

バルセロナ旅行の際は絶対に食べたい
おいしいスペイン料理10選
海外旅行にでかけたら現地の料理を食べよう
世界料理図鑑Vol.5 スペイン料理
海外旅行で景色や観光スポット同じくらい楽しみなのが"食"ですよね。世界には日本では見かけることのできない驚きと発見のある食で溢れています。せっかく飛行機に乗ってでかけるのなら、現地の料理を思い存分楽しんでみませんか? 世界料理図鑑は、その名のごとく世界各国の名物料理を紹介していく連載です。
海外旅行の際に「この国の名物料理って何があるんだろう」そう思った時は、ぜひこの連載を参考にしてみてください。
ピンチョス Pinchos
最も手軽に味わえるスペイン料理のひとつが「ピンチョス」です。スペイン版カナッペで、特徴としてはスライスして生のトマトをこすりつけたパンの上にさまざまな具材がのっています。組み合わせの決まりはなく作り手次第その日の材料次第で、種類は数限りなく存在します。
味のバランスだけでなく見た目も、アート作品のように美しく彩りよいものが多く、ピカソ、ダリ、ミロ、ガウディなど大胆な色彩を使う芸術家たちを生んだスペインらしい料理とも言えます。
バルのショーケースにいっぱいに並んだ様子は圧巻で、どれにしようか選ぶのがたいへんです。
ひとつあたりの料金は全種類一律で、必ずつまようじが刺されているのも特徴です。好きなものを好きなだけ取って食べた後、お皿に残ったつまようじの数を数えてお会計します。
パエリア Paella
「パエリア」はフライパンの意味で、大きなフライパンで調理されることが特徴、サフラン入りのおいしいスープでお米を炊いたスペインを代表する米料理です。食べる直前に、全体にレモンを絞りかけます。
野菜や肉、魚介類が使われますが、地域によって組み合わせは異なり、魚介類が入らないものもあり、肉と魚が両方入るとPaella mixta(ミックスパエリア)と呼ばれます。
なお、日本に伝わっているパエリアは「洋風炊き込みごはん」の一種として、スープがお米にしっかり染み込んで炊けているものですが、これはバレンシア地方の作り方に近いです。バルセロナなどカタルーニャ地方のパエリアはスープが残っていて、リゾットに近い食感のものが本式とされています。
なお、材料のお米を、「フィデオ」という細いスパゲティのようなパスタに代えた「フィデウア Fideua」という料理もあり、こちらはカタルーニャ地方の郷土料理です。
サルスエラ Zarzuela
魚介類のシチュー、フランスの「ブイヤベース」に似た、魚や貝、イカやエビなどをトマトのスープで煮込んだものです。
「Zarzuela」とはスペインの民衆オペラのことで、オペラにたくさんの登場人物が出てくるのと同様に、たくさんの種類の魚介類を豪華に使うことからついた名前です。
スープには「ロメスコソース」と呼ばれる、ナッツとにんにく、トマト、パプリカなどをすりつぶした香ばしいソースも入るのが特徴です。
たくさんの材料を使うことからか、レストランではこの料理、2人前以上からのオーダーしか受けないところが多いです。
私がバルセロナのレストランで食べたものには、ムール貝、大きなエビ、サーモンなどと、衣つきのイカが入っていました。一度オーダーを断られてから「やっぱり作れる」と出てきたものであることからも、残り物を鍋に入れてサルスエラにしてしまうこともあるのかもしれません。そうだとしても、さまざまな種類の魚介類から出たおいしいダシがトマト味でさっぱりとまとまっていて、たいへんおいしい料理でした。
ブラバス Bravas
一口大に切ったじゃがいもを素揚げし、マヨネーズやトマトケチャップ、カイエンヌペッパーなどのスパイスなどをまぜた「ブラバソース」をかけたものです。シンプルなのですが、ブラバソースがなじみある味のせいか、一度食べるとハマります。
どこのバルにもほぼ必ずメニューにありますが、お店によって、じゃがいもの揚がり具合やブラバソースの味がかなり異なり、印象も異なる料理です。いろいろなお店で食べ比べてみるのもよいと思います。
セルべッサ(ビールのこと)にとてもよく合います。
ブニュエロスデバカラオ Buñuelos de bacalao
Núria i JC
「ブニュエロス」はドーナツのことです。
「バカラオ」はタラの身を塩漬けにして干したもので、スペインに古くから伝わる保存食であり、さまざな料理に使われる重要食材です。市場の魚屋さんの店頭には、必ず大きなバカラオが山積みにされています。1~2日水に浸けて塩抜きをしてから料理に使います。
茹でたじゃがいも潰したものとバカラオを混ぜて丸めて衣をつけ、油で揚げたコロッケのような料理が「ブニュエロスデバカラオ」で、バルのタパスの定番料理のひとつです。
「さつま揚げに似ている」と解説されていることもありますが、私がバルセロナのバルで食べたものはお餅のような食感でした。材料の分量の割合によって食感が異なる仕上がりになるようです。
テンプラデカラマール Tempura de Calamar
「Tempura」は日本の天ぷらと同じもの、「Calamar」はイカです。イカの胴の部分を輪切りにして水で溶いた小麦粉の衣をつけ、油で揚げたものです。レモンを絞って食べます。こちらもバルのタパスの定番料理で必ずメニューにあります。
この料理はいろいろな国に存在しますが、スペインのこの料理の衣は、日本の天ぷらとほぼ同じ食感でした。日本のものがスペインに伝わったのではなく、天ぷらはポルトガルから伝わった料理だと言われていますので、お隣りのスペインにも同じ料理があったということになるでしょう。
日本人にはなじみのある味と食感で、確実に安心して食べられる料理のひとつです。
パンコントマテ Pan con Tomate
Emi Yañez
「Pan con Tomate」は「トマトとパン」という意味です。スライスして軽くトーストしたパンに、生のトマトをたっぷりとこすりつけ、軽く塩を振りオリーブオイルをかけたものです。主にカタルーニャ地方で食されています。レストランで料理をオーダーすると一緒に出てくることも多いですし、単品でオーダーすることもできます。生のトマトがさっぱりとしていてたいへんおいしく、トマトの違う味わい方を知った気がしました。
スペインでよく食べられている細長いパンは、フランスのバゲットと形は似ていますが、食べてみると外側のカリッと感が全く異なるものです。パンコントマテやシンプルなサラミサンドイッチにしたものは、味のバランスも絶妙で、いくらでも食べられそうなおいしさです。
トルティーリャ・エスパニョーラ Tortilla Espanola
日本で「スペイン風オムレツ」として伝わっているもの、ほぼそのままです。
じゃがいもと玉ねぎがまず具の基本で、ツナやトマト、パプリカなどが加わることもあります。それらの具をとき卵と一緒に混ぜて、フライパンで丸く厚く焼き上げたものです。
小さくカットしたものをパンにのせて、ピンチョスの一つとして供されていることもあります。家庭でもよく作られています。
ハモンセラーノ Jamón Serrano
豚のもも肉を塩漬けにして熟成させた生ハムで、ごく薄くスライスしたものが提供されます。
スペインの生ハムの代表的なものには「ハモンセラーノ」と「ハモンイベリコ」があります。セラーノは白豚、イベリコはイベリコ豚という黒豚が使われています。熟成度によって独特のクセや匂いが強めのものもありますが、「ハモンラセーノ」との名前がついていたもののほうが、クセがなく比較的食べやすいです。
市場へ行くと、天井からたくさんの巨大なハムの塊が吊るされている肉屋さんがあります。店先でどれを買おうかと迷っていると、どんどん違う種類のハムをスライスして味見させてくれます。このとき食べた「イベリコ」がクセがありました。そのクセがおいしいのかもしれませんので、個人のお好み次第です。
チュロスとチョコラーデ Chocolate con churros
日本ではディズニーランドやUSJなど、テーマパークのスナックとしておなじみの「チュロス」。元はスペインやポルトガルなどで食べられている揚げドーナツの一種です。形は、スペインでは写真のようにしずく型になっているのが特徴です。
小麦粉とバターと水を沸騰させて練った生地と同じ生地を星口金で絞り出し、油で揚げてシナモンシュガーをまぶしてあります。星口金でつく筋は、膨らみやすい生地油の中で爆発するのを防ぐ大切な役割をしています。
「チョコラーデ」は、日本のココアとほぼ同じものです。カフェでチュロスを食べるとき、この2つはセットでオーダーするのがお約束です。揚げたてのチュロスは、サクッふわっとしていてそのまま食べてもおいしいのですが、スペインではチュロスをチョコラーデのカップに浸しながら食べるのが主流です。朝食として食べることも多いようです。
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