外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【18】
受験勉強を最大限活用しよう
受験というと、落とすためのテストだとか、実際には何の役にも立たないことを問われるといって批判されることが多いようです。確かにそのような側面もありますし、改良の余地はたっぷりあるでしょう。しかし、まったくの無駄だともいえません。必死で勉強すれば、後で役立つことが多いものです。
受験のためだということを忘れるほど夢中になれ
受験にもいろいろありますが、高校・大学受験の英語ともなれば、英語圏の大人が普通に読んでいる文章を読まされることもあります。最初はまさに「読まされる」という感覚で仕方なく読んでいたのに、内容がおもしろくて途中からつい夢中になってしまった、こんな経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
元の文章は受験用に書かれたものではなく、筆者が何かを言いたくて書いたものです。中身によっては興味深いのも当然でしょう。
減点されたくないから正確になる
塾や予備校、添削などで受験勉強をしていると、ミスには容赦なく赤が入り、減点の対象となります。
「だいたい合ってるからいいじゃないか。」
なんていうのは通用しません。
英語なら、前置詞や助動詞の読み間違えで意味を取りそこなうことがあると学ぶでしょう。
また、全体の文脈を追わなければ、個々の単語の意味を知っていても役に立たないと気づくでしょう。
だいたいではなく正確に、入念に行うこと。
話の流れを掴むこと。
実社会で仕事をする前に、身に着けておきたい姿勢ですね。
受験勉強で得た知識が思わぬ時に役立つことも
自分が将来やりたい勉強と受験で要求される科目とが合わない場合もあります。なんでこんなことやらなきゃいけないんだ?とうんざりしてしまうかもしれません。でも、やってみれば案外おもしろい場合もあります。また、いつか役に立たないとも限りません。
仕事の関係で、50歳を過ぎてからIT関連の資格試験を受けなければならなくなった知人が一言。
「文系だから数学なんていらないと思ってたけど、あの時数学捨ててたら、今大変だっただろうな。」
理系の人にも英語が役立つことは、以前のコラムでも書きました。世界の共通語としての英語は、どんな分野の人も知っておいて損はしません。
もちろん、理科も社会も、今の世界を理解するのに不可欠ですね。
明確な目標に向かってがんばる力が身に付く
別に受験で人生が決まるわけではありません。特に、昔と違って今は未来を明確に描くことが難しくなっています。おそらく、本当は前からそうだったのでしょう。未来は誰にもわからないはずです。「良い」大学を出て「良い」会社に就職すれば一生安泰だと言われ、その通りに人生を歩んでも、思いがけない出来事にぶち当たった人は多かったことでしょう。
では、受験勉強が無駄かと言えば、そんなことはないと思います。本人が自覚して挑戦しているかぎり、そこでさまざまなことを学べるはずです。目標を設定すること、どうすれば目標を達成できるか考えること、計画を立てること、プレッシャーの中で締め切りに間に合わせること、敗因を分析すること、失敗を次に生かすこと、集中力を高める自分なりのやり方を見つけること、そして、がんばること。達成感。反省。
もちろん、受験をしないという選択もあります。
受験すると決めた人は、しなければならないから仕方なくやるというだけではなく、合格不合格というすぐわかる結果以上のものをGETできるよう、意識的に努力するのが得策でしょう。
ライタープロフィール●外国語人 | |
外国語としての英語、フランス語、日本語を学生や社会人に教えつつ、通訳・翻訳の経験を積む。新TOEICのスコアは985点。この世界の様々な地域で日常の中に潜む大小の文化の違いが面白くて仕方がない。子育て中。 |
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