あなたの頼み方、上から目線じゃない?
スルーされないメール「依頼」の英語

デイビッド・セイン先生が教える

日本人のヘンなビジネス英語

ビジネスシーンでも使いたいのは、英語が母国語でない相手とやりとりすることも多いから、シンプルでわかりやすい簡単な英単語や英語表現ですよね。簡単な英語の中にも、日本人が言ってしまいがちな間違い英語や、表現をちょっと直すだけでスマートなビジネス英語になる表現があるんです。

そんなビジネス英語表現を2週間に1度、人気英会話講師である、デイビッド・セイン先生に教えてもらいます。日本人なら誰でも身に覚えがありそうな、ケアレスミスを減らして、スムーズなビジネスコミュニケーションしてみましょう。


 第9回 メール

「上から目線」では嫌われる 英語で人にものを頼むときの言い方はコレ!


 

イマイチ英語 I want you to take a look at the attached.

添付資料を確認するように

 

イチオシ英語 Could you take a look at the attached?

添付資料をご覧いただけますか?

 

依頼をするときは疑問文で

 今やメールは仕事にはなくてはならないツールですが、文字だけの会話にはなにかと神経を使うことも事実です。こちらにはまったくそのつもりはないのに、メールを読んだ相手に「怒っているのかと思った」「(いいニュースに)全然うれしそうじゃなかった」などの印象を持たれてしまうというのはよくある話です。もちろん、英語でも同じような現象は起こりえます。つまり、英語のネイティブ同士であってもそういう誤解が生まれることはあるのですから、英語を書くときに神経質になりすぎる必要はありません。ただ、押さえておきたい基本的なメールのマナーはいくつかあるので、一緒にみていきましょう。

 今回取り上げているのはビジネスメールの目的で最も多い「依頼」の表現です。まず「イマイチ英語」で使われているI want you to ...は「…しなさい」というかなり上から目線の言い方なので、使わないようにしましょう。では、I would like you to ...ならいいのでしょうか。I’d like to ...(ぜひ…したい)はI want to ...(…したい)より丁寧な言い回しなので、そう考えた人もいるかもしれませんが、間違いです。実は、相手に何か頼むときのI would like you to ...I want you to ...と同じくらい失礼な言い回しなのです。ちなみに「部下に対してなら多少高圧的でもいい」というのも基本的に×です。

 「依頼」をするときは、「…していただけますか?」という意味のCould you ...?や、Could I ask you to ...?などを使うのが適切です。

  

Please ...を含む「命令文」の使いどき

 Send me the client list.などのいわゆる「命令文」は、やはり「人にものを頼むとき」の言い方としては好ましくありません。また、これはPlease send me the client list.に言い換えたところで、「顧客リストを私に送るように」という上から目線の表現には変わりないので、やはり誰に対してもCould you ...?がベターです。

 しかし例外的に、以下のような場合は「命令文」やPlease ...でもOKです。

 

●箇条書きで手順などを説明する

Complete the following three steps to answer this survey:

以下の3ステップに従って、アンケートにお答えください

 

1. Enter your e-mail address using the following link.

下記のリンクに行き、メールアドレスを入力する

2. Click on the “survey” link and answer the questions.

「アンケート」をクリックし、回答する

3. When completed, click “submit” to receive a confirmation e-mail.

書き終わりましたら、「提出」をクリックする。確認メールを送付します

 

●自分からアシストを申し出る

Please contact me if you have any questions.

質問があればご連絡下さい

 

スルーされてない? 「件名」の書き方

 「件名」は、メールにおいて「第一印象」を左右する大事なものです。ここで、件名の書き方のポイントをふたつ確認しておきましょう。

 

●メールの目的とトピックをわかりやすく、具体的に

            × Do you have time to meet with me sometime this week?

            ➡さすがに件名にそのまま要件を書いてしまう人はいないと思いますが、件名は簡潔であることが絶対条件です。

 

            × Hello from Sam

            ➡どんな内容かがわからず、もっと言うと大した内容ではないだろうとスルーされてしまいます。

 

            ABC Project

            ➡トピックは一目瞭然ですが、request(依頼)やinquiry(問い合わせ)、proposal(提案)といった目的が不明です。

            Request for price list

            Important info about ABC project

 

●念を押したいことは[  ]が便利

Due Date Reminder [June 20]

Invoice for August 2015 [See attached]

 *see attached「添付をご覧下さい」の意味。

 

 まだまだある、「依頼」関連表現

「依頼」の言い出し表現には他にもおすすめがあります。基本的には後になるにつれて丁寧の度合いが増します。相手の負担を思いやって使い分けましょう。

 

I would like to ask you to proofread my presentation slides.

プレゼンのスライドをチェックしていただきたいのですが

 

Would it be possible for you to get this back to me by the end of the day?

今日中にこれを私に戻していただくことは可能でしょうか?

 

I wonder if you could give me some advice on the matter.

この件について、アドバイスをいただければなあと思うのですが

 

I would appreciate it if you could read through the following notes before the next meeting.

次の会議までに以下のメモを読んでおいていただけるとうれしいのですが

  

▶ 日程の候補を挙げてください、って何て言う?

打ち合わせの日程調整を行う際に、「候補をいくつか挙げてください」といったリクエストをすることがありますよね。「候補」は「(会える)可能性がある」のpossibleで表せるので、possible timeでOK。If you can give me a couple of possible times, I’ll try to arrange my schedule around yours.で「いくつか候補を挙げていただければ、こちらのスケジュールを調整します」という意味になります。

 

デイビッド・セイン先生プロフィール

アメリカ合衆国アリゾナ州出身。カリフォルニア州アズサパシフィック大学(Azusa Pacific University)で、社会学修士号取得。 証券会社勤務を経て、来日。日米会話学院、バベル翻訳外語学院などでの豊富な経験を活かし、現在までに140冊以上、累計350万部超の英語関連本のベストセラー著者。英会話教室の運営、翻訳、英語教材制作などを行うクリエイター集団『エートゥーゼット』の代表。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発する、日本における英会話教育の第一人者。

 

構成・文/デイビッド・セイン

最新の連載をメールでお知らせ

メールアドレス:

「デイビッド・セイン先生が教える ヘンな日本人ビジネス英語」連載記事一覧

続きを見る >>

おすすめ記事