給料、英語力、ビザ、保険はどうなる?
海外就職体験談 ニュージーランド編
いつかは海外就職・転職をしたいと夢みているけど、実際現地でどんな生活ができるのか想像がつかない! 何から準備したらいいのか分からないという皆さんに向けた連載が「海外転職体験談」です。ヨーロッパ、アメリカ、アジアを中心に海外就職・転職を実現させた日本人のみなさんに、どうやって現地の仕事を探したか、転職前の準備金や仕事の内容、労働時間、ビザ、年金、保険まで海外転職にまつわるイロハについて伺っていきます。
お名前:Kirin.M
年齢: 30歳
性別: 女
居住国:ニュージーランド
語学力:現在は海外で生活し問題なく英語で仕事ができる。
(2年前のTOEICスコア270点、英検3級)
経歴:もともと海外旅行が好きでタイやバリ島などアジアを中心に8ヵ国ほど行ったことがあります。各国3泊程度の滞在だったので英語力は中学生以下のレベルでした。2015年にフィリピンに2ヵ月語学留学し、その後ワーキングホリデーVISAでニュージーランドへ行き、4ヵ月間、英語の学校に通った後、現地の介護福祉施設での就職が決まりました。(日本での介護士の経験は4年間あり。)去年、近所に住んでいた私のフィリピン人の旦那と出会い、1年の交際を経て結婚。
Q1.留学経験はありますか?
2015年にフィリピンのイロイロ市に2ヵ月間、英語の語学留学をしました。なぜフィリピンかというと、先生と生徒のマンツーマン授業があり、宿泊費込みでもすごく安いからです。(アメリカやカナダ留学の3分の1程度)
フィリピン英語は確かにアクセントは強いですが、日本人にとってすごく分かりやすく初心者の留学にはとてもお勧めです。先生方はアメリカなどで勉強されて来た方やネイティブスピーカーの先生もいる学校もあるので、HPを調べるといいでしょう。私はこの留学で英語力がグンっと伸びました!
実は生徒は日本人が多かったのですが、毎日学校内では英語を喋るというルールを徹底して守っていたので、インプットとアウトプットをバランスよく行えたのです。
Q2.転職前に準備した金額を教えてください。
200万円ほどです。ワーキングホリデーは働けるVISAですが、学校もあるしすぐに仕事が見つかる保証はないので、余裕をもって準備したつもりです。海外に到着してすぐはホームステイする方がほとんどだと思います。現地の一般家庭にお世話になり、食事付きで1~3ヵ月ほど共同生活をし、海外に慣れていくことと、語学力アップを目的とした制度です。ニュージーランドの場合1日2食、水道光熱費込みでだいたい週250ドルです。(日本円で2万円ほど。月々約8万円)
Q3.どのように仕事を探しましたか?
地道に履歴書を街中のレストランに配ったり、求人サイトから応募しました。ニュージーランドにて学生の時にやっていたアルバイトは日本食レストランのホールスタッフと、中国人経営のマッサージ店です。(マッサージの経験はありませんでしたが)これらは友人の紹介と、履歴書を配っていた時に得た仕事です。履歴書を送ってから1週間後くらいに返事がきました。
現在やっている介護士の仕事は現地の求人サイト見つけました。その後、そこで働いている日本人の知人に紹介してもらいました。
Q4.就職活動はどのような準備をしましたか?
日本での介護士の給与明細と介護福祉士の資格を翻訳したものを持って海外へ行きました。あらかじめ日本で翻訳業者に頼み、英文の書類を用意しました。
あとは履歴書。日本の物のように証明写真は必要なく、自分で作成したものを学校の先生に添削してもらいました。
あとはYouTubeを見て英語での面接の練習。あらかじめ面接で聞かれやすい質問をネットで調べ、答えられるように内容をだいたい覚えました。
実際に準備した物はほとんどありません。海外での就職で大切なものは経験の次に、情報収集、そして度胸と勇気だと思います!面接でTOEICのスコアなども聞かれることはありませんでした。
Q5.仕事の内容を教えてください
病院が併設されている老人福祉施設にて、介護士として働いています。
入浴介助(毎朝のシャワー)、食事介助、排せつ介助など、施設で暮らしているお年寄りの生活をサポートする仕事です。レクリエーションで、楽器を演奏したり皆んなでお菓子を作ったりもします。
基本的に英語でのコミュニケーションとなるので日々、英語力を鍛えられます。
Q6.仕事では外国語を使いますか?
基本は英語を使って仕事をしています。入居者はほとんどネイティヴの方ですが職員は多国籍なので、他の国の言葉も教えてもらったりと異文化交流も楽しめます。(ニュージーランド人、アメリカ人、イギリス人、フィリピン人、インド人、トルコ人、アフリカ人ロシア人など)日本人の職員も数名いるので、日本語を使う機会もあります。
また職員内での連絡ノートや日報、書類などももちろん、英語なので読解力や
書く能力、聞く能力も平行して伸びていきます。今だに読めない文書や分からない単語、理解出来ないことも少々ありますが、自分で調べるか他の職員に確認するなどし、問題なく仕事が出来ます。
Q7.給与および税金はいくらくらいですか?
ニュージーランドの最低賃金は15.75ドルから(日本円で、約1,270円)で、
数年に少しずつ上がっています。
介護福祉士の仕事は2017年7月から昇給があり、最低賃金が19ドルからとなりました。(日本円で約1,500円)
税金は給料によって10%~30%ほどひかれ、私は月に手取りで約2,200ドル(約17万5千円)ほど貰っています。(2週間ごとに給与は支払われる)
日本でいう正社員とアルバイトのような区別はく、全員が同じように給料から計算された税金がひかれます。年度末の3月には確定申告のようなものがあり、年収によって払い過ぎた税金が戻って来ます。 また、奨学金で学校に通った人は、自動的にその返済分も給料から支払われることになりす。
Q8.労働時間はどのくらいですか?
契約にもよりますが、フルタイム契約の場合、週に32時間以上と決まっています。私はだいたい35〜40時間/週 働いており、週休2日で1日4〜11時間の勤務です。他にカジュアル契約というものがあり、労働時間が30時間以内~と雇用者が時間を決められます。はじめワーキングホリデービザの時はこの契約でしたが、ワークビザ切り替えの条件としてフルタイム契約とあったため変更となりました。
Q9.休暇はどのくらいとれますか?
有給、年休、病気の時の有給、慶次法事の休みがあります。
有給は働く年数によって増えていき、たまればいくらでも使えます。1〜2ヶ月間の休暇を取る人は多く、中には8ヶ月間の人もいました。だいたいの人は、休暇中には自分たちの国へ一時帰国されています。
Q10.ビザはどうされていますか?
就職した会社からサポートしてもらったワークビザです。
1年間有効のビザなので(人によって2年間の場合もある)毎度、更新する形のなります。私は今年、永住権を申請するので、ゲットすればビザを更新する必要はなくなります。その後日本に帰ったとしても永遠に永住権を保持しておくことが可能なのは大きなメリットです。他の国の場合、5年間の間に2年以上住み続ければ永住権は失効となってしまうなど掟があります。
ニュージーランドの永住権はその点、1度取ってしまえば好きな時に帰って来れるので、日本で暮らして老後はニュージーランドで。というスタイルも出来るのです。その後市民権を取ればオーストラリアにも住むことが可能です。(その場合日本での二重国籍は認められていないため、法律上日本人ではなくなってしまいます
Q11.退職したらどうなりますか
その人の持っているVISAによりますが、その退職した会社からサポートして出たワークビザの場合、期限が切れたらその国から出なくてはなりません。その前に新しくVISAを更新しなくてはニュージーランドには滞在できません。
サポートしてくれる会社かパートナーを見つけるか(Work Visa)
Visitor Visa(90日間滞在可能。仕事は不可)で滞在を延長することが可能です。もしくはSutudent Visaという選択肢もあります。
(国の認めた学校一定期間以上通う場合降りるビザ。)
※パートナーからサポートされたVisaの場合、パートナーはニュージーランド永住権保持者でないと働くことはできません。(2017年7月から)
また、約半年以上同棲していたという証拠と共同の銀行口座などが必要です。
Q12.海外就職のメリットとデメリットを教えてください
メリット・個人を尊重され、のびのびと仕事することができます。仕事は定時で終わるのが当たり前。長期の有給休暇も比較的簡単に取れます。(もちろん会社にもよりますが)※1~2ヵ月間の有給をとっている人をよく見かけます。8ヵ月とった人もいました。
デメリット・日本のような住宅手当や厚生健康保険は会社から出ません。ボーナスもありません。Visaの問題で解雇されてしまうこともあるため、安定した職を手に入れるのには努力が必要でしょう。
Q13.日本の労働環境との違いを教えてください
海外の会社は全体的に日本の会社よりも厳しくはないです。大らかで自由な雰囲気はのびのびと仕事が出来ていいのですが、無断欠勤するなど自己中心的な職員がたまにいます。それに対しても会社は服装や遅刻、欠席に関しても寛大だと思います。
日本の会社では何よりも組織の意向が重要視されます。海外の企業では、組織の考えよりも個人の意志やスキルアップを重視するというところが多いです。。能力があれば、やりたい仕事は希望でやらせてもらえたり、やりたくない仕事はやらなくて済むことが多いようです。
日本の企業では集団意識、組織感を大事にしており、飲み会や社員旅行などがあり、それはプライベートと仕事のつながりを強くする目的があります。
一方海外の企業では、職場とプライベートをハッキリとわけるという考えが多いそうです。仕事の付き合いとプライベートの付き合いは、全く別であるということ。私の職場では仲良くなった職場の人同士遊びに行ったりお茶をしたりしますが、会社が計画しての食事会などは年に1回くらいです。
「個人主義」を大事にする北米文化と、「団体主義」を重視する日本文化の違いから生まれるものかも知れません。
Q14.職場で日本人であるメリットはありますか?
日本人はやはり真面目で仕事をしっかりとする傾向にあり、人から信頼を得やすいです。遅刻や欠席は他の国の人と比べて少ないです。(人にもよりますが)
あとは、沢山の人に日本の文化を伝えられることです。世界的なも日本のマンガや食べ物、電化製品や車などはとても人気で有名です。お寿司屋さんや日本食レストランはあちこちにあります。自分で寿司を巻いたりたこ焼きを作って職場に持って行ったり折り紙を教えてたりしています。
Q15.年金や医療保険について教えてください。
年金は、65歳までの10年間ニュージーランドに住み続ければ65歳から貰えます。(永住権保持者のみ)
医療保険は個人的に保険会社に申し込み、加入します。沢山種類があり料金も様々なので自分に合ったものをしっかりと選ばないと高額な医療費を請求されまう場合もあります。ニュージーランドの医療費は安くありませ
ん。ニュージーランドの永住権保持者は国立の病院の医療費が無料となります。
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