TOEIC®学習法の勘違い
『大人の英単語学習法その1』

TOEIC®のスコアアップを目指すなら
英語力を上げる、これ当たり前

英語は単語だけ覚えれば何とかなるというものではありません。とはいえ、TOEICなどの試験にしても、会話にしても、語彙が少ないとなかなかうまくいきませんね。一般に記憶力は歳とともに衰えるということですから、大人が英単語を学習するにはそれなりの工夫が必要でしょう。英語コーチとして多くの学習者をサポートしてきた筆者が、大人のための効率的な英単語学習法を2回にわたってご紹介します。

大人が効率的に英単語を覚えるには

大人が英語の語彙を増やすには、次のふたつが鍵となります。

1. 記憶力以外の能力を動員すること
2. どうしても暗記しなければならない時には工夫をすること

今回は「1. 記憶力以外の能力を動員すること」について書きたいと思います。

記憶力以外の能力を動員して英単語を覚えるために

多義語にもひとつのコアとなる意味がある

ひとつの単語を辞書で引いて意味が10個くらいあると「うわー、これ全部覚えるのか!」とうんざりしてしまいますよね。
でも、大抵の場合、元となる意味はひとつです。

分かりやすい例はsquare
元となる意味は正方形、四角。
そこから派生して、四角いものを表す言葉にもなります。
「チェスの目」「広場」「(日本で言う小さな)公園」
また、四角という形はきちんとした感じだから、「公明正大な」「きちんとした」という形容詞や「まともに」という副詞にもなります。
さらに、きちんとするということから「清算する」という動詞までできました。

これをひとつひとつ別のものとして覚えたら、命が足りませんよね?

 

接尾辞、接頭辞に注目

接尾辞や接頭辞を覚えて語彙を効率的に増やそう、ということはよく言われていますね。
語尾語、語頭語ということもあります。

例えば、お馴染みのreactionという単語では、頭のreが接頭語、語末のionが接尾語、actが語幹です。
re-は再び、actは行動する、ionは名詞を作る接尾辞。
「ある行動に対して別の行動が起こること」という意味で、「反応」となります。

知らない単語に出会った時、接頭語がこうだから、接尾語がこれだから、と理屈付けると覚えやすくなりますね。

 

語源を知る

接頭辞接尾辞に限らず、語源がわかると便利です。

例えば、finとは何かご存じですか?
ラテン系の言葉がわかる人には簡単だと思いますが、「終わり」という意味ですね。
フランス語では今でもfinはそのまま「終わり」という単語です。

英語は直接ラテン語から発展したわけではありませんが、ラテン語の影響も受けています。

英語で「終わり」はendですが、finish(終える), finals(決勝戦), define(限界つまり終わりを決める=定義する)definite(限界が決まった=明確な)infinite(終わりがない=無限の)などの単語にfinの元々の意味が生きています。

 

文脈の中で単語を覚える

単語を覚える時、ひとつの英単語に和訳12個を対応させて覚えている人が多いと思います。
例文ごと覚えている人は一歩進んでいます。

今は英単語アプリや参考書にも例文付きのものが多く、便利になりました。
その単語を実際にどう使うか、品詞は何なのか、自動詞なのか他動詞なのか、前置詞に何を取るのかなど、例文を覚えれば全部覚えられます。
また、口ずさんですぐ出てくるようにしておけば、実際の会話でも使えます。

例文を覚えるよりなお良いのは、長文の中で覚えることです。
リスニングでもリーディングでもかまいません。
こういう場面ではこういう意味になるのか。
このような文脈で使われるんだな。
まさに、TOEIC part7 の多義語問題で問われるところです。

 

もっと辞書を引こうよ

英単語を覚えるために、TOEIC ならTOEIC用の、受験なら受験用のアプリや参考書、単語集を使っている人が多いようです。
とてもいいことだと思います。
なぜなら、大学受験によく出る単語とTOEICによく出る単語は違うからです。

同じ単語にしても、受験でよく使われる意味と、TOEICでよく使われる意味は同じではありません。
でも、なぜかこの単語覚えられない、自分のものにならない、と感じたら、辞書を引くことをお薦めします。

紙の辞書でも電子辞書でもオンラインでも構いません。
その単語のよく出る意味とは違う意味もチェックしてみると、コアとなるイメージが分かってきます。試験によく出る意味がこれだからこれだけ覚えておくというのではなく、その単語のさまざまな面を見ることで、全体像を理解するのです。

用例も読んでみるといいですね。
全部覚える必要はありません。
あくまでも、その単語がどんなやつかを理解するためです。

と説明したら、ある生徒さんに「先生の言葉に対する愛を感じました!」と言われました。
私もついつい「愛こそすべて!」と答えてしまいましたが(笑)。

今回ご紹介したを全部実践する必要はありません。
ご自分に合った方法を続けてみましょう。
次回は、純然たる暗記を効率的にするアイデアをご紹介します。

 

ライタープロフィール●外国語人
外国語としての英語、フランス語、日本語を学生や社会人に教えつつ、通訳・翻訳の経験を積む。新TOEICのスコアは985点。この世界の様々な地域で日常の中に潜む大小の文化の違いが面白くて仕方がない。子育て中。

 

 

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