外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【44】

学校の英語今昔 
少人数クラスとカリスマ講師、そして宿題の時間

少人数クラス、4技能、オールイングリッシュなど、学校の英語も変わり続けています。筆者自身が中高生だったときの授業と、現役高校生のわが子が受ける授業にも違いがあります。どんな点が変わったのか、また変わらないのか各学校や地域による違いもあると思いますが、経験からわかる範囲で書いてみます。

少人数クラスの良さ

語学学習は少人数なら少人数ほどいいということは、昔から言われています。それは、特に生徒による発話と教師によるフィードバックを念頭に置いた主張でしょう。人数が少なければ少ないほど、ひとりの生徒が発話できる量は多くなります。

スピーキング指導で求められるのは、生徒を発話したい気にさせることができるかどうか、適切なフィードバックができるかどうかということでしょう。

 

「神授業」の人気は何を意味するか

一方で、文法の説明や練習などは、必ずしも少人数である必要はありません。「カリスマ講師」によるネットの「神授業」に人気が集まるのもその表れだと言えます。

少人数であることより、説明がわかりやすいか、例文や練習問題が適切かといったことが問われます。

 

能力別クラスでも教材は同じ!?

今の中学英語では能力別の少人数クラスが編成されています。が、教材もレベルによって違うのかというとそうではなく、教科書もワークブックも全員同じものを使っているようです。

子どもが通っていた中学校では、一番易しいレベルの生徒も一番難しいレベルの生徒も、同じ単語の書き写しを同じ回数しなければなりませんでした。 

しかし、適切な難易度の宿題でなければ宿題としての意味がありません。その時間に他のこと(他の教科の勉強を含めて)をしていた方が本人たちのためではないでしょうか。部活、受験と忙しい中学生にとってはもったいない話です。

今はテストの点数だけで成績は決まらず、提出物も重要な要素となるのでなおさらです。宿題が自分のレベルに合わないからやらなかったというだけで、成績が一段階下がる可能性もあります。すると、それが高校受験にまで影響してしまいます。

たとえ同じワークブックを配ったとしても、どの子もすべてのページを埋めなければならないという理屈はないでしょう。中には宿題を斟酌してくれる学校もあるかもしれません。しかし、なぜか宿題は「平等」だという学校も多いようです。

能力別の少人数クラスによってきめ細かい指導をするという発想自体は良いものだと思いますが、その目的がどのくらい達成されているかについては疑問が残ります。

 

ライタープロフィール●外国語人

英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点
https://www.znd-language.com

 

 

外国語人の英語学習コラム一覧はこちら≫

 

 


「外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの」連載記事一覧

続きを見る >>

おすすめ記事