

「あなたの幸福度は何%ですか」
世界幸福度調査~デンマーク人編~
今回お話を聞いたのは、ヨーロッパの北に位置する国で、世界的な調査機関のワールドバリューズサーベイで幸福度の高い国ランキングで毎年1位に選ばれているデンマークの方です。デンマークといえば、みなさんどんな国と想像しますか?筆者は訪問する前、ロイヤルコペンハーゲンと、なんだか北にあるし寒い国、あとはアンデルセン物語というくらいのイメージしかありませんでした。実際訪問すると、首都コペンハーゲンは絵本の世界のようにやさしいカラフルな建物が多く、煌びやかではないですが、洗練されたデザインのものが多いなぁと思いました。郊外の地域に行ってみると、コペンハーゲンのような賑わいはなくなりますが、他国に比べて貧しい雰囲気は見当たらず、やはり幸福度が高い国と感じました。今回お話を聞いた女性には、デンマークではなくスペインのホステルで出会い、数日一緒に観光をしました。医療系の職場で働く彼女は、はきはきと自分の意見を言いつつも、相手の話もしっかりと目を見て聞き、いつもやさしく頷いてくれます。さて、例年世界幸福度ランキングの上位を飾るデンマーク。そこで生まれ育ち、現在も社会で活躍している彼女は何を思うのでしょうか……?
リーイ/女性/29歳/デンマーク人
ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください)
98%
ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか?
旅行。仕事をしているから、期間も時期も好きなだけってわけじゃないけど、毎年バカンスで海外に出かけてリフレッシュしているの。仕事にも生活にも不満はないけれど、毎日の仕事を充実させていくためにも、休息はとっても大切だし絶対に必要なものよ。次の休暇にはどこに行こうかって、思いをめぐらせる時間も含めて、とっても心を躍らせてくれるもの。各地に行って、かわいい雑貨を集めているのよ。部屋に飾ると、仕事から帰ってきても疲れが癒されるわ。
ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか?
学んでいる時間ね。学んだ結果が仕事としてお金に直結してほしいって言うわけではないの。お金が多いほうが良いのはわかっているけど、それよりも私は面白い仕事がしたい。面白いって言うのは実績をつめるとか、人に感謝されるやりがいとか、自分が高められている感覚があるとか、いろいろの意味ね。子供のときに文字を書けるようになったり、学生のときにアルバイトして初めてお金を稼げるようになったり、これから子供が生めるようになったり、キャリアアップしたり、ひとつひとつ、人生って学びでしょう? 私にとってそれが、人生なのかな、って思っているよ。仕事での失敗とか、友人が死んだりとか、自分が怪我をしたり、そういったネガティブな事も、すべて学びで、大切で、自分が高められたと思うと乗り越えられるから。
ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか?
高いわ。最低限貧困に陥らないように保障されているから。教育についてもお金があまりかからないから、誰でも何にでもなれるチャンスが他国よりあると思うの。大人になっても、学校に行く人って多いのよ。公共事業も整っていて、寒い国だけれど凍えることなくすごせているもの。多くを望めば、いろいろな不満が出るけれどみんなで助け合って、自分の手の届く範囲の幸せが、しっかりあるわ。自分に見合った幸せをみんな見つけているわよ。
ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか?
幸福度がを上げているのは税金が高いことじゃない? それって、不満もあったり、いやだなと思うこともある。私だって、一生懸命働いたお金の多くが手から離れるのはなんだよ! って思う事もあるけれどね。でも、私もそうやって周りの大人たちが払ってくれた税金で教育を受けられて、家を与えられて育ったのよね。高齢になったら介護なんかの支援も受けるだろうからそうしたら、私の下の世代にも助けてもらうのよね。だから、全員で国を作って大きな枠組みで支えあっている気がする。日本人の話を聞くと、それに比べたら私たちは将来への個人の貯蓄などあまり深刻には考えていないわね。だから、あまり不安感もないの。幸福度を下げているものは、逆にそういった社会福祉に少しずつ翳りが出始めていること。民間の病院にかかったりするのは、やはり順番待ちはあって初診まですごく時間がかかってしまったりするの。腕の良い医師に見てもらうには、かなりの高額な医療費がかかるわ。それにどうしても国の中心地でないと、何事も最先端のものはないの。それぞれ選択できる幅が広がっているとはいえ、そういった所で、誰にも同じように幸せという社会はだんだん成り立たなくなっていくのかもしれないわ。
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