中学英語からまるっとおさらい!
大人の学び直し英語【6】
文構造 目的語を取る動詞、取らない動詞
前回から動詞の目的語のお話をしています。今回は、動詞と目的語の関係をもう少し詳しく見てみましょう。ここで引っかかってしまうと、おかしな英語を使ったり、意味を取り違えたり、TOEIC®で点を取りそこなったりしてしまいます。案外大切なところなので、しっかり押さえておきましょう。
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「目的語」をもう一度ざっくり言うと
目的語とは動詞の対象であり、動詞の後に前置詞(at, inなど)なしで置かれる名詞のことだと前回書きました。
They always make great food. 「彼らはいつもすばらしいごはんを作る。」
動詞makeの後に前置詞なしで置かれたfoodは目的語です。
They sometimes work at home. 「彼らは時々家で仕事をする。」
動詞workの後にある名詞homeはatという前置詞を伴っているので、目的語ではありません。
Please understand me. 「私を理解してください。」
目的語はme, it, themなど代名詞になることもあります。
目的語は英文に必須な要素か
命令文その他の例外を除き、英文が文として成立するには主語+動詞が不可欠だと前に書きました。
では、目的語はどうでしょうか。
目的語は、必ず付けなければならない場合と、絶対付けられない場合のふたつに分かれます。
ここを間違えると、文法問題で点が取れないだけではなく、変な英語を使ってしまうことになります。
どんな場合に目的語が必須となり、どんな場合は付けられないのか。それは、前に来る動詞によって決まります。
目的語を必要とする動詞と必要としない動詞
目的語を必要とする動詞と必要としない動詞があります。前者を他動詞と言い、後者を自動詞と呼んでいます。
他動詞とは、主語以外の他に働きかけるタイプの動詞です。働きかける対象が目的語です。
I got a new car.
「私は新しい車を手に入れた。」
got(原形get)は他動詞で、ここではcarが目的語です。
日本語でも、「私は手に入れた。」だけだと落ち着きが悪いですね。何を?と聞きたくなります。基本的には「何を/誰を」を必要とする動詞が他動詞、と覚えていてかまわないのですが、英語と日本語の間にズレがあるので注意が必要です。
日本語では「~を」と入れないでいいのに英語では必須な場合もあります。
これに対して、目的語を必要としない動詞を自動詞と呼んで区別します。
Sally cried.
「サリーは泣いた。」
「泣く」という行為は自己完結しています。
意味が似ていても自動詞/他動詞に分かれる場合もある
現象としては似ているけれど自動詞と他動詞に分かれる動詞も多いです。
例えば、「上げる」は他動詞で「上がる」は自動詞です。
これは英語のraiseとriseに当たります。
Several airlines will raise fees.
「いくつかの航空会社が値上げする。」
The sun rises.
「日が昇る。」
上の文は他動詞なので、後に目的語のfeesが来ています。
下の文は自動詞なので、後に何もつけなくても文として成り立ちます。副詞againや前置詞句in the eastという修飾語をつけることはできますが、前置詞なしで後に名詞を置くことはできません。
練習問題
次の文の空所に入る動詞を、下の自動詞/他動詞の中からひとつ選んでください。(自動詞にも他動詞にも使われる動詞も含まれていますが、この練習問題で自動詞、あるいは他動詞として使うと理解してください。)同じ動詞は二度使わないものとします。必要な場合は動詞を適切な形に変えてください。
1. We had to ( ) the picnic because of a heavy rain.
2. She ( ) me the truth yesterday.
3. How is the weather?
- It is ( ) here.
4. We couldn’t ( ) our uncle in Kumamoto last year.
5. I can’t ( ) this gift.
6. You should ( ) yourself and others.
7. My grandfather ( ) beautiful flowers in his 60s.
8. My grandchildren will ( ) to my house during the summer vacation. They will ( ) for two weeks.
9. These trees are ( ). It’s too bad!
10. We’ll meet at eleven o’clock in front of the gate.
- I ( ) it.
自動詞: go, rain, smile, sleep, talk, come, rise, die, stay
他動詞: accept, cancel, raise, forgive, visit, tell, bring, get
解答・解説・和訳
1. cancel
後に前置詞なしの名詞the picnicがあるので、他動詞から選ぶ。because of a heavy rainがあり、意味の上でcancelを入れるのが自然である。
意味:私たちは雨のためピクニックをキャンセルしなければなりませんでした。
2. told
後に前置詞なしの代名詞meとthe truthがあるので他動詞から選ぶ。意味の上から最も自然なのはtell。yesterdayがあるので過去形。
因みに、talkは自動詞であるため目的語は取れず、名詞の前に前置詞が必要。
意味:彼女は昨日私に真実を話しました。
3. raining
後のhereは副詞であって名詞ではないから、自動詞の中から選ぶ。天候の話をしているのでrainを選ぶ。前にbe動詞があるため、現在進行形にする。
意味:天気はどうですか? ━こちらは雨が降っています。
4. visit
後ろにあるour uncleには前置詞がないからこれが目的語だと判断し、他動詞から選ぶ。couldn’tという助動詞があるため、原形のまま。
意味:私たちは去年熊本の伯父を訪ねることができませんでした。
5. accept
後ろに前置詞なしの代名詞this giftがあるので、他動詞から選ぶ。助動詞can’tがあるので原形。
意味:私はこの贈り物を受け取ることはできません。
6. forgive
後ろに前置詞なしの代名詞youとothersがあるので、他動詞から選ぶ。助動詞shouldがあるので原形。
意味:あなたはあなた自身と他の人を許すべきです。
7. raised
後ろに前置詞なしの名詞flowersがあるので他動詞から選ぶ。raiseには育てるという意味もある。in his 60sがあるので過去形にする。
意味:祖父は60代の時美しい花を育てた。
8. come, stay
最初の空所もふたつ目の空所も後ろの名詞に前置詞が付いているため、自動詞から選ぶ。「私の家へ」なのでgoではなくcome。
意味:孫たちが夏休みに家に来ます。2週間いる予定です。
9. dying
後ろに何もないので自動詞から選ぶ。(木を擬人化すればsleepなども可能ですが、とりあえず常識的にしておきます。)be動詞があるのでingを付けて現在進行形にする。
意味:これらの木は枯れかけています。残念です。
10. got
後ろに代名詞itがあるので他動詞から選ぶ。I got itは定型口語表現で「わかりました。」
itがなくても意味が通じそうなものだが、この場合のgetは他動詞なのでitが必要なのである。因みに、最初の文のmeetには他動詞の用法と自動詞の用法がある。
意味:門の前で11時に会いましょう。━わかりました。
ライタープロフィール●外国語人 | |
英語、フランス語、外国語としての日本語を教えつつ、語学力に留まらない読む力、書く力を養成することが必要であると痛感。ヨーロッパで15年以上暮らし、とりあえず帰国。この世界の様々な地域で日常の中に潜む文化の違いが面白くて仕方がない。子育て、犬育て中。TOEIC®985点 |