タオ島にコワーキングスペースをオープン
タイ・TAOHUBファウンダー モエさん
タイのタオ島という小さな島をご存知だろうか? タイの南部には美しい島が多く点在し、ピピ島、サムイ島などは世によく知られシーズン関係なく観光客でごった返しているが、タオ島を良く知るのはダイバーかアイランドホッパーだろう。「世界のダイビングインストラクターのほとんどがタオで生まれる」と言われるダイビングの聖地に、なにやら最近デジタルノマドが集まりはじめているという……。
世界中からタオ島を訪れるデジタルノマド達を暖かい笑顔で向かえるのは、なんと日本人女性! TAO HUBのファウンダーモエさんだ。なぜ日本人の女性がこのタオ島でコワーキングスペースをオープンすることになったのか、その経緯を聞いていきたいと思う。
TAOHUB(タオハブ)とは……
タイのスラータニー県に位置する島、タオ島に2016年1月にオープンしたコワーキングスペース。オーナーのモエさん自身も最初はデジタルノマドとしてタオに住むはじめたという。オープンエアの作業スペースは、風が心地良く、自然の音に耳を傾けながら仕事ができる。365日24時間オープン。
料金:ドロップイン 250バーツ/1週間利用 1000バーツ/1月利用 3500バーツ
HP https://taohub.asia/
(変更予定有り。お問い合わせください)
Dear B 初めまして。今日は宜しくお願いします。去年タイの島に日本人女性がコワーキングスペースをオープンさせたという情報を耳に入れ、「一体どんなパワフルな方なんだろう!?」と気になりやってきてしまいました。今日はコワーキングスペースをオープンされた経緯を聞いていきたいのですが、まずモエさんが最初にタイに来たきっかけを教えてください。
モエ 私が日本人だと知っても驚かれなかったので、私もびっくりしました。だいたいここに来る日本人は最初、オーナーが日本人だと分かると驚くんですよ。(笑) タイには2004年にバックパッカーとして初めて来ました。当時アジアン雑貨の輸入コーディネートをしたいと思っていたので、タイやバリなど雑貨の工場を訪れる旅をしていました。
Dear B うふふ。私はこちらのことをチェンマイのノマドの記事を書いてもらったコワーキングスペースライターのYejiさんに聞いていたんです。なるほど! バックパッカーだったんですね。その時にはすでにタオ島を訪れていたのですか?
モエ そうですね。初めて来た時はタイを南下する旅をしていて、元々タオ島に来る予定はなかったんですよね〜。でもマレー鉄道のガイドブックで、チュンポーンという場所に「ホイトウ」というタイのお好み焼きがあるというのをみつけて、それがどうしても食べたくてチュンポーンの駅で下車しました。その時に泊った宿が、なぜかタオ島行きの船のチケット付きだったんです。せっかくチケットをもらったので、「タオ島に行ってみるか〜」って訪れたのがきっかけです。その旅で、人との出会いがあり、それからちょこちょこタオを訪れるようになりました。
Dear B そこから本格的にタオ島に移住したのはいつ頃ですか?
モエ 2011年です。2004年の旅の後から、いつかタイに住むことを視野に入れていたので、手に職を持たなきゃといけないと思って、WEBサイトの制作やデザインを勉強し始めました。2011年の時点で、当時請け負っていたデザインの仕事を持ってタイに来られることになったので、「よし! もう行こう!」と思ってタオ島に来ました。その時はパソコン持って、部屋にこもって仕事して……って今でいうデジタルノマドですね。
Dear B 6年前にノマドを始められていたということは、モエさんはデジタルノマドの先駆けですね! その当時、クライアントに納得してもらうのって大変だったんじゃないですか?
モエ 日本人との仕事は信頼関係が大事なので、ある程度準備してからじゃないとリモートで仕事を受けるのは難しいですよね。私が6年前にノマドをできたのは、理解してくれるクライアントがいたからです。友人に紹介してもらったまつげエクステのサロンのチラシやWEBサイトの仕事を請け負って、クライアントとの関係が構築できてから「タイに行っていいですか?」って交渉しました。
Dear B なるほど! 当時デジタルノマドになるために準備をされたことはありますか?
モエ まず、クライアントに私が海外にいる事での不便を感じさせないように、スカイプで日本IP電話の番号を取得して、ネット上できるFAXのサービスもセットアップしました。クライアントにデータを送るのはFAXかメールだったんです。
Dear B なるほど! ノマドとしてタオ島に上陸されたモエさんは、なぜコワーキングスペースをオープンするにいたったのでしょうか?
モエ タオ島に住み始めてから1年程経過した時に、知り合いに不動産屋のオフィスで店番をして欲しいって頼まれたんです。当時私はノマドだったので、デスクとインターネットが欲しいと思っていて。ちょうどニーズが合致したんですよね!「全然いいよ」とふたつ返事で、オフィスでは自分の仕事をしながら、お客様が来たら取り次ぐということをしていました。その不動産屋が月日を経ることにどんどん大きくなり、不動産レンタルだの販売だの色々携わるようになり……。そしてある時、2、3年前かな? タオ島での生活に区切りをつけて、一度バリに移住したんですが、その時にネット環境が悪すぎて全然仕事になららず……。その時に辿り着いたのがHubudというコワーキングスペースだったんです。Hubudは建物が竹でできていたり、すっごく素敵なコワーキングスペースで。このHubudにすごく刺激を受けて、このビジネスならタオ島でもできると思ったんですよね。タオ島でコワーキングスペースをやりたいというアイデアを話したらひとりのタイ人スタッフが「やりたい」と言ってくれて!
時を同じくして、その時ちょうどCUAsiaというコワーキングのカンファレンスが、バリ島で行われるということを耳にしました。カンファレンスの1週間前に、タオ島にコワーキングスペースをオープンすると決めて、名刺を作ってCU Asiaで「コワーキングスペースを来年タイのタオ島に開きます」と言って、名刺を参加者全員に配り歩いたんです。参加者全員(約150人)にタオ島にコワーキングスペースを開くと言ったからには、もう絶対にやらなきゃいけない!! っという流れになって……。日本人の協賛して頂けるパートナーも幸運ながら出会うことができました。
Dear B バリでHubudに出会って、タオの不動産ビジネスに結びつくアイデアを閃いた! 凄く導かれている様な感じがしますね。
モエ そうですね! 18、9の頃からずっと大切にしている言葉は、「やりたい事があったら、会った人全員に言いなさい。」ということ。そうやっていくと、道が開けると思いますね。人に話すことで、色々な方法やアイデアが湧いてくるし。
オープンエアーの心地よい環境で仕事をするデジタルノマド達
Dear B こうして2016年にタオ島にオープンをされたTAOHUBUですが、コワーキングスペースにテーマやコンセプトはありますか?
モエ コンセプトは「OFFICE AWAY FROM HOME (オフィスアウェイフロムホーム)」。TAO HUBを自分のHOMEのように思ってもらいたいと思っています。私はみんなのお母さんみたいな存在ですね。誰かが風邪をひいたとなれば、水を届け、フルーツ届け(笑) ただ仕事をするために通うだけでなく、ここに来てメンバーとコミュニケーションすることで何かを得て欲しいと思っています。ここで出会って一緒にビジネスをはじめるのもありだと思うし、旅の情報を交換したり、日本人だったら英語を使って会話をしてみるとか。仕事以外の事も、何か得て帰って貰いたいですね。
Dear B 母国から遠く離れても、オフィスに行けば自分の居場所がある! とてもいいですね! コワーキングスペースのメンバーはどんな仕事をしている人が多いですか?
モエ デベロッパーもいれば、自分でECサイトを持っていたり、オンラインで英語を教えていたり超大企業のコンサルタント業務をしていたりと業種も業界も色々ですね。立ち上げ当初から、"ジャングルコーダー"というデンマークの会社のメンバーがいるのですが、彼らは世界中からデベロッパーを雇いこの島で仕事をしています。
Dear B 常夏の島に住むインターナショナルなプログラミング集団! かっこいいですね。ノマドにとってタオ島は暮らしやすい場所だと思いますか?
モエ タオ島はトリップアドバイザーのアジアの人気の島ランキングの常連で特に欧米人から人気があります。島は観光で成り立っているので、タイのローカル色は薄く、長期滞在者が多いので外国人にとってはとても住みやすい場所だと思います。長期滞在する外国人のほとんどはダイビングが目的で、だいたい2~3ヵ月は滞在して、ダイビングのインストラクターの資格を取得したりしていますね。世界のダイビングインストラクターの80%がここで生まれているって聞いたことがあります。治安はとてもよくて、外国人のコミュニティもあり、みんなサポートしあうので困ることは少ないと思います。
Dear B ダイビング勢だけでなく今後はデジタルノマド人口も増えそうですね。
モエ ここにいるノマドはダイビングもしないし、海にも行かない人が多いんですけどね(笑)タオ島がノマドの集まる島になる事を願っています。
Dear B それにしてもTAO HUBは24時間営業というのもすごいですよね。
モエ みんなグローバルに仕事をしているので、クライアントの時間にあわせて仕事をするが多くて、24時間空いていると便利みたいなんですよね。前にいたアルゼンチンの人は、カナダと仕事をしていたので、深夜4時30時くらいまで働いていましたね。24時間営業はタオ島の治安が良いからできることですね。24時間スタッフが常駐しているというわけではなくて「どうぞ勝手に来てください。」っていう感じで。昼間はダイビングに行って夜は働くダイバーノマドがいたり、ユーザのライフスタイルは様々ですよ。
デジタルノマド達は休憩にモエさんと話をすることが癒しになっているよう
Dear B 日本人の未来のユーザーの方々に、メッセージをいただけますでしょうか?
モエ TAOHUBに来ている海外の人は、みんな日本が本当に大好きで、日本に興味を持っていて、日本人というだけで話したいという人がたくさんいるので、肩肘張らず来て欲しいですね。白人って言っても、イタリア人、スペイン人、ロシア人、と英語がネイティブじゃない人もたくさんいるし、彼らも日本人と同じ様に必死に単語を操ってコミュニケーションしてるので英語が得意じゃなくても全然大丈夫!Welcomeです!
Dear B 「タイの島にコワーキングスペースをオープンしてしまう日本人女性ってどれだけパワフルな人なんだろう」と期待を膨らませてやって来た今回の取材だが、モエさんは終始笑顔で、肩の力が抜けていて、ウェルカムなオーラを持つ素敵な女性だった。皆さんも充実のビーチワークバランスを求めにタオ島を訪れてみてはいかがだろうか?
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