「あなたの幸福度は何%ですか」
世界幸福度調査~スワジランド人編~
南アフリカにほとんど囲まれている国、スワジランド。大きさは四国より少し小さい程度で、人口も135万人ととても小さな国です。南アフリカから車で行けたり、通貨がそのまま使えたり、南アフリカの地方というイメージ。筆者も南アフリカに行ったので行ってみようかなくらいの関心度でした。訪問前に調べてみると、この国はとにかく国王様が強烈でした。国王の権力が国を支配しており、贅沢な散財が国家費用を圧迫しているほどです。国民を思い統治するというイメージの王政ではなさそうですね。筆者は時期が違い見ていませんが、『リードダンス』という国家的なイベントがあり、それがかなりのインパクト。未婚の女性たちが伝統衣装を身にまとい、国王や首脳陣を前にダンスを踊り、国王が花嫁になる女性を指名するそうです。HIVが蔓延しており、感染者が世界一。人口に対しての殺人率も非常に高い……と、前情報からすると、どんだけ怖いすさんだ国なんだ? あまり発展していない、古代の暮らしをしているのかも……と怖気づいてしまいました。しかし、実際訪問してみるとスーパーもショッピングモールもあり人々はとても親切です。イギリスの保護領だったこともあり、英語も通じます。他の治安の悪いといわれている国より殺気立った雰囲気はないですし、田舎のほうは道路やインフラ設備が整っていないものの、さほど不便も感じませんでした。リードダンスの文化も男尊女卑などショックな部分はありますが、そこで性教育やHIV予防の講演もされているという話もあるので、文化が違えばなにが正しい事かも違うものなのだな、と思いました。人々が何に幸福を感じるかはそれぞれですが、ことHIVに関しては命に係わる事なので感染しないに越したことはありません。さて、この国では滞在先のスタッフのドラミニに話を聞きました。筆者がアフリカ人の好きな所は楽観的で非常に明るい所。ドラミニもご多分に漏れず陽気で、とても親切な男性です。非常に言いにくい話も、掘り下げてインタビューに答えてくれました。
ドラミニ/男性/28歳/スワジランド人
ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください)
おおかた幸せだよ。仕事もあるし、なんとか平和に暮らしているよ。
ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか?
難しいな。おいしいものをたべたり、友達と遊んでいるときかな。あと給料がはいると嬉しいね。欲しかったものが買えたりするから。女の子も好きだよ、きれいな子とうまく仲良くなれたときは心の中で踊っているよ。
ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか?
考えたことがない。物は壊れるしなぁ。人生っていうと長すぎるよ。その時々で大切なものは変わるよね。小さな頃はボールだったり、自転車だったり。大切なものかわからないけど、父親は僕の中でとても偉大で、尊敬していたよ。もう会えないけど、彼の存在は僕の中でとても大切だよ。あんな風な強い男になりたい。
ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか?
高くはないだろう。なんせ病気が多いし、貧しいからね。幼いころは気づかなかったんだけど、ボランティアで海外から来ている人の授業を受けたことがあってね。それでこの国は寿命が短いし、ほかの国では助かっている人がいる病気でも死んでいる人が多いって知ったよ。そう思ったら、悲しくなった。インターネットでも他の国の事知る機会もあるから、やっぱりスワジランドは満ち足りている国ではない。
ただし、この国の人たちが不幸だっていうのはちょっと違って、みんな毎日の暮らしは楽しんでるよ。不幸というよりは、幸せになるための物資や知識がちょっと足りない。HIVが多いのは、性知識が足りなくて避妊をちゃんとしないで性感染したり望まない母子感染が増えているからだって学んだんだ。でも、この国の女性はお金持ちと結婚して、たくさんの子供を産む事が幸せなんだ。男は女性をそういう生き物だと見ているし彼女らもそういった価値観で生きているから、乱れた性交渉だっておきるよ。お互いに、いい相手を探し、手に入れる手段なんだ。HIVがとてもよくなくて、防げるものという知識がほんの少しづつ広まっているから、これからの時代変わっていくかもしれない。文化も少しづつ進化していかなくては生き残れないね。
ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか?
幸福度を上げているのは昔からの文化。それは大切にしていかなくてはならない。でもこれから幸せにしてくれるだろう、というのは知識かな。外国から、医療や、設備や、技術が入ってくると目まぐるしく変わるよ。僕たちの国は、学ぶものがまだまだ多いよ。僕だってたまたま外国人たちと触れ合う機会があるから、新しい文化や物に触れる事ができるけど、それは少しの時間話してわかる程度の事しかないし、彼らが受けてきた教育や文明は知らないからね。いつか、この国も追いついたらいいなと思うんだけど。女性たちがリードダンスをする事について、いろいろ外国人に聞かれたことがあるけど、彼女たちは嫌々やっているわけではない。そういう風習で、そこで見初められる事が幸せに繋がると思っているからやっているんだ。それって、別に不幸じゃないよね? 幸福度を下げているのは、大きい声では言えないけど、この国は指導者に恵まれていない。まぁ僕らにはどうしようもないよ。
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