外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの【46】

 

学校の英語今昔
少人数クラスと先生の質

学校の英語教育の変わった点、変わらない点について、現役高校生の親の視点から書いています。学校や地域による差もありますので個人の経験ではありますが、実際に見聞きしたことを元に考えています。

少人数クラスを作るには先生がたくさん必要

少人数クラスを作るということはクラスが増えるということで、クラスが増えるということは、必要な先生の人数が増えるということです。良い先生を育て、確保するのが前から難しかったとすれば、より多くの先生が必要となった今、良い先生の養成と確保に今まで以上の努力や工夫、投資が必要だということは明らかでしょう。

 

良い先生とはどんな先生でしょう

私の子どもが通っていた中学校の英語の授業では、一番進度が遅いクラスに一番経験豊富な日本人の先生と外国人のアシスタントティーチャーがついていたようです。

一番進んでいるクラスを担当していたのは外国人の先生で、英語はネイティブかそれに近いレベルだったのでしょう。しかし、中学生の子どもたちを前にどんな話題を選ぶかということに関しては配慮が欠けていたとみえます。自国で見た闘犬の様子をおもしろそうに話す先生に子どもたちは引いてしまい、やる気を失った生徒もいたようでした。しかも学校がある自治体では闘犬は禁止されています…やはり英語が話せるというだけで良い先生になれるとは限らないのだと痛感しました。

思春期の子どもたちといえば、どこの国でも感じやすく正義感が強い傾向があります。大人にとって良い先生が子どもたちにとっても良い先生とは限りません。幼い子どもたちにとって良い先生が、中高生にとって良い先生だとも限りません。

これまでの日本の英語教育では英語が使えるようにならないから変えなければ、という意図は良いと思います。ただ、それではそうすればいいのかということはもっとよく練り直す必要があるのではないでしょうか。

 

少人数クラスを作ればいいというものではない

語学学校ではない中学や高校ならではの課題が、少人数クラスには山積しているように見えます。

クラス分けに際して、英語の習得とは別の教育的配慮が働くこともあります。例えば、会話の練習でトラブルを起こしやすい子を、英語のレベルと関係なく一番進んだクラスに押し込んでしまうこともあったとか。できる子たちの勉強はちょっとぐらい邪魔しても大丈夫だから…あの子たちなら我慢してくれるから…

だとしたら、子どもたちがその授業を通して学ぶのは英語ではなく忍耐力だということでしょう。

かくして、苦手科目も得意科目も、勉強自体は学校の外でしなければならないという状況が、昔と変わらず続くことになります。

 

ライタープロフィール●外国語人

英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点
https://www.znd-language.com

 

 

外国語人の英語学習コラム一覧はこちら≫

 

 


「外国語学習と外国暮らしが教えてくれるもの」連載記事一覧

続きを見る >>

おすすめ記事