Dear B,

Digital Nomad
10年前から海外のあちこちを転々とし、デジタルノマドの生活を実践しているアメリカ出身のプロデジタルノマド。10代の後半からミュージシャンとして活動し、ここ10年は自身が開発した管理ソフトを世界中で展開している。デジタルノマドを通した未来論を紹介。
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HOW TO
2017.08.04

デジタルノマドになりたいけどなれない 

旅をしながら仕事が難しい理由

デジタルノマドのライフスタイルは時間・場所・人間関係の悩みから解放された自由なものです。ほとんどの人の悩みがこの3つから生じているのではないか……と考えるとデジタルノマドの生き方に共感し、ぜひ実践してみたいと思う人も多いのではないでしょうか。


しかし、実際を見てみると、デジタルノマドとしての生活は楽なことばかりではありません、時として同じ場所で会社員をやっている時では考えられないようなトラブルに見舞われることもありますし、いざ、デジタルノマドを始めてみたけどやっぱり無理だった…と諦めてしまう人も少なくありません。今回はなぜ、旅をしながら自分の仕事を行なっていくことがそこまで大変なのか。そして、デジタルノマドとして活動するために必要なことは何なのか、考えていきましょう。

 

 

1.デジタルノマドに向いている人

 

Jenn Evelyn-Ann

そもそも、デジタルノマドとしてやっていける人というのはどんな人なのでしょうか。まとめてみました。

 

<デジタルノマドに向いている性格>

 

-好奇心旺盛な人

-自立心のある人

-エネルギッシュな人

 

やはり好奇心があるかどうか、新しいものが好きかどうかというのが一番重要なファクターになりそうです。デジタルノマドは毎日が新しいこと尽くしです。新しい場所や新しい人間関係の中で、イキイキと過ごせる人はまさにデジタルノマド向きと言えるでしょう。異国の文化や人々に興味とリスペクトがあり、彼らの生活をのぞいてみたいという好奇心旺盛な人がデジタルノマドには多いです。

 

また、自立心ある人もデジタルノマドとしてのライフスタイルを楽しめるのではないでしょうか。会社で雇われて過ごすよりも、自分の裁量を持って働きたい人にはおすすめです。

 

誰もが新しいところで新しい景色を見たい。刺激的な出会いが欲しい、と心の中では思っているはず…。そして自分のペースで仕事を進めていきたいと願う人も多いのではないでしょうか。そういった意味では誰もがデジタルノマドになれるポテンシャルは秘めているのです。それではデジタルノマドに向いている仕事や、具体的にどんなスキルが必要なのかをみていきましょう。

 

 

2.デジタルノマドに向いている業種

 

Jan Vašek

デジタルノマドはPCワークの場合がほとんどです。デジタルノマドやリモートワークと聞くと、専門性の高い仕事というイメージがあるかもしれませんが、誰にでもできる仕事などが増えてきています。もちろん十分な収入を得られるかどうかはスキル次第ですが、例えばテレアポや文字起こしなど特別なスキルがなくてもPCさえあれば仕事ができる、という時代なので多くの人に可能性があるのです。デジタルノマドで多い職種をみてみましょう。

 

-ライティング・編集

-プログラミング

-ウェブデザイン

-グラフィックデザイン

-翻訳・通訳

-広告業

-ソーシャルメディアマーケティング

-カスタマーサービス

-営業

-アニメーション・動画編集

-オンラインショップ経営

 

など

 

実に多岐に渡る職種でデジタルノマドは存在することがお分かりいただけたでしょうか。やはり多いのはデザイナーやライターなどのクリエイター職です。営業やカスタマーサービスと聞いて、「働く場所が自由なわけがない!」と思った方も多いかもしれませんが、最近ではウェブチャットで問い合わせを受け付けるショップなどが多いため、PCがあれば問題ないのです。

 

また、営業も電話営業に特化している企業はクラウドソーシングという形で個人に委託をすることも多いようです。またいくつかのスキルを組み合わせて複数の収入源を持つデジタルノマドも多いようです。

 

3.デジタルノマドに必要なもの

 

Matthew Henry

それでは、デジタルノマドになるためにはどんな能力が必要なのでしょうか。もちろんその職種へのスキルがあればあるほど良いのですが、それ以上にデジタルノマドになるために大切なものもありますよ。

 

語学力

多くの言語が使えれば使えるほどストレスなく現地で生活を送ることができます。また受けられる仕事の幅も増えるでしょう。

 

稼ぐ力

言うまでもなく生計を立てられるだけの収入源が必要です。

 

自己管理能力

デジタルノマドは自由! しかし、サラリーマンのように毎月の給料が保証されているわけではないので、全て自己責任で仕事管理をする必要があります。自分の中でルーティンを守りつづけ、同時にその国でしかできない体験をするには、かなりの自己管理能力が必要です。

 

適応能力

デジタルノマドの環境は毎日のように変わります。新しい国に行けば、まず自分の仕事場を確保する必要がありますし、新しいデジタルノマドとの交流もあります。また海外での滞在にはトラブルもつきものですから、その時にも動じずに対応する必要があります。普段不自由なく生活をしている日本人にとっては、海外では生活の不便さに驚くことが多いでしょう。なので、それに動じず、そのつど対応できるような冷静さが必要なのですね。

 

 

4.多くの人がデジタルノマドになれない理由

 

Alexandre Chambon

デジタルノマドのようなライフスタイルに憧れる人はきっと多いと思います。しかし、何が原因でデジタルノマドになれない、または続けることができないのでしょうか。主な原因を挙げてみました。

 

仕事を得るだけのスキルや人脈がない

 

これが原因でなかなか一歩が踏み出せない人は多いかもしれません。フリーランスとして働くことが多いデジタルノマドですが、自分で仕事を探すためには、自分をクライアントに売り込む必要があります。そうした積極性もさることながら、安定して仕事をもらい続けるためにはスキルだけでなく、ある程度の運や人脈も必要となる時もあるかもしれません。スキルや人脈はデジタルノマドとしてやっていくことで付いてくるものもあるので、いつまでも待っていてはいけませんが、すぐに得られるものでもないので、やはりある程度の準備期間が必要なのですね。

 

場所を変えながら仕事を続けて行くことが困難

 

先ほどの「適応能力」に通じることですが、日本というモノカルチャーの中で生きてきた人にとっては、海外で起こることはほとんど全て目新しく感じることでしょう。また変化というのは結局ストレスとして、知らず知らずのうちに身体や心にも負荷がかけます。人間にはホメオスタシスといって自分や自分の周りの環境を一定に保とうという心理が知らず知らずのうちに働きます。

 

ですので、環境の変化への耐性があるという人はごく稀です。いきなり海外に長期間飛び出すよりは、短いスパンでデジタルノマド体験をしてみるのも良いかもしれませんね。

 

家族や離れらない人間関係がある

 

やはり家族を置いて海外を転々とする生活に抵抗がある人が多いのが現状です。独身であれば自分の最低限の生活だけを維持できれば良いですが、家族を養うために働いている人はそうはいかないでしょう。仮に安定した収入が得られる状態であっても、家族と共に海外を転々とするのは、正直大変ですし、安全面でのリスクもあります。

 

しかし、家族とともにデジタルノマドとして海外を廻る人たちも数多くいるのですよ、とくに自分の大切なパートナーと一緒に仕事をしながら、色々な体験を共有する生活はとても刺激的ですし、子どもにとっても、海外の文化を肌で感じることができるので、グローバル感覚が必須な現代においては最高の教育法だと思います。

 

社会的な認知度が低いため

 

サラリーマンとして同じ会社に長期間にわたって務めるのがまだまだ根強く当たり前の認識として残る日本。20代の人が親に対し、「僕はデジタルノマドとして海外を旅して廻るんだ!」と言っても、すぐに理解してくれる人は少ないかもしれません。また現実的にフリーランスとして働くだけでも失業保険がなかったり、ローンが組みづらかったりと障壁が多いのが現実です。

 

最近になって、やっとフリーランス専用の保険ができたり、国が多種多様な働き方を推進するようになったりと変化がみられるようになってきました。今後の日本人の価値観が変わっていくことで、この問題はなくなっていくことでしょう。

 

トラベルファテーグ

 

ファテーグとは「疲労」のこと。はじめは毎日が刺激的で全てが新鮮に見えたとしてもなかなかそれは長く続かないもの。旅の疲れが少しずつでてくるとホームシックになりますし、慣れ親しんだ友人や家族のもとに戻りたくなるものです。最初はあれだけ楽しかったデジタルノマドの生活が、今では辛い……。そうなるとバーンアウト(燃え尽き症候群)のような状態に陥り、モチベーションを保てなくなります。こういった理由で、デジタルノマドの生活を断念してしまう人がいることも現実です。

 

5.デジタルノマドの声

 

 

自由なライフスタイルが送れるという魅力がある反面、自分が全ての責任を持って生活していけなければいけないデジタルノマド。今まで雇われて時間を切り売りすることで収入を得ていた人たちにとっては、自己変革が必要になるかもしれません。最後に実際にデジタルノマドとして各国を飛び回るデジタルノマドの人たちが大切にしていることを紹介しましょう。

 

「自分に規律を課すこと」

「常に学び続ける姿勢をもつこと」

「変化を恐れないこと」

「捨てる勇気をもつこと」

「それでもいつも楽観的にいること」

 

デジタルノマドとして生活を続ける人たちにとって、ストイックにルーティンや自分のルールを守ることは非常に重要なのですね。またデジタルノマドという生き方を選べば、当然失うものあります。安定や帰属意識というものの代わりにあなたは自由な生き方を追求しているのです。自分にとって大事でないことは潔く捨てる。そうしたミニマリスト的な思考が必要なのでしょう。

 

“Less is more.”という言葉があります。これは不必要なものを減らすことで人生の豊かさが増す、という日本でいう「断捨離」に近い考え方ですが、まさにデジタルノマドに必要なマインドセットを一言で表していると思います。

 

決して甘くはないデジタルノマドという生き方。だからこそあなたの周りには同志が集まりますし、それによって得られることはきっと人生で大きな意味を持つと思います。

 

できない理由を並べるのは簡単ですが、自分ができると信じて一歩を踏み出すからこそ、人生は面白いものになるのかもしれません。

 

まずは自分が人生で大切にしていることを書き出して、それがデジタルノマドという生き方にシンクロしているようであれば、他人の声に心を奪われず、一歩を踏み出してみるのも良いかもしれません。

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