「あなたの幸福度は何%ですか」
世界幸福度調査~インドネシア人編~
夏が終わり、肌寒くちょっぴり寂しい季節がやってまいりました。食欲の秋! ロマンチックな冬が好き! という方も多いと思いますが、筆者はやっぱり夏が好き。うだるような暑さの中、汗だくになって走り回るのが好きなのです。今回の幸福度調査は赤道直下のインドネシア。1万以上の島を持ち、国土はかなり広いのですがご存知の通り、年間を通して暑さの厳しい気候を持つ国です。筆者はガムラン音楽や、ケチャという舞踊が見てみたくて、インドネシアを訪れました。インドネシアと言われてもピンとこないですが、『バリ島』は観光地として人気ですし、先述した『ケチャ』は日本のテレビでも紹介されることがあるので、ご存知の方も多いと思います。とはいえ1万以上の島からなるインドネシアですから、一言でくくるには難しく、発展している都会もあれば、電気が通っていない田舎もあったり、文化や文明にかなりの幅があります。筆者はザ・観光地! というようなビーチリゾートから素朴な雰囲気が漂う田舎の地域まで、時間をかけて旅をしました。個人的には、リゾート地よりも、のんびりした雰囲気の場所の方が現地の方々の暮らしぶりを見ることができたので楽しめました。リゾート地でももちろんひとりで……カップルまみれの中だったのでそういう印象が残ったという事は否めませんが。この度インタビューに答えてくれたハリさんは、漁師を主な職業とする海の男です。日焼けした肌、たくましく野性味あふれる体で大家族を支えています。潮焼けした笑顔の中にはどんな思いが隠されているのでしょうか?
ハリ/男性/39歳/インドネシア人
ーあなたはどのくらい幸せですか(100%のうち何%幸せか教えてください)
とっても幸せだよ。
ーあなたを自分が幸せと思わせるものは何ですか?
いつもどんな時も、幸せを感じている。大漁だった時、子供が生まれたとき、家族で笑っているとき……いつもだよ。悲しいこともある。人が死んだり、仕事で失敗したり。でも何があったって、起こるべくして起きているんだ。それを受け入れていくしかないんだ。すべては大きな自然の流れの中で起きている。僕らはその流れの一部でしかなくて、逆らうことはできない。ちっぽけな僕ら人間の、日々のちっぽけな出来事だよ。
ーあなたの人生でいちばん大切なものは何ですか?
信仰。僕らの日々の生活や、人生においてもすべての根底には信仰がある。現実的に言ってしまうと、宗教的な意味合いで結婚や例えば物の物価や経済だって動くからね。でも、そういった物理的なことだけではなくて、僕は生まれたときからイスラム教で、イスラム教になろうと決心したわけでもないし、それは自然なことだった。だから、これをしなければならないとか自分に言い聞かせることもなく、生活の一部であり、僕という人間に染みついている。ものの考え方とか、すべてに影響しているから。過激派みたいな大げさにとらえてほしくないんだけれど、これは文化なんだ。
ーあなたの国の人々は幸福度が高いと思いますか?
なんでそんなこと聞くんだ? みんな、幸せだよ。そりゃあ、貧困な暮らしをしている人たちもいるけど、それでも彼らは幸せだというと思うよ。
ーあなたの国の幸福度を上げているもの、下げているものは何ですか?
難しいことを聞くなぁ。幸福度を上げているものは、自然が豊かだという事。文明が遅れているところでも、海があり、森があるところが多いから食うには困らない。家族がその日に食べるものが手に入ればいいんだ。商売になる農業や漁業じゃなくたっていい。近所みんなが仲がよくて、助け合って暮らしている。それが幸せだよ。
幸福度を下げているのは、うーん、地震が多い事かな。日本も地震が多いんだよね? 日本ってなんで地震があんなに多くても被害が少ないんだ? やっぱり日本製の建物は崩れないのか? 僕らの国は、地震が起きると津波も含めて、被害が大きすぎるよ。地震があって建物の損壊なんかの被害もすごいけど、その次にあるのが食糧難、衛生上の問題。パニックがおきて、疫病が広がる危険性がある。それからその次に、治安も悪くなる。日本は地震が起きてもそんな風にはならないんだろう? まぁ、地震をなくすことはできないから仕方がない問題なんだろう。あとは、漁師として国際的な海域問題や環境汚染問題も気になるけどね。国として幸福度を下げているというには大げさだけど、見過ごせない事はおきているね。
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