ギリシャ移住に必要なこと
1ヵ月で必要な生活費は約○○万円
LCCなどのローコストキャリアと呼ばれる格安航空会社が出現して、渡航費は過去に比べて驚くほど安くなったよね。テクノロジーの進歩により、場所を選ばず、ラップトップ1枚で仕事ができるデジタルノマドと呼ばれる人々が出現して、人類はひとつの場所に縛られる時代に終わりを告げようとしているように感じるわ。今後この流れは、テクノロジーやグローバリゼーションの加速と正比例して、人類が今までにない大移動の時代を迎えるのではないかと予測されているの。そんな新しい時代を賢く生きるために、海外移住に必要な知識を、実際にその国に暮らす人々に聞いていくよ。今回は現在イギリスとギリシャの2拠点生活をおくる写真家のTさんがギリシャ移住について詳しくご紹介!!
ギリシャ移住基本情報(気候・言語・宗教etc.)
1.日本からのアクセス
現時点ではギリシャへの直行便はありませんので、ドーハやドバイ、アブダビ、イスタンブールなど中東の都市にて乗り換えの経路を使います。所要時間は、乗り換え時間を除いて16時間程度です。日本との時差は、7時間(サマータイム時は6時間)です。
2.気候
ギリシャには日本と同様四季がありますが、真冬の朝でも10度程度と比較的温暖な気候です。1年を通して明るい日光が差し込むところが特徴です。観光地である地中海の島々はより暖かく、3月から10月末くらいまで地元の人たちは海で泳いでいます。夏の日差しは大変暑く、熱中症になる恐れがあります。日差し対策や水分補給を忘れずに行ってください。
3.言語
公用語はギリシャ語です。アテネや地中海の島々などの観光地では、簡単な英語も広く話されています。公用語にはなっていませんが、テッサロニキ以外の北部ではトルコ語やロマ語を母国語とする少数民族の方が多く暮らしています。
4. 人種
ギリシャでは近年の経済危機の結果、在住外国人が大変少なくなったようです。ギリシャ人でも優秀な人は、ヨーロッパ圏内の自由移動権を使い、他国で働いています。 植民地などを持ってこなかったこともあり、ヨーロッパの他国に比べると、移民は大変少ないようです。
5. 宗教
ギリシャ正教が国教と定められていることもあり、北部の少数民族を除けばほぼ100%の国民がギリシャ正教徒として育てられます。街のいたるところにレンガ造りの教会が見られ、観光客は自由に見学できます。カトリックやプロテスタントの教会と比較すると、照明が暗く抑えられる中で、壁全体が上から下まで宗教画のイコンに彩られ、深紅や金色の装飾具に飾られる様子は、荘厳でおどろおどろしく感じられるかもしれません。
ほぼ全てのギリシャ人は生まれて1年以内に洗礼を受けます。結婚式は、教会か市役所かと場所は選択できますが、どちらを選んでも必ずギリシャ正教の神父に同席していただくことが法律で決まっています。また、教会は火葬を法律で禁じているため、火葬を望む場合は他国に遺体を運びお葬式を行う必要があります。(ここまで心配する必要は無いかもしれませんが) 宗教的なお祝いの規模は、クリスマスよりも4月のイースター(復活祭)の方が断然大きく、地元の人たちは復活祭金曜日の夜には、深夜0時を前にキャンドルを持って近くの教会に集まり、復活を祝う火を持参したキャンドルに移し、自宅に持って帰ることが習慣となっています。帰宅後には家族や友人らと羊の内臓スープを食し、翌日には親戚一同が会して庭で6時間程度かけてローストにした羊肉を囲む習慣があります。ギリシャ全国で見られますが、特にクレタ島ではこの習慣が色濃く残っています。
6.通貨
通貨はEUのユーロです。 クレジットカードが普及しているため、カフェなどの少額の買い物でさえもカードでほとんど済ませることができます。 経済危機後、ギリシャ人の多くが仕事を失い、月額5万円以上の給与を受け取っている若者は稀です。既に退職した高齢層は、現政権で優遇されているために、(現役時代の役職にもよりますが)たいてい月額15万円程度の年金を受け取っています。物価は日本とほぼ同じです。平均給与額を考慮した生活コストランキングでは、近年常にヨーロッパ上位にランクインしていることが示すように、ギリシャは地元の人にとっては大変コストの高い国といえるでしょう。
7.治安
ギリシャでは凶悪犯罪はほとんどありません。しかし、近年の経済危機から、ひったくりや公共交通機関でのスリが多く報告されています。また、レンタカーをする場合には、置き引きも増えていますので、たとえ5分の停車であっても、車を離れる場合には車内に貴重品を残さないようにしてください。中東地域からユーロへの難民・移民の方が多く通過する長距離電車の駅や港周辺では、夜間の独り歩きは避けた方が無難です。 アテネのシンタグマ広場は、日本でいう国会議事堂に面していて、多くのデモがここを終点にして行われます。暴力的になることは稀ですが、事前に告知されますので、出かける場合には巻き込まれないようホテルなどで事前にチェックするのがよいでしょう。
ギリシャでの1ヵ月の生活費は○○万円
1.家賃
首都アテネの中心部は、それ以外の場所に比べると高いです。また地中海に無数にある島の場合、観光客の多いサントリーニなどの島は、10%ほど割高です。 個人で居住する場合にまず考えるのがワンルームタイプのマンションだと思いますが、日本のような20平米くらいの広さのアパートは、そもそも存在しません。都市部でも物件は60平米くらいからで、リビング・ダイニングと寝室からなる1LDKタイプがほとんどです。家賃は月額250ユーロくらいから見つかります。しかし、経済危機後、国内の不動産は10分の1以下の価格に下落したとも言われていて、何としても貸したいオーナーをうまく見つけられれば月額100ユーロくらいから物件は見つかると思います。数ヵ月分まとめて支払えるのであれば、大幅な値段交渉も可能です。経済危機でギリシャ人の多くが首都での職を無くし、その結果、地方出身の方が帰省し家族とともに持ち家に住むケースが多いです。従って、アテネ市内では賃貸物件が供給過多の状態にあります。 賃貸マンションを扱うウェブサイトがありますが、お得な物件を見つけるには残念ながらギリシャ語でのサイトに限られています。
2.光熱費
光熱費は日本より高額です。ガス・電気・水道・ゴミ回収代で、毎月200ユーロぐらいはかかります。年中夏のようなイメージがあるギリシャですが、冬の間は、朝・晩は暖房が必要になる程度には冷え込みます。 通常はほぼ全ての建物にセントラルヒーティングシステムがあるため、建物全体でディーゼル油を買うのですが、近年の経済危機後は高額な油を買える家庭が限られているために、各テナントがそれぞれヒーターなどで部屋を暖めています。ギリシャは水不足が深刻で、島に行くほど水道費は高いです。アテネの2倍程度かかります。
3.ネット代
街中のカフェやレストランは無料Wi-Fiを完備するところがほとんどですので、データ量を気にせずに携帯を使うことができます。 自宅では、無線LAN接続のプロバイダーと契約し、会社から送られてくるモデムを利用する方法が最も一般的です。月額契約で20ユーロ程度。短期間契約のモバイル型Wi-Fiデバイスも存在しますが、1GBあたりの値段がかなり割高にはなります。
4.携帯電話代
携帯電話本体は、携帯専門ショップや電気店で購入でき、iPhone7が620ユーロ程度。携帯会社と月々の契約を1〜2年以上結べば、携帯電話本体が無償もしくは格安提供されることも多々あります。スマートフォンならSimフリータイプが一般的ですので、他国に移動する場合には現地のSIMカードを購入するだけで、格安で携帯を使うことができます。 月々の携帯代金は、60〜120分の十分な無料通話とデータ使い放題で20ユーロ程度から様々なプランがあります。最近の携帯電話はテザリング機能があるため、動画などを見ない方は携帯接続でネット代を浮かすこともできるでしょう。
5.食費
人件費が安いため、外食費用は日本よりかなり格安です。ギリシャ料理を出す大衆食堂タベルナでは、15ユーロも出せばお腹いっぱい食べられます。観光客の多い島では、20ユーロ程度と少し割高感はあります。 スーパーや近隣の商店で1週間分の食品を購入する場合には、切り詰めたとしても70ユーロ程度はかかります。ただし、肉類のパックには日本の5倍くらいの量が入っています。ギリシャで採れるトマト、きゅうり、ナスなどの夏野菜、そしてオレンジやレモン、イチジクはどの家庭も大体庭に木を植えていますので、キロ単位で量り売りされており格安です。
6.交際費
ギリシャでは、友達や家族と夜遅くまで政治議論を戦わせながら、カフェやウゼリという地元のバーで過ごすのが一般的です。コーヒー1杯2〜3ユーロ、ジョッキビールは2〜3ユーロ程度。それ以外では、アテネとその他の都市で、交際方法は全く異なります。アテネでは、年間を通して演劇、映画、美術館、コンサートなどのイベントがあります。これらのチケットは10〜30ユーロ。地方や島では、残念ながらイベントは多くはありません。地元の学校の学芸会や、中期滞在している外国人の画家の開く個展など無料イベントをよく見かけます。
残念ながらおいしい和食が食べられる場所は、まだ見つかりません。保守的なギリシャ人には日本食はハードルが高く、また概して高額なために、まだ一般的ではないようです。
7.合計
切り詰めた暮らしをする場合には、 合計: アテネ1,200ユーロ、
観光客の多いサントリーニなどの島1,500ユーロ(14.5〜18万円)
ギリシャ移住のコツ(就職・ビザ取得・税金)
1.ビザの取得について
ビザの種類は、観光ビザ、就労ビザ、学生ビザ、婚姻ビザなどがあります。ワーキングホリデーや、退職ビザはありません。
初めは観光ビザで入国、それを現地で6ヵ月まで延長した上で、さらに現地で学生ビザや就労ビザに切り替えるのが一般的です。ただし、就労ビザは「ギリシャ及びEU全ての国で探したが的確な人が見つからなかった上で、日本人を雇う」ことを雇用先の会社が証明しなければならず、取得は至難の技と言えます。
学生ビザや婚姻ビザで15年が経過した時点で、無期限滞在許可というグリーンカード的ビザに切り替えれば、それ以降は無期限に滞在できます。
観光ビザ
一般に、3ヵ月以内の観光など短期滞在の場合には事前に申請してビザを取得する必要はありません。2013年10月のシェンゲン国境規則の改正によって、過去180日の期間内で最大90日以内の滞在に限られることとなりました。これにより(以前は可能だった)90日滞在後、シェンゲン協定外のイギリスなどに数日出たとしても、90日滞在期間カウントはゼロには戻りませんので注意が必要です。また、ギリシャと合わせてヨーロッパの国々を旅行される予定の方は、シェンゲン協定内での滞在合計が90日以下になるよう注意してください。
現地到着後、正当な理由が認められれば、ギリシャ最寄の警察署にてシェンゲン条約の延長規定内1年内180日までの滞在延長が申請できます。但し申請には、銀行口座開設と1,500ユーロの預金、警察署への手数料(500ユーロ)が必要です。この理由には、ギリシャ遺跡の個人研究継続や、婚約者との滞在延長など、個人的な理由も含まれます。
就労ビザ
1年毎に更新し、最長5年まで延長可能。しかし5年経過後は、30日以内に出国する義務が生じます。また滞在許可が受理されると仮許可証が発行され、本許可証は数ヵ月後に発給されます。入国後30日以内に雇用主とともに最寄りの警察に出頭して申請することが必要。
学生ビザ
在日ギリシャ大使館で申請します。代理申請不可。領事の面接インタビューがあります。必要書類はパスポートとコピー、写真1枚、学校の入学許可書・学生査証発給依頼書、無犯罪証明書、健康診断書、査証申請料4000円。所要10日前後です。6ヵ月以上の長期で学生生活を送る場合には、学生用滞在許可証に切り替えることができます。
居住権付き投資ビザ
資産のある方はご検討ください。2013年より財政危機を背景に外国人の投資促進を目的に導入されたビザです。ギリシャ国内で25万ユーロ以上の不動産購入者に居住権を与えるものです。不動産は複数の不動産購入が認められ、合算で25万ユーロ以上あれば対象のようです。居住権は5年毎の更新制。就労可能!
2.仕事の探し方について
ギリシャは経済が崩壊してしまったせいで、多くの高学歴のギリシャ人すら仕事のない状態です。失業率は25%を超え、18〜25歳に限れば47%です。この状況で、ギリシャ語ネイティブのギリシャ人を押しのけて日本人が仕事を見つけることは、不可能と思った方がいいでしょう。 またギリシャの雇用は、優秀であるかどうかに関わらず、コネが全て(!)よほどのコネがあれば、試してみてもよろしいかもしれません。
3.婚姻について
ギリシャ人と結婚する場合、婚姻から3ヵ月以内に、在外公館又は日本の本籍地役場に届け出をすればOK。 必要な書類は、a. 婚姻届書 (公館に用意あり)、b. 日本人の戸籍謄(抄)本2通、c. 婚姻した地域の役所が発行した婚姻証明書 (原本)、d. 同和訳文2通、e. 外国人の婚姻時の国籍を証明する身分証明書、f. 同証明書コピー2通、g. 同和訳2通
4.税金について
日本の消費税と同等の付加価値税(VAT)は24%。生活必需品については、6%、13%と段階的に適用されています。 2008年の経済危機以降は、半年〜1年ごとにじわじわと上がり続けています。教育や医療などの分野は0%です。個人所得税は累進課税です。経済危機を乗り越えるべく2016年分からは所得税が引き上げられました。4万ユーロ以上の所得には45%の所得税が、 3万5000ユーロ以上の不動産収入にも45%の不動産所税かかります。
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