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HOW TO
2017.08.30

レイ法律事務所代表弁護士佐藤大和に聞く

AIは本当に弁護士の仕事を奪うのか?

AIの発達によって、今後多くの仕事が奪われていく……というのは昨今よく話題に上りますが、医師や弁護士などの高度な専門職もAIに代わっていくという予測があります。こういった時代の流れを、第一線で活躍するプロ達はどのように捉えているのでしょうか。今回はLINEで法律相談できるサービス「レイ子」をスタートさせたレイ法律事務所の代表弁護士である佐藤大和先生に、AIによって弁護士の仕事がなくなることはあるのか、その疑問をぶつけてみました。AI時代に必要な力とは何なのか、現代人必読のインタビューです。

1.AIは弁護士の仕事を奪う?

Dear B,編集部

AIは弁護士や医師という高度なスキルを要する仕事も奪うと予想する人たちがいます。弁護士業界ではAIの発達をどのように捉えているのでしょうか。

 

佐藤先生

結論としてAIの進化は止められないと思いますが、それによって弁護士が全ての仕事を奪われるということはないと思います。なぜなら弁護士と一口に言ってもさまざまな仕事があるので、AIに代替えできる仕事とできない仕事があるからです。

 

契約書のチェックや判例を探すなど単純な作業はAIに置き換えられるかもしれませんし、過去の裁判例と照らし合わせる作業や、「これは不倫にあたるんですか」など単純な質問に関しては、AIにも返答ができるのではないかと思います。つまり人間の感情が入り込んでいないところですね。

 

相手との交渉ごとや人間関係のトラブルの処置は人間の弁護士にしかできないことだと思います。なぜなら、人間関係のトラブルには「人間の感情」があり、そして法律を使うのも人間であり、法律を作るのも人間であり、新しい解決方法を生み出すのも人間だからです。

 

2.将来なくなる仕事となくならない仕事

Dear B,編集部

代替えできる業務もあるとのことですが、その過程で弁護士の人口が減っていくということはあると思いますか?

 

佐藤先生

今、司法試験のちょうど変革期だと思いますが、AIが原因というよりは、司法試験の合格者を減らす動きが高まっているので、弁護士の数は自然と減っていくと思います。これは少し増えすぎた弁護士の人数を抑制するということなので、今後AIよりもそういった理由から人数が減少することはあると思いますね。

 

弁護士が減少傾向にある最大の原因は、ニーズの掘り起しができてないということにあると思います。恐らく何か問題を抱えてしまっても、弁護士に相談せず、自分で解決しようとしてしまっている人が多いのではないでしょうか。そういった意味では、各弁護士次第ではありますが、可能性とニーズは無限にあると思っています。

 

また、AI時代に淘汰されない弁護士であるためには、ひとりひとりが商品であるということを考えた時に、弁護士としての自分のどこが「売り」なのかっていうことを、今まで以上にシビアに考えていく必要があると思いますね。

 

3.個の時代で鍛えるべきは人間力


 

Dear B,編集部

弁護士も個人の時代になるということですね。

 

佐藤先生

法律事務所自体は拡大傾向にあると思いますが、AIだけでなく、他の弁護士に代替できない存在にならなくてはならないという意味では、弁護士も個人の勝負になるでしょう。

 

Dear B,編集部

そういった個人の時代に必要になる力と言えば何なのでしょうか?

 

佐藤先生

ずばり「人間力」です。人間力っていうのは人間としてのトータルの力のことです。弁護士は、その中でもコミュニケーション能力や相手への共感能力、相手が何を求めているのかを察知する力などをどんどん磨いていくべきだと思います。そのためには、勉強だけでなく人生において人とぶつかる経験をすることが大事です。恋愛をすること、人と喧嘩をして衝突すること、様々な争いを見ることも後の共感力に繋がっていきますよね。人間力は、人間との衝突の中でしか磨けないものだと思います。こういった力を持っている先生はAIには負けないと思います。

 

4.法律相談サービス「レイ子」にみるAIとの共生

 

LINE法律相談サービス「レイ子」

 

無料で法律の相談が受けられるサービス「レイ子」ではAIのレイ子が未払い残業代や離婚後の養育費、債務整理の相談にLINEで応じてくれます。

 

 

実際に残業代の未払いをどれくらい請求できるのかシミュレーションをしてみました。使い方はいたってシンプルで、友達登録のあと、ガイドに従って情報を入力するのみ。実際に誰かとチャットをしているような感覚で法律相談ができます。

   

Dear B,編集部

このサービス、とってもいいですよね! LINEで気軽に相談できるってハードルが低くてうれしいです。それに、未払い残業代が請求できるということもよく知りませんでした。過去のサービス残業……。

 

佐藤先生

レイ法律事務所のこのサービスは「敷居の高い法律関係の相談を、もっと身近に気軽に行ってほしい」という願いからスタートしました。

 

誰でも慣れ親しんでいるLINEでこうした相談ができるようになれば、本来解決できたはずの問題が相談しなかったためにもっと深刻になってしまった…なんていうことを防ぐ効果も期待できます。残業代の未払いや債務整理の問題もまさにそうですよね。弁護士に相談する入り口としてAIロボットが対応するというのは、アリだと思うんです。

 

Dear B,編集部

一般人からすると弁護士に相談するって料金高そうとか怖いとか、なかなかハードルが高いんですよね。

 

佐藤先生

LINE法律相談サービス「レイ子」には、法律を身近に感じさせるためのAIと、法律を分かりやすくするためのAIというダブルの需要があると思っています。

 

弁護士が必要な方は、まず弁護士のことがよく分からないから、相談をしたときに1時間話を聞いてもらうだけで「1万円の価値」があるのかということをすごく考えられるんですよね。話を聞いてもらうだけなのか、具体的な解決策まで示して1万円なのか、その辺がよく分かっていない人が多いんです。そんな中で、なかなか相談にいけず、悩みを膨らませてしまって、道がなくなってしまい、選択肢がない状況まで追いこまれてしまうということがよくあります。これが先ほど申し上げた発掘されていないニーズのひとつですよね。こういった人に向けて、AIの法律診断システムによってできるだけ初期の段階で解決へ導いてあげることがとても大事だと思っています。

 

Dear B,編集部

LINEだったら、若い子にも使いやすいですよね。「レイ子」の今後の展開はどうなっていくのでしょうか?

 

佐藤先生

雑談機能やLINEスタンプだったり、あとは近所トラブルや痴漢など身近な問題に関しての相談機能を追加していきたいと考えています。

 

Dear B,編集部

佐藤先生は、AIを脅威に感じるのではなく、むしろ弁護士のニーズを掘り起こし、法律をもっと身近なものにするために利用をされているのですね。

 

佐藤先生

AIと人間というのは仕事を奪い合うライバルではなく、互いを補完し合う仲間だと思っています。今後AIによって、苦しんでいた人に手を差し伸べるようなサービスがどんどん普及していくことは世の中にとってプラスなのではないでしょうか。また、AIが溢れるようになったとしても、自分にしかできない経験を積み、自分を商品としてブランディングすることが現代の人たちにとって必要なことだと思います。

 

取材協力 レイ法律事務所

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