

「あなたの幸福度は何%ですか」
世界幸福度調査~キューバ人編~
前回に引き続き、世界中の幸福についてのインタビュー調査をしてみました。今回はカリブ海に浮かぶ島、キューバのご婦人です。数日前に、WBCで日本と試合をした国ですが、みなさんどんな国とイメージしますか? やはり野球、チェゲバラ、葉巻、マンボやサルサなどの陽気な音楽といった感じですかね。筆者は訪問する前は、褐色の肌で陽気そうな国だな~くらいの知識しかありませんでした。今回お話を聞かせてくれたマリアさんは、キューバで私が泊まったおうちのお母さんです。キューバでは、あまりホテルに泊まるという概念がなく、旅行者は政府の認可が下りた各家庭の部屋を間借りする形で宿泊するのが主流です。明るく、面倒見のよい、素敵なママであるマリアさん。私もわからない事はなんでも彼女に聞き、その都度丁寧に対応してくれて、とっても楽しい思い出があります。さて、キューバの一般家庭の主婦であるマリアさんの幸福感とはどんなものでしょうか……?
マリア/女性/ 52歳/キューバ人
ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください)
100%幸せよ!
楽しく暮らしているわ。
ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか?
最近生まれた孫。近くに住んでいなかったけれど、この前顔を見せに来てくれた数日間は、夢のような日々だったわ。孫が幸せに育っていると思うと、その親である私の息子も幸せに、立派に生きている証拠だもの。
ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか?
愛と平穏。私の人生は客観的にみると平凡でつまらないかもしれないけれど、当たり前のように愛する旦那がいて、穏やかな生活が続くって、幸せなことだと思うわ。もちろん大変なことも沢山あるけれど、愛するものがあるからこそ、頑張れるし苦難も楽しめるわ。そう思って生きていれば、何も怖いものなんてないもの。
ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか?
高いと思うわ。確かに収入は月10ドル程度だから旅行なんてもってのほかだし、政府が強いので自由は本当に効かないの。私の家にはアメリカ製のオールドカーがあるけれどとっても年代物で、修理するための部品はなかなか手に入らないし、ガソリン代が高くてめったに動かすことはできないの。不満は当然たくさんあるわ。だけど、みんな折り合いをつけて、笑って踊って生きているもの。
若い人たちは、海外に憧れて出ていく人も多いの。私の末の息子もそう。アメリカに出稼ぎに行ったわ。時折、私たちに仕送りもしてくれるのよ。息子はアメリカで沢山の選択肢を手に入れたけれど、その分仕事は大変だし、社会保障もない。そう言った部分で今後、アメリカとキューバどちらに住んだ方がいいか悩んでもいるみたい。若い人たちは、外国でお金を貯めて、それでもキューバにいつかは帰ろうって人が多いんじゃないかしら。という事は、なんだかんだ言って、最終的にこの国に住みたいという事だと思うわ。生活が厳しいとはいえ、医療も充実していて、子供の教育も無料だからそれぞれの家庭への負担が少ないの。食べ物の配給もあるから、最低限食うに困ることはないの。そういった保障も足りなかったり、うまく回っていないこともあるけれど……まあ少なからず、助けられてる部分はあるっていう安心感はあるわ。私はもう、年をとってしまったから、出稼ぎに行くなんてできないし、平和な今の暮らしが、今後も続けばいいなと思っているのよ。
ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか?
幸福度を上げているものは、音楽と、美しい海。町に繰り出せば必ず音楽が聞こえて、自然と体を動かしたくなっちゃう。悲しいことがあっても、踊って、歌って、友達と笑いあえば、すべて吹き飛んでしまうわ。あとは、島国だから海に囲まれていて、温暖だから果物も豊富なの。それだけで、幸せじゃない?
幸福度を下げているのはさっきも話したけれど、自由度が少ないことかしら。とにかく情報が少ない。私たちだけで生活する分には、インターネットなんかないし、情報が少なく政府に規制されているという事もあまり気づかなかったの。でもこうやって宿をやって、世界中の人たちと触れ合う機会が増えるでしょう。そうして世界の多様な考え方や国の在り方を知ると、私たちの国はなんて自由がないのかしら、と思ってしまうのよ。
shares