キラキラ留学体験記なんてクソくらえ
意外と見えていないアメリカ留学の現実
現役留学生が語る!
知っておきたいアメリカ留学
留学の一般的なイメージとは何だろう。英語上達、充実した海外生活、価値観が変わる異文化交流、現地の人とのパーティー…。大抵の留学生インタビューはこのようなキラキラした言葉であふれている。そして「辛いこともあったけど楽しかった留学生活」の言葉で締めくくられる。辛いこととは何なのか。全員が”キラキラ”を経験できるのか。現役留学生があまり日本には届かない留学生の実態を紹介する。
*英語ペラペラなんて奇跡レベル
私自身、英語だけで行われる授業を受けて4年経つ。毎月何枚もの英語のレポートを書き、グループプロジェクトではネイティブと討論し、何百ページもの英語の資料を読み倒す。
だが、英語ペラペラにはほど遠い。ペーパーの表紙に「Poor Grammar」とだけ書かれて返されたこともある。それこそ必死で勉強をしても、自分の言いたい事を英語で満足に伝えることなど奇跡に近い。
*留学生活を楽しむよりも勉強に苦しむ
勉強に追われ、留学生活を楽しむ時間をつくる余裕が出来るまでには時間がかかる。留学生は出席率が80%を切ると、勉強する意図がないとみられビザが失効される。実際は学校から警告が来て、猶予期間が与えられ、その間に成績を復活させるとまた認めてもらえる場合が多いのだが、ゆるゆると休み癖がついてしまい何回も繰り返すといきなり強制帰国もありうる。またGPAという成績評価を2.0以上(4が最高)保たなければ、これもビザ失効の危機に立たされる。2.0というと100点満点中の70点。全ての教科の平均を、ネイティブと同じ評価基準で70点を上回り続けなければいけない。
交換留学生は在籍している日本の大学が授業料を払っているので、金銭的な援助が打ち切られたり、猶予が与えられず即帰国になったりとシビアだ。自費で留学を続けようとすると、留学費用は2,3倍に跳ね上がる。
*ホームシックとそりの合わないルームメイト
現地での生活に慣れる前に起こりうる問題がホームシック。渡米して1週間で部屋から出て来なくなった友達、ある日いきなり日本に帰ってしまった留学生の話などは珍しくない。ルームメイトとのいざこざも後を絶たず、喧嘩して口を利かずに半年間寝る為だけに部屋に帰っていた友人もいる。
私のアメリカ人ルームメイトは時間を問わずシャワーを浴びながら全力で歌うし、1週間前にすぐ片づけると約束した鍋や皿は未だにシンクに積み重なっている。
同じ文化と常識を持つ日本人ですらそりが合わない同級生がいるのに、文化も常識も何もかも予想外でも、一緒に住むのを楽しいと思える人に出会えるのは宝くじを当てるぐらいの確率だろう。以上はマイナス面のほんの一部だが、イレギュラーな出来事に対処する能力や、ストレスマネージメント能力は確実に鍛えられる。
これらを乗り越えて留学を無事に終えた時、留学の思い出に金メッキを塗れる程度の経験値は得られるだろう。
高井 美伶
Noren Portlandというウェブマガジンでライター活動中のポートランド州立大学生。
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