外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【27】

TOEIC®は実際に役に立つのか?

TOEIC®の正式名称はTest of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)です。日常生活や仕事でコミュニケーションのために使う英語ということですから、実際に役に立たなければ困りますね。しかし、TOEIC®高得点でも映画は聞けないとか、スコア900点以上でも喋れないというウワサも飛び交っています。火のない所に煙は立たぬと言いますが、さて、真実はいかに?

かつてTOEIC®はListening & Readingだけだった

TOEIC®が最初に実施されたのは1979年。当時はリスニングとリーディングだけでした。今でも、よく履歴書に書いたりするTOEICスコアといえば、990点を満点とするListening & Readingのスコアです。問題は記述式ではなく選択式なので、聞いて読んで理解できれば正解が選べます。つまり、インプットの能力は計れるが、アウトプットの能力は計れないということになります。

TOEIC®高得点でもしゃべれない人ができてしまう危険性はそこにあります。

 

今TOEIC®にはSpeaking & Writingがある

アウトプットの不足を補うため、2007年からTOEIC®にスピーキングとライティングのテストが導入されました。まだまだ知名度は低いですが、Listening & ReadingSpeaking & Writingの両方を受験すれば、高得点でも喋れない、書けないという人はいないことになります。

Listening & ReadingとSpeaking & Writingは別日程なので、別々に申し込んで受験する必要があります。

 

学習の目標をどこに設定するか

TOEIC®が役に立つか否かは、目標をどこに設定するかによっても変わってきます。ここで私が言う「目標」は、スコアのことではありません。

目標スコアは人それぞれでしょう。職場や学校で要求される人もいれば、自分で○○点取る!とゴールを設定する人もいます。

公式問題集を初めとして、TOEIC®対策の本やアプリも多数出回っています。皆さんはそれをどんな風に使っていますか?問題を解いてみて、正解ならそれでOKでしょうか?もったいないと思いませんか?TOEIC®対策の問題集に載っているのは、実際に使える会話、実際に書けるメール文や手紙文です。

 

インプットからアウトプットへ

TOEIC® Listeningに出てくる会話やプレゼンテーション。聞き取れるだけでも役に立ちますが、一歩進んで、自分でも言えるようにしてみませんか?シャドーイングを繰り返したり、録音音声と一緒にロールプレイングしたりすることで、会話の中でサッと出てくるようになります。

TOEIC® Readingにしても、使えそうな表現は写しておいて、そのまま覚えてしまいましょう。

気を付けなければいけないのは、あいさつなどは相手との関係や場面、国などによってかなり変わってくるということ。でもそれは、TOEIC®に限らずどの教材でも同じですね。

 

ライタープロフィール●外国語人
外国語としての英語、フランス語、日本語を学生や社会人に教えつつ、通訳・翻訳の経験を積む。新TOEICのスコアは985点。この世界の様々な地域で日常の中に潜む大小の文化の違いが面白くて仕方がない。子育て中。

 

 

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