E質問箱【21】haveは進行形になる?
ならない? I'm lovin' it! もこれで解明
ケンブリッジ大学認定英語教師
ケネス宮本が英語の疑問にお答え
外国人との会話中に、会社での商談の時に、ささいな英語の疑問がわくことってありますよね? そんなあなたの疑問に、ケンブリッジ大学認定英語教師のケネス宮本がお答えします。日頃ふと浮かんだ疑問、ぜひ気軽にメールで質問をお送り下さい。
Helloooooooooooooooooooooooooooo!!
Are you having a good day?
I hope you are.
よい1日をお過ごしでしょうか?
そうであることを願ってますー。^^
…とこんなご挨拶になったのは、こんなご質問をいただいたからでーす。
★質問はこちら!^^
haveは状態動詞だから進行形にならないと教わりましたが、I am having~をよく聞きます。
スラング的な表現とも思えないのですが…。
お時間がおありの時にでも教えて頂けたら幸いです。m(_ _)m
そもそも状態動詞ってナニ?
はい、ありますよねー! 上での僕の挨拶もそうなっていました。
仰るとおり、haveの進行形be havingはスラング表現じゃありません。
「状態動詞」って用語をご存知なことから、文法をしっかり勉強されてる方だとお見受けします。
まずは、その状態動詞について見ていきましょう!^^
動詞には、「一般動詞」と「助動詞」があります。(ケネっち理論ではbe動詞は助動詞に属します)
そして一般動詞には、「動作動詞」と「状態動詞」があります。
動作動詞
「動作・行動・活動」を表す動詞。
do、make、study、run、cook、eat、swim、prepare、look、listen…。
動詞の大多数がコレですね。
心身の意識的・能動的な働きに関するもの、始めたり止めたりができるものが多いです。
状態動詞
行動・活動でなく「状態」を表す動詞。
like、love、dislike、hate、think、believe、want、know、live、see、hear…。
例えば、日本語では「好きだ」は形容動詞と呼ばれて、即ち形容詞だと思ってよいもの。
でも英語のlikeは一般動詞で、それでいて動作・行動・活動じゃありません。
日本語の「欲しい」は形容詞ですけれど、英語のwantは一般動詞ですね。
あと、五感・感覚にうったえる動詞なんかも状態動詞です。
look、sound、taste、smell、feel、seem…。
自然とわく感情・感覚・思い、また感覚器官での受容に関するもの、意識的にパッと始めたり止めることができないものが多いです。
「進行形(be doing)になれない」とされてる理由のひとつはソレ。
なんにしても、難しく考える必要はありませんよー。
例えば、「クルマが欲しい」「クルマが欲しいかい?」って言う時。
皆さんは、I am wanting a car.とか、Are you wanting a car?なんて聞いたことも言ったこともないでしょう?
きっと何も考えずに、I want a car.とか、Do you want a car?と正しく言ってるはず。
それに「慣れてる」、「そうしか聞いたことがない」からですし、それでイイんです。
その調子で慣れていってくださいねー。^^
haveは取って代わる動詞の性質を帯びる
さてさて、ご質問にあるhaveも、「…を持っている状態」を表す状態動詞です。
例えば、「クルマを持ってるよ」「クルマを持ってるかい?」と言う時は、進行形になりませんよね?
I have a car.って言うし、Do you have a car?って言います。
でも、I am having dinner.「夕食を摂ってるところだよ」だったら、聞いたことや言ったことがある方も多いでしょう。
これは、haveが持っている超柔軟な「多義性」によるもの。
「…を持っている」から転じて、他の色んな動詞の「置換え」として使われてるんです。
その際haveは、意味とともに文法的な性質でも、その動詞に変わるんですよー。
いくつか例を見ていきましょう。
Chris is having lunch now.
クリスは今、昼食を摂ってます
➡have=eat
Sarah is having tea.
サラはお茶を飲んでます
➡have=drink
Danny is having a nap.
ダニーはお昼寝してます
➡have=take
They are having a good time.
みんな良いひと時を過ごしてます
➡have=spend / experience
Nobody is having a shower.
誰もシャワーを浴びてません
➡have=take / use
なんて感じ。^^
このhaveの使い方は、特にイギリス英語でよく聞かれます。
マックのI'm lovin' it! もそれで解釈!
ついでに触れときましょう。
マクドナルドのキャッチコピーでI’m lovin’ it!って皆さん聞くでしょう?
これこそスラング表現で、本来なら状態動詞loveがこう使われることはありません。
ですが、ここまでhaveを見てきたのと同じ要領で、ここのloveは他の何かしらな動作動詞を置換えてるものと考えられますね。
I’m lovin’ it!= I'm enjoying it (so much)!
すごく楽しんでる! 満悦してる!
実はこれ、もしかしたら「僕の友達が始めたスラング?」とも思えるんです。
僕は1990年代にアメリカに住んでましたが、I’m lovin’ it!は友達マットの口癖でした。
How are you?「調子どう?」って聞くと、体を元気に躍らせてI’m great! I’m lovin’ iiiiit!「絶好調だよ!(全てが)最高さ~!」なんて答えるヤツでした。
他のダ~レも言わない表現でしたけれど、数年後にはマクドナルドのキャッチコピーになってました。笑
進行形にもなれるその他の状態動詞
状態動詞に含まれていながら、進行形にもなる場合がある動詞は他にもあります。
それらをいくつか見ていきましょう。
think
意味によって状態動詞にも動作動詞にもなります。
自然と心に抱く「思う」なら状態動詞。進行形にはなりません。
例:I think (that) Danny is a nice guy.「ダニーはいいヤツだと思う」
意識的に「考える」なら動作動詞。進行形にもなります。
例:I am thinking about tomorrow.「明日のことを考えてるんだよ」
look
五感に訴える動詞としては状態動詞ですが、現代英語では進行形も市民権を得てます。
例:You are looking good today!「今日は見た目がいい感じだね!」
➡本来はYou look good today!
feel
感覚の動詞、五感に訴える動詞として状態動詞ですが、こちらも市民権を得てます。
例:I’m not feeling well.「気分がすぐれないんだよ」
➡本来はI don’t feel well.
live
「住んでいる」という状態動詞。現代英語では進行形で「一時的に」が示唆できます。
例:I’m living with my parents now.「今(だけ)実家に住んでるんだ」
➡「そのうちまた引っ越す(つもりな)のかな?」と思われる
see
「友達以上・恋人未満」「恋愛してるけど交際に至ってない」を表すスラングとして。
例:I’m seeing Sandra.「サンドラとイイ仲なんだよ」
いかがでしょうかー?
無理に憶えようとしないで、ふと思ったら読み返したり、ご自分でも使い分けて慣れていってくださいねー。^^
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ライタープロフィール●ケネス宮本
アメリカ、イギリスなどで計7年の海外生活経験をもつ生粋の日本人。英語教師、翻訳・通訳、コラムニスト。雑学(科学全般・歴史・芸術など)が大好き。色んな言語をカタコトで話すのも大好き。取得資格:ケンブリッジ英語教師資格(CELTA)ほか語学系。
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