好きなタイミングで言うLet’s start!
Let’s start! が「イマイチ」で、Why don’t we get started? が「イチオシ」な理由―それは、ふたつの表現が持つ微妙なニュアンスの差にあります。ここで重要なのは、start を使っているのか、それとも get started を使っているのかということなので、Let’s start. と Let’s get started. でその違いを解説していきましょう!
Let’s start. は、「テニスを始めるとき」や「食事を始めるとき」など、例を挙げればきりがないほどありとあらゆることを「始めるとき」に使うことができます。そして当然ですが、そこには「始めたい」という発言者の意志があります。あえて大げさな言い方をすれば、「自分がいま始めると決めたから、始めよう」という主張があります。そのため人によっては、「こっちはまだ準備ができていないのに…。ちょっと身勝手だな」などと思われてしまう可能性があります。やや「事務的」な響きがあるとも言えます。
まとめ役が使うGet started
一方 Let’s get started. は、「~という状態になる」という意味の〈get + 動詞の過去分詞〉を使った表現です。つまり、「(みんなの力を合わせて)『始めた』という状態になろう」→「始めよう」となります。ここには、「お手数ですが、皆さん、そろそろ始めましょうか」という「気遣いの」のニュアンスが隠されています。つまり、皆の気持ちに配慮した上の号令であり、よりリーダーシップを感じられる表現だからこそ、会議の進行役におすすめの声かけと言えるのです。
Let’s get started. が使われるもうひとつの典型的な場所が「教室」です。教室へ入ってきた先生というリーダー・進行役が始業ベルの音共に生徒たちに言うのが Let’s get started.「さあ始めるぞ」なのです。
Why don’t we ...?を使いこなそう
今回の「イチオシ英語」で用いているのが、Why don’t we ...? という言い出し表現です。これは、「~しない?/~しませんか?」と相手を誘ったり、提案するときの言い回しです。Let’s...が「勧誘」なのに対し、こちらは「あくまで提案」という意味合いが強いので、押しつけがましさがありません。ビジネスでも日常生活でもぜひ活用して欲しいと思います。
Why don’t we talk about this over lunch?
一度ランチでもご一緒しながら、この件をお話ししましょう
ちなみに、人にアドバイスするときのWhy don’t you...?「~したらどう?/~したらどうですか?」も頻出表現ですよ。
Why don’t you just give it a shot?
思い切ってやってみたら?
関連表現
「始めましょう」以外の進行役の決まり文句を見ていきましょう。
□ Sarah is the note-taker today.
本日はサラさんが書記をさせていただきます
□ Let’s go to the next topic.
次の議題です
□ Please let me know what you think.
ご意見をお伺いしたいと思います
□ Please be back by 11:00.
11時までにはお戻り下さい
*休憩の案内をする際などに使います。
□ Let’s get back to the main issue.
それでは、本題に戻りましょう
□ Time is limited, so we have to move on to the next topic.
時間が限られています。次の議題へ移らなければなりません
今回のボキャブラリー
「議論を尽くす」って何て言う?
「議論が煮詰まる」「意見を出し尽くす」などの表現を、うまく英語で言いあらわせますか? everything や out など、「すべて」「完全に」などのニュアンスの単語を使うことがポイントです。
「言うべきことは出尽くしましたね」なら、We’ve said everything there is to say about this.、「議論を尽くしたと思うので、採決に入りましょう」なら、I think we’ve talked this out, so let’s take a vote.のように言えます。talk outは「徹底的に話し合って解決する」するという意味です。
構成・文/デイビッド・セイン